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OCVB、9月の沖縄入域者数を前年比約26%と発表。国内需要回復のための強化案も

2020年9月24日 実施

Zoomによるオンライン懇談会。画面は会長の下地芳郎氏

 OCVB(沖縄観光コンベンションビューロー)は9月24日、9月度定例記者懇談会をオンラインで実施した。

 沖縄県の8月の入域数は20万2800人で、前年同月(102万1200人)比で約20%と大幅に落ち込んだ。感染拡大を受けて7月31日に玉城デニー知事から沖縄県独自の緊急事態宣言が発令されたこともあり、先月発表した試算の22万1490人を下回った。

 9月は4連休に観光客数が増加傾向を見せたが、まだまだ厳しい状態は続くと予測。9月の予測入域客数は20万6645人(前年同月80万9300人)、そして10月の予測は27万8520人(前年同月85万1300人)と試算している。

 11月以降は通常予測とともに状況悪化の場合と2パターンを発表。11月は通常予測35万8860人、悪化時26万9445人(前年同月は79万9200人)。12月は通常34万1610人、悪化時25万6710人(前年同月75万5100人)。2021年1月は通常37万3130人、悪化時26万6710人(前年同月72万7800人)とそれぞれ試算した。10月1日にはGo To トラベルキャンペーンに東京も加わること、また11月以降には修学旅行実施の見込みがあることなどを加味している。

国内需要回復に向けた6つの強化案を提示

 国内旅行需要の回復に向けた緊急誘客対策については、修学旅行やGo To トラベルなど、今後の誘客に向けてOCVBとして強化していく項目を6つ掲げた。

1. 知事メッセージの発信強化。東京発着のGo To トラベル追加を機に、話題になるようなロケーション地で撮影した知事メッセージを発信することなどを予定している。

2. 修学旅行対策。修学旅行の防疫観光ガイドラインの発信強化、周知拡大、内容の充実化のほか、キャンセル校や延期校へのフォローアップ、実施校へのフォローアップ、感染防止対策動画の「沖縄修学旅行NAVI」での発信などを実施する。

3. 広報・宣伝の強化。情報番組や旅番組などのテレビ番組や新聞などの媒体との連携、県内のGo To トラベル商品の魅力・値ごろ感の発信を強化する。

4. 路線別・エリア別プロモーション強化。特に10月から東京がGo To トラベルに加わることから、首都圏プロモーションを強化し、沖縄県物産公社との連携プロモーションを行なう。

5. 離島観光の推進。直行便が就航している八重山・宮古・久米島などのキャンペーンを強化。ほかについては各島の来島受入方針を踏まえたうえで、きめこまやかな情報発信を強化していく。

6. デジタルプロモーションの強化。WebサイトやSNSでの新しい旅エチケットの呼びかけ、Go To 関連サイトへの誘導や沖縄商品の魅力発信を行なうほか、大手検索サイト、OTAとの連携を強化していく。

新型コロナウイルスが沖縄修学旅行に与えた影響の実態調査報告

 続いて、新型コロナウイルス感染症による沖縄修学旅行への影響について、実態調査報告があった。

 OCVBは、沖縄修学旅行取扱旅行社15社に対して調査を実施。9社から回答を受け、9月14日時点での予約状況を集計した。それによると、2020年度当初予約数が2318校、41万6050人に対し、9月14日時点では1270校、24万6865人とおよそ半減。月別の予約数は、9月がゼロ、10月が31校、11月が156校、12月が251校、2021年1月が262校、2月が313校、3月が257校となっている。

 春のシーズンに実施できなかった学校が11月以降の冬のシーズンに延期している傾向が見られるが、中止となった学校も少なくない。下地会長は、「修学旅行は毎年2400校ほどが来県。彼らは将来のリピーターに結び付き、沖縄県にとって重要な市場。今年は残念ながら半数ほどになりそうだ。実施予定校については具体的な日程も見えてきた。しっかり受け入れ態勢を整え、環境づくりをしていく」と意欲を語った。

そのほかの報告

 懇談会の冒頭では、Payke(ペイク)からOCVBへマスクの贈呈式が行なわれた。Paykeは「沖縄にコロナ対策用品を届ける。困っている観光業界を支援したい!」と題したクラウドファンディングを7月10日から8月11日まで実施し、このたびマスク2万枚をOCVBへ寄付するにいたった。

 式に出席したPaykeの比嘉氏は、「クラウドファンディングは残念ながら目標金額達成とならなかったが、多くの熱い気持ちをいただいた。その思いを届けるべく、枚数は多くないがマスクを寄付させていただいた。観光業界の皆さまが少しでも安心して観光客を迎えられるような環境づくりに、少しでも役に立てれば」と思いを述べた。

 これを受けて下地氏は、「いただいたマスクの一部は、9月18日に空港で開催した新しい旅のエチケット啓発キャンペーンで活用し、観光客の皆さまにも大変喜んでいただいた。残りのマスクについても、観光業界に提供し活用していく」と感謝を述べた。

 なお、新しい旅のエチケット啓発キャンペーンの第2回を10月1日に那覇空港で行なう。場所は1階到着ロビー(JAL側、ANA側2か所にて)、時間は10時~12時。ミス沖縄や花笠マハエ・マハ朗も参加予定。

贈呈式の様子。右が株式会社Paykeの比嘉氏、左が下地会長(写真提供:OCVB)

 続いて、「旧海軍司令部壕 空間音響ガイドシステム」が、観光庁の「誘客多角化等のための魅力的な滞在コンテンツ造成」実証事業に事業採択されたことを発表した。

 同システムは、NEC(日本電気)独自技術である「音響定位技術」やAR技術を活用した「空間音響MR」を採用した、音と映像による観光体験システム。ヘッドフォンをして施設内を歩くと、見ている方向から話しかけるようにガイド解説が流れるという。

 これまでのような有人ガイドで多くの見学者が一緒に動く必要がなくなり、1人でも十分な解説を得られることから、密にならない新しい形の施設見学が可能となる。コンテンツ作成は10月~11月を予定、12月の運用開始を目標としている。

 最後に、懇談会閉会にあたり下地氏は「9月の4連休にいろいろな場所を見て回ったが、観光客の皆さんが喜んで滞在している様子が見られた。沖縄への関心が高いことを実感した。改めて、気を引き締めて感染防止をしながら誘客の強化を図っていきたい」と締めくくった。