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ボーイング 737 MAX型機のシミュレータ登場。8月1日にリニューアルオープンする航空科学博物館を紹介
2019年7月29日 20:41
- 2019年7月29日 記念式典実施
- 2019年8月1日 リニューアルオープン
成田空港近隣に立地する航空科学博物館(千葉県芝山町)は、1989年8月1日の開館から30周年を迎えることを機に、8月1日にリニューアルオープンする。既存の展示内容をリニューアルするほか、新たに「体験館」をオープン。7月29日に行なわれた記念式典に併せて内覧会が実施されたので、リニューアル内容を紹介していく。
航空科学博物館は、中央に「本館」、東西にそれぞれ「東棟」「西棟」の3棟があり、それぞれ円柱のような形状の建物が特徴となっている。館内外さまざまな部分がリニューアルされており、東棟1階は引き続きリニューアル工事が行なわれていた。8月1日のオープンエリアで大きく変化しているのは、本館1階、西棟、東棟2階、そして新設の「体験館」となる。
滑走路を模したエントランスエリア
館内を紹介する前に、まず館内へと来場者を出迎えるエントランスのリニューアルを紹介しておきたい。本館正面の屋外エントランスが、滑走路をイメージした造形にリニューアルしているのだ。滑走路は「34L」で、成田空港A滑走路の南側から離陸/着陸する際の滑走路名を模している(ただし滑走路と並行ではない)。
加えて、本館に一歩入ったエントランスホール(本館1階)は、頭上に大きなウェルカムバナーを設置。さらに館内の案内やイベント情報、体験コーナーのスケジュール、周辺施設を閲覧できるデジタルインフォメーションボードも新設した。
なお、航空科学博物館では今回のリニューアルを機に、8月1日から入場料を一部改定。改定されるのは大人のみで、現行の500円から700円に値上げする。中高生300円、子供(4歳以上)200円の料金は継続する。
新設の「体験館」にボーイング 737 MAX型機と777型機のフライトシミュレータ
新設された体験館は、西棟に隣接した位置に立地。2階建てで3階部分に相当する塔屋がある。1階は200名収容、天井高10mの多目的ホールが設置され、航空教室などさまざまな用途に活用される予定となっている。
2階はトイレなどの一般設備のほか、新設備の目玉ともいえるボーイング 737 MAX型機、ボーイング 777型機のフライトシミュレータを設置。有料ながら、一般来場者が体験できる。いずれも操縦は小学4年生以上を対象としている。
ボーイング 737 MAX型機はコックピットを模した構造で、220度のプロジェクタ映像による広視界で楽しめるもの。実機さながらの体験ができる。操縦士席、副操縦士席の2席で、最大2名。料金は1フライト1000円。
ボーイング 777型機は、開けたエリアに操縦桿やパイロット席まわりのスイッチなど操作パネルを再現したもの。シンプルな見た目だが、この作りのおかげで車いすでも利用できるのがポイントとなる。料金は1フライト500円。
体験希望者には、本館1階のエントランス(受付)で補助整理券を配布し、さらに体験館2階シミュレータ前で時間が指定された受付票を配布する。利用時にはインストラクターによる事前ブリーフィングが行なわれるほか、体験中もインストラクターがサポートする。
航空科学博物館では当面、1日最大30組程度を受け付ける予定。同じく当面は成田空港の離着陸をイメージしたコースを設定しているが、将来的にコースの追加なども検討しているという。
また、2階には今後、客室をイメージしたモックアップの設置も予定。こちらは2019年秋ごろまでに設置したいとしている。
エレベータを利用して行くことができる体験館3階には展望台を設置。本館の展望台とは異なりバリアフリー対応となっているのが大きな特徴となっている。
成田国際空港コーナーもリニューアル。チャーリィ古庄氏撮影の歴代就航機の紹介コーナーも
東棟2階のNAA(成田国際空港)コーナーもリニューアル。既存の空港ジオラマやエコ・エアポートコーナーなどはそのままに、「見て」「触れて」「楽しく学べる」をコンセプトに体験型コンテンツを拡充した。
新設した「スーツケースの旅」は、預け入れ荷物がどのような経路で飛行機へと向かうのかを“スーツケース目線”の映像で紹介するもの。自動手荷物預け入れ機のモックアップににスーツケースを入れ、スタートボタンを押すと映像を観賞できる。
「制服で記念撮影」のコーナーは、その名のとおり制服を着て撮影できるコーナーだが、実際の制服を着用するのではなく、自身の顔写真を撮影して画面上で疑似体験するもの。そのぶん体験できる種類が12種類と多く、女性用制服を男性が試すといったジェンダーフリーな楽しみができるほか、防塵服姿の「機内食製造」スタッフといったユニークな体験もできる。
そして、「空港を支えるプロフェッショナルたち」は空港で従事しているさまざまな仕事を学習できるコンテンツ。大画面に表示されたキャラクターをタッチして仕事の内容を知れるほか、顔写真を撮影して自分のアバターが空港のなかで仕事をしているような雰囲気も楽しめる。
このほか、新たなコンテンツとして「NRT Airliners」コーナーも新設された。これは成田空港に就航したさまざまな航空機の写真を展示しているもので、開港当時の機体などに懐かしさを覚える人もいるだろう。
展示している写真はチャーリィ古庄氏が撮影したもので、写真に添えられた解説文も同氏が担当した。
おなじみのボーイング 747模型はパノラマビジョンで臨場感アップ
西棟も大きくリニューアル。西棟には2005年に設置したボーイング 747型機の大型模型が設置されているが、この周囲270度にパノラマビジョンを設置。稼働中に空港や滑走路から飛び立つイメージ映像が流れるようになった。
この大型模型は、こちらも段階的にブラッシュアップを繰り返してきたボーイング 747型機のコックピット模型で実機さながらの操作が可能。パノラマビジョンの設置によって、この体験がより臨場感のあるものとなった。
また、1階に設置されている、ボーイング 747型機(-300型機まで)に搭載されていたプラット・アンド・ホイットニー製「JT9D」エンジンはプロジェクションマッピングを利用した解説を追加。エンジンの部位の役割、推進力を生み出す空気の流れなどを、より直感的に把握できるようになっている。
西棟2階から本館2階の通路も整理され、航空黎明期から現在までのさまざまな航空機の模型約300機を展示する「航空史立体年表」、初代理事長の木村秀政氏が選出した10機の「日本の名機」コーナーを新設。世界、日本の航空の歴史を、多くの模型を見ながら楽しみ、学べるコーナーとなった。
展望室の解説コーナーなどもリニューアル
このほか、本館5階の展望展示室では従来からボランティアの方が離着陸する航空機を紹介していたが、その解説コーナーをDJブースのようなデザインに変更。
本館1階には授乳室や子供用トイレを設置するとともに、階段の手すりにLEDを埋め込むなど、幅広い世代への利便性向上を図っている。
人気コンテンツ「セクション41」を紹介
本項目はリニューアルした設備ではないが2011年に設置された人気コンテンツを紹介しておきたい。ボーイング 747-200型機の機首部分を展示、見学できる施設で、ボーイングが製造時に「セクション41」と呼称している部位がある。航空科学博物館では約40分間のガイドツアーを1名500円で実施。整理券を配布して実施しているが、休日など多いときには1日40組ほどが訪れるという、現在でも人気のコンテンツになっている。
コックピットには丸い計器が並ぶほか、航空機関士の座席もあるなど、現在のようにディスプレイを用いたグラスコックピットや2名運航の航空機とは異なる様子を実感できる。メインキャビンに降りると、機首がだんだん細くなっていく客室の形状や、最下部の貨物室なども見ることができる。
8月1日には先着で記念品など配布
航空科学博物館では、8月1日のリニューアルオープン日からさまざまなイベントを企画。
8月1日には来館者とともに開館30周年を祝うとともに、先着1000名に記念品を配布。同日より企画展「空飛ぶクルマ展」を実施する(8月1日~10月27日開催)。
さらに、8月3日と4日には開館30周年記念イベントを実施。新設された体験館を活用したイベントで、航空科学博物館スタッフによるサイエンス教室、折り紙飛行機教室のワークショップ、Spring(春秋航空日本)によるPRプレゼンテーションなどが開かれる。また、玄関前広場に屋台グルメコーナーも展開する。