ニュース

成田空港近隣の航空科学博物館が開館30周年。理事長「空港南部地域の観光拠点としての役割を果たしたい」

2019年7月29日 記念式典実施

2019年8月1日 リニューアルオープン

開館30周年を迎えた航空科学博物館が8月1日にリニューアルオープンする。7月29日には開館30周年記念式典が開かれた

 成田空港近隣に立地する航空科学博物館(千葉県芝山町)は7月29日、1989年8月1日の開館から30周年を迎えることを記念した式典を実施した。開館30周年の記念日となる8月1日には、リニューアルした展示施設や、新設の「体験館」がオープンする。

 航空科学博物館は1989年8月1日に、新東京国際空港(当時)の南側に設立された日本初の航空に特化した博物館。青少年の航空思想普及や、航空科学技術の振興を図ることを目的に開館した。

 セレモニーではまず、新たに「34L」滑走路をイメージして整備されたエントランスでテープカットを実施。その後、新設された「体験館」のホールへと場所を移し、主催者、来賓からのあいさつが行なわれた。

新たに整備されたエントランスでテープカット
テープカットに登壇した(左から)、公益財団法人航空科学博物館 常務理事・館長 長谷川邦男氏、成田国際空港株式会社 代表取締役社長 田村明比古氏、千葉県 総合企画部 次長 中村耕太郎氏、公益財団法人航空科学博物館 理事長 永井隆男氏、国土交通省 東京航空局 成田空港事務所 成田国際空港長 石井靖男氏、芝山町長 相川勝重氏、東京大学大学院 特任教授 鈴木真二氏

 主催者を代表してあいさつした航空科学博物館 理事長の永井隆男氏は、「新時代、令和を迎え、この博物館を次の時代につないでゆくとともに、生まれ変わろうとしている姿」を披露できることに喜びを示すとともに、関係者やこれまでの来館者への謝意を述べた。

 また、30周年を機とするリニューアルに触れるなかで、これまでの30年間も時代に合わせて博物館の展示品を更新してきたことについて述べ、「当時世界初めてのものとして注目を集めたボーイング 747型の8分の1の大型模型、全長10mのボーイング 747機種部分であるセクション41などは代表的なもの。開館当初からご指摘のあったアクセス問題を改善するため、4年前に新たに博物館敷地内にバスターミナルを開設し、バス会社の協力を得て、東京駅八重洲口からは高速バス、JR成田駅や成田空港からも直接博物館敷地内に乗り込んでいただくようにした」と展示品やアクセス性の向上を紹介した。

 そして、「当館の開館後、全国各地に多くの航空系博物館が開館しているが、これらに対して当館最大の利点と考えられるのは、緑豊かな自然環境のなかで、日本最大の国際空港から毎日離陸し、着陸する何百機もの飛行機を目の当たりにしながら、航空のことを幅広く勉強していただける点にあると思う。新しく導入された施設、展示物を活用して、来館される皆さま方から愛され、心から楽しんでいただけるような、魅力ある博物館として生まれ変わる努力を行なっていきたい」との姿勢を示すとともに、「当博物館の周辺にある『芝山水辺の里』『風和里しばやま』『ひこうきの丘』などの観光施設と一体的な連携を図りながら、地元芝山町を中心とする空港南部地域の観光拠点としての役割を果たしていきたい」との意気込みを語った。

公益財団法人航空科学博物館 理事長 永井隆男氏

 続いて、来賓として芝山町 町長の相川勝重氏があいさつ。「日本初の航空科学博物館として誕生して30周年が経過した。時代は平成から令和に変わり、この間、さまざまなテクノロジ、イノベーションが大きく発展してきた。成田空港も開港して今年(2019年)で41年という月日を迎えた。今では懐かしいイリューシン、DC-8などが爆音を上げて飛び立つ時代から、低騒音の時代へと大きく変化してきた。そして空への夢を乗せて開館された当館は、年間20万人以上の方々にご来場いただいている」と、航空産業、博物館の発展についてコメント。

 芝山町の取り組みとして、「私ども町としても、地域全体を『スカイパークしばやま』と銘打った。成田空港があり、当館があり、『芝山水辺の里』があり、『やすらぎの杜』『グリーンポート エコ・アグリパーク』『風和里しばやま』、飛行機を間近で体験できる『ひこうきの丘』などを随時整備をした。これらを遊歩道によってつなぎ、点を線に、線を面にして大きな観光資源にしていただければ大変ありがたい」と述べた。

 さらに、東京2020オリンピック・パラリンピックについても言及。「千葉県の聖火リレーの中継地として、航空科学博物館が選ばれた。令和2年、2020年7月3日には当館から三里塚さくらの丘(成田市)まで聖火ランナーが走る。町を挙げて取り組みたいし、芝山町、当館をPRする大きなチャンスと捉えている」と期待を寄せた。

芝山町長 相川勝重氏

 同じく来賓としてあいさつした成田国際空港 代表取締役社長の田村明比古氏は、「開館の1989年は、成田空港開港11年目にあたる。平成の30年間、ずっと成田空港を見守ってきてくれたシンボル的な存在。膨大な展示資料を、創意工夫を凝らして理解してもらいやすくしている」と感謝の言葉を述べた。

 今日の成田空港については、「2018年に40周年を迎え、年間発着回数25万回、年間旅客数4200万人、就航144都市と、開港当時と比べて大いに発展してきた。2018年には4者協議会でさらなる機能強化についても合意ができた。我々も地域の発展のために貢献していきたいと思っているし、地元の地域発展のための施策と連携をしながら博物館の充実について私どももしっかりと支援したい」と協力していく意向を示した。

 このほか、航空業界の人手不足問題にも言及し、「小さなうちから航空に慣れ親しんでいただいて、この博物館をきっかけに航空のことを好きになって、航空業界、成田空港で将来働いてくれる人材が育てばよい」と期待した。

成田国際空港株式会社 代表取締役社長 田村明比古氏
公益財団法人航空科学博物館 理事長 永井隆男氏から芝山町長 相川勝重氏へ感謝状
同じく成田国際空港株式会社 代表取締役社長 田村明比古氏へ感謝状
おなじく株式会社成田空港美整社 代表取締役会長 岩澤竹治郎氏へ感謝状。同代表取締役社長 寺本敏司氏が代理出席した

 その後、航空科学博物館 理事長の永井隆男氏から、博物館の発展に貢献があった組織、人への感謝状の贈呈が行なわれたのち、乾杯の発声のために東京大学大学院 特任教授 鈴木真二氏が登壇。

 鈴木氏は人手の確保の課題について特に言及し、「世界的に航空輸送事業は成長が期待されているが、我が国にとって一番の懸念事項は人材の確保の問題。航空に携わるパイロット、整備士、空港関係者などの方々をどのように確保していくのかが大きな課題。その意味でこうした航空科学博物館は、多くの若い人々に来ていただいて、興味を持っていただき、航空を好きになっていただくことが非常に大きな使命。そういう意味で、航空科学博物館、次の30年もさらに大きく発展していただければと思っている」と話し、自身も航空の発展に寄与したいとの意向を示し、乾杯の音頭を取った。

東京大学大学院 特任教授 鈴木真二氏
乾杯

 リニューアルについては、新設の体験館のほか、既存施設内の展示内容も変更されている。ボーイング 737 MAX型機のフライトシミュレータほか、新たな展示品などについては別記事でお伝えする。

新設された「体験館」。記念式典はこの1階のホールで行なわれた
体験館ホール(画像提供:航空科学博物館)
体験館にはボーイング 737 MAX型機(写真左)とボーイング 777型機(写真中央)のフライトシミュレータを設置
体験館3階には新たにバリアフリー対応の展望台「ビューテラス」を整備
既存棟もリニューアル。詳しくは別記事で紹介
リニューアルしたエントランスは「34L」滑走路をイメージ