ニュース
キングジム、2台1組の対話型翻訳機「ワールドスピーク」発表会。宮本社長「翻訳市場は今さらではなくこれから」
2019年7月3日 19:40
- 2019年7月3日 発表
キングジムは7月3日、2台1組で使う対話型翻訳機「ワールドスピーク HYK100」を発表した。価格は14万8000円(税別)で、7月19日に発売する。
ワールドスピークは8型のタッチ式液晶パネルを搭載する端末で、ペアリングされた2台に対して使用者がそれぞれの言語を選択、ボタンを押しながら話しかけると、その内容がもう一方の端末上に翻訳されたテキストで表示される、というもの。対応言語数は72(2019年7月時点)。
ホテルや店舗、公共施設の窓口/カウンターなどでの利用を想定しており、付属のACアダプタから給電する据え置き型だが、内蔵のリチウムイオンバッテリーで約5時間の連続動作も可能で、一時的にカウンターを離れてロビーや施設内を移動しながら使う、といったシーンも考慮している(連続待ち受けは約20時間)。動作にはネットワーク環境が必須で、無線LAN(IEEE802.11a/b/g/n)と有線LAN(100BASE-TX)に対応する。
同日実施された発表会において、キングジム 代表取締役社長の宮本彰氏は、「東京オリンピック・パラリンピックに向けて、訪日外国人はますます増えていく。しかしながら観光庁の統計によると、店舗や窓口などでスタッフとのコミュニケーションに問題があったと感じる外国人は多く、観光・宿泊施設での対話にはまだまだ課題がある。既存の翻訳端末の多くは個人での利用を想定したポータブルタイプだが、ワールドスピークは宿泊・公共施設などでの窓口業務を想定した一線を画すもの」と製品の立ち位置を表現した。
また、既存の翻訳端末については翻訳精度などで使いづらさや改良の余地があることを指摘し、「翻訳市場は今さらではなくこれから」と述べている。
ワールドスピークの商品説明を行なったキングジム 商品開発部の高尾政利氏によると、「日本に居ながらにして外国人と接する機会が増える一方、二か国語以上を話せる日本人は決して多くないため、気軽に外国人とコミュニケーションが取れる製品が必要だと感じていた」と開発の経緯を説明。
ワールドスピークは待機画面に翻訳機であることを4か国語で表示、タッチすると国旗の並んだ言語選択画面に遷移する。選択すると準備完了というシンプルな作り。画面上にはメッセンジャーアプリのように会話がタイムラインで表示され、端末には選択した言語のみを表示する。自分の話した内容が正しく翻訳されたかを確認できるので、話がかみ合わないということはなさそうだ。
実際、プレゼンのあとに行なった英語とヒンディー語での対話デモンストレーションでは、日本語の滑舌でうまく翻訳されなかった単語なども見受けられたものの、おおむね正しく訳されており、意思疎通には十分な精度を備えているように見受けられた。質疑応答で宮本社長は「対応言語数より精度が大事」と発言しており、そのため、マイクにノイズキャンセリング機能を搭載、スピーカーの音量調整が可能など、騒音のある環境下でも使えるように配慮されている。
翻訳エンジンはGoogle翻訳やMicrosoft翻訳、百度(バイドゥ)翻訳などを言語によって使い分けており、端末での使用頻度に応じてトップページの言語選択画面の並びが変わる。2台1組で使うため、既存の翻訳端末のように1台の端末を受け渡す煩わしさがないこと、業務用を想定した製品でありながら、製品価格以外の費用がないため、ランニングコストがかからないことなども製品の特徴と言える。