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日本旅行業協会、「旅行市場動向調査」発表。旅行需要を10連休で先取りしてしまったと見る企業が多い
2019年6月の定例会見
2019年6月27日 17:46
- 2019年6月27日 開催
JATA(日本旅行業協会)は6月27日、東京・霞が関の本部で定例会見を開いた。
理事・事務局長の越智良典氏、広報室の渋川裕之氏が「2019年6月期(第1回)旅行市場動向調査」について、国内・訪日旅行推進部 副部長の大瀧聡氏が「貸切バス需要拡大検討会」発足について説明した。
10連休のゴールデンウィークで需要を先取り、夏休み~シルバーウィークは落ち込む
JATAでは会員各社と中連協会員各社へ調査モニターへの登録を依頼し、登録のあった660社を対象に、四半期ごとに「旅行市場動向調査」を実施しており、6月期の調査がまとめられた。
旅行市場動向調査では、旅行市場の動向を把握することを目的に現況と3か月後・6か月後の先行きについてのアンケートを実施。各質問事項に対し「良い」「普通」「悪い」「取り扱っていない」で評価し、回答数から「取り扱っていない」(無回答を含む)の回答を除いたものを母数として各回答のシェアを算出し、「良い」を選んだ割合(%)から「悪い」を選んだ割合(%)を引いた「DI(Diffusion Index:景気動向指数)」として発表している。
調査は5月20日から6月7日まで実施し、312社からの回答を得られた。調査では取り扱い業務の範囲(規模)で第一種~第三種旅行業まで分けて数値化をしている。第一種~第三種と分けたのは、取扱件数の多い大手旅行会社と、少ない旅行会社とを分けて見ることもできるようにするため。
調査は「海外旅行DI」「国内旅行DI」「訪日旅行DI」で調査・数値化されている。海外旅行DIでは、は3か月前(1~3月)から6ポイント増のマイナス2。3か月後(7~9月)は16ポイント減のマイナス18。6か月後(10~12月)は現況より17ポイント減のマイナス19。現況はゴールデンウィークの10連休効果と方面別のアジアの上昇により、直近2年で一番よいスコアとなったものの、前回調査時の見込みには届かず、マイナス圏にとどまった。3か月後の見通しはゴールデンウィークの反動もあり、低下する見込み。
国内旅行DIでは、3か月前(1~3月)から10ポイント増のプラス4。3か月後(7~9月)は18ポイント減のマイナス14。6か月後(10~12月)は現況よりも10ポイント減のマイナス6。現況はゴールデンウィークの10連休によりDI値は前回から大幅に上昇してプラス圏に。団体旅行が回復し、個人旅行ではシニアが好調。3か月後はゴールデンウィークの反動で低下するも、6か月後は前年同時期と同水準に回復する見込み。
訪日旅行DIでは、3か月前(1~3月)から9ポイント増のプラス5。3か月後(7~9月)は7ポイント減のマイナス2。6か月後(10~12月)は現況よりも8ポイント減のマイナス3。現況は中国や東南アジアからの旅行者の増加でプラス圏に回復も、3か月後・6か月後はマイナス圏に下がる見込み。FIT(Foreign Independent Tour:個人で計画する海外旅行)は好調だが、団体・MICE(Meeting、Incentive、Conference/Convention、Exhibition/Event)の低迷の影響もあり、業況は緩やかに下降が続く見込み。
全体的に10連休のゴールデンウィークで需要を先取りしてしまい、その後の夏休み~シルバーウィークは需要が落ち込むだろうという各企業の見通しが分かる結果となった。
貸切バス市場の回復を図る「貸切バス需要拡大検討会」を発足
貸切バスの全国における稼働率は、新運賃・料金制度を導入した2014年度には50.4%あったものが年円減少し、2017年度には43.3%に減少している。一方、師恩運賃・料金導入に伴う単価向上により、バス会社の経営状況は一時好転したものの、その後の稼働率の低下によって再び悪化傾向にあるという。貸切バス市場の縮小は、貸切バス旅行への依存度が高い地域・会社にとって大きな経営課題となっている。
そこで、新運賃・料金制度導入年度(2014年度)レベルへの稼働率の回復を目標に「貸切バス需要拡大検討会」が発足した。「消費者・業界向けの会員会社利用啓蒙活動」「マーケット別の需要回復に向けた施策」「国への提言書作成」などを討議するために、7月から隔月開催し、第3四半期までに国にタイする施策の取りまとめと提言を行なうことを目標にしている。