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日本旅行業協会、2018年度「働き方・休み方改革、ダイバーシティ推進」会長表彰を発表。大賞はジャルパック、JTB、ジェイアール東海ツアーズ
JATA定例会見より
2019年6月13日 16:52
- 2019年6月13日 発表
JATA(日本旅行業協会)は6月13日、東京・霞が関の本部において定例会見を開いた。
総務部 担当部長の渡邉泰氏が、2018年度「働き方・休み方改革、ダイバーシティ推進」に関するJATA会長表彰審査委員会による審査結果について説明した。
旅行業界における働き方・休み方改革やダイバーシティ推進を表彰して広く周知
働く人それぞれの事情に応じて、多様な働き方を選択できる社会の実現を目指す「働き方改革」が国を挙げての課題となっているが、JATAでも会員各社の優れた取り組みを広く周知し、業界全体の長時間労働・過重労働を是正して、有給休暇の取得を推進すること、女性や高齢者を含む多様な人材を一層活用することを目的に、2017年度から始まった取り組み。2018年度で第2回となる。
「働き方・休み方改革部門」には10件(2017年度は9件)、「ダイバーシティ推進部門」には8件(2017年度は3件)の応募があり、審査委員会によって4月22日に各賞が選出された。「働き方・休み方改革部門」の大賞にはジャルパックの「WHIPによる自律的な働き方改革の取組み ~多様な価値創造集団への変貌を目指して~」が、「ダイバーシティ推進部門」の大賞にはJTBの「皆で『声を見る』を身近に。~翻訳アプリ『UD トーク』活用による聴覚障がい者社員の業務の拡大とモチベーションの向上~」と、ジェイアール東海ツアーズの「仕事と家庭の両立および多様な生き方を支援するための取組み」が選ばれた。
2018年度「働き方・休み方改革、ダイバーシティ推進」に関するJATA会長表彰
審査会開催日: 2019年4月22日
審査委員:
[審査委員長]一般社団法人日本旅行業協会 旅行業経営委員会 委員長 東良和氏
[審査副委員長]一般社団法人日本旅行業協会 旅行業経営委員会 副委員長 勅使河原晃子氏
[審査委員]
観光庁 観光産業課 参事官 田村寿浩氏
厚生労働省 雇用環境・均等局 総務課企画官 吉田慎氏
観光産業健康保険組合 常務理事 須古正恒氏
サービス・ツーリズム産業労働組合連合会 事務局長 千葉崇氏
株式会社日本旅行 ソリューション営業本部 CS プランニングチーム 鈴木志保氏(2017年度「働き方・休み方改革部門」大賞)
株式会社JTBグローバルマーケティング&トラベル ブランド推進室 ブランド推進課長 大森真美子氏(2017年度「ダイバーシティ推進部門」大賞)
LADY JATA 委員会 委員長 山本綾子氏
一般社団法人日本旅行業協会 理事長 志村格氏(代理 審議役 法定業務統括部長 宮下 彰氏)
審査ポイント:
1. 改革度合い(前後の職場環境・雰囲気、上司・社員意識の違いは)
2. 再現・影響度合い(他部署、他社でも再現可能か、他部署・パートナー企業へよい影響を与えたか)
3. 継続度合い(改革に無理はないか、今後も無理なく継続できるか)
「働き方・休み方改革部門」大賞:ジャルパック
定例会見には大賞のジャルパックとJTBから代表者が出席し、受賞した取り組みの概要などを説明した。「働き方・休み方改革部門」大賞を受賞したジャルパックからは、総務部 広報・社会貢献グループ アシスタントマネージャーの長尾哲氏が登壇した。
ジャルパックは2017年度の表彰では「審査員特別賞」を受賞しており、満を持しての大賞受賞となった。表彰された同社の主な取り組みとしては4つあり、そのなかでも「WHIP(Work and Holiday Innovation Project:ホイップ)」がとくに評価されたとのこと。
「働き方・休み方改革部門」大賞のジャルパックの主な取り組み
1. 2017年から実施した柔軟な働き方の環境整備をさらに推進し、自社オフィスのフリーアドレスに加え首都圏のサテライトオフィスと契約し、社外における隙間時間の有効活用などによる生産性向上を促進し、年間総実労働時間をさらに削減した(2018年度は1880時間で、前年度からは36時間減に成功)
2. ワーケーション(ワーク+バケーション)のさらなる推進による社員の有給休暇取得促進と、賛同する自治体や企業・各種団体との協業による旅行商品の企画やJALグループ社員のモニターツアーを実施し、マーケットに対して新たな価値を提案・発信した
3. 各職場から選出された社員によりWHIPを結成し、自律型思考プロセスに基づき社員が主体となり、コミュニケーションと健康増進施策を活動の2本柱として各種取組みを実施。 その成果として、健康経営優良法人2019 ホワイト500(大規模法人部門)に初めて認定を受けた
4. 社員共通の価値基盤としての全社員を対象としたJALフィロソフィ教育の深度化と同時に、「JPK OODA(Observe:観察→Orient:方向付け→Decide:決定→Act:実行)」勉強会を実施。依存型社員から自律型社員への意識改革推進のプラットホームを構築した
長尾氏によると、社内で実施したアンケートでは働き方に対する満足度が34.3%から65.7%に向上したという数値もあり、大賞の受賞もあり、社内外での手応えを感じつつも、現状は「3合目」であるとして、さらに向上に意欲をみせた。
「ダイバーシティ推進部門」大賞:JTB
「ダイバーシティ推進部門」大賞を受賞したJTBからは、人事部 人材開発チーム ダイバーシティ推進事務局の加藤萌生氏、法人事業本部 企画開発プロデュースセンター 企画開発課長の大澤央樹氏が登壇した。
JTBグループでは約360名の聴覚障がいのある社員が活躍しており、日常のコミュニケーション手法として、2016年からUDトークの法人向けプランを導入。この活用と得られた効果が審査委員会から評価された。
UDトークはスマートフォンやタブレットで利用できるアプリで、会話・声をリアルタイムに文字化し、読み取ることができる。JTBでは朝礼や会議、打ち合わせなどに導入し、円滑なコミュニケーション、所要時間の短縮などを実現した。
「ダイバーシティ推進部門」大賞のJTBのUDトークを活用した主な取り組みと効果
活用事例
1. 朝礼や会議、研修などにおいての音声の見える化や、不在者への議事録を共有。
2. 聴覚障がいのある社員の法人営業セールス時における打ち合わせでの活用。
3. 「誰でもいつでも」をコンセプトに、聴覚障がいのある社員が自らの活用体験をもとに独自マニュアルを作成し、グループ各社へ展開。
効果
1. 聴覚障がいのある社員とその周囲で働く社員との相互理解
2. 聴覚障がいのある社員のモチベーション向上
3. 研修における学習効果の向上と参加の拡大
場所・利用者を問わず音声の可視化を行なうことで、取引先にも評価されると同時に、聴覚障がいのある社員の積極的な発言が可能となり、モチベーション向上へとつながったという評価があり、全社員一体となって引き続きダイバーシティを推進していきたいとした。
「ダイバーシティ推進部門」大賞:ジェイアール東海ツアーズ
同じく「ダイバーシティ推進部門」大賞を受賞したジェイアール東海ツアーズは欠席のため、JATAの渡邉氏が受賞コメントを代読。「社員一人一人がその持てる能力を十分に発揮するためには、さまざまなバックグラウンドを抱えた社員が仕事と家庭生活を両立させながら働き続けられる環境を整えることが必要だと考えています。今回の受賞を励みに、経営理念に掲げる『明るく活力に満ちた働きがいのある会社』の実現を目指した取り組みを継承していきます」というメッセージを紹介した。
ジェイアール東海ツアーズは育児関連の制度、育休社員の交流会、復職制度、家庭の事情による新幹線通勤制度などの整備を進めており、それらが評価されての受賞となった。