ニュース

ANA、定例社長会見。ホノルル線は1.5倍の座席供給に対して1.5倍の予約。「ANAらしい工夫を続ける」

2019年5月29日 実施

ANAホールディングス株式会社 代表取締役社長 片野坂真哉氏(右)と全日本空輸株式会社 代表取締役社長 平子裕志氏(左)

 ANA(全日本空輸)は5月29日、定例社長会見を開いた。登壇したのはANAHD(ANAホールディングス)代表取締役社長の片野坂真哉氏と、ANA 代表取締役社長の平子裕志氏。

 当日は同社の総合訓練施設「ANA Blue Base」のお披露目の日でもあり、これまで羽田空港周辺に点在していたパイロット、CA(客室乗務員)、整備士、グランドスタッフ、グランドハンドリングスタッフ、貨物取り扱いスタッフなどのトレーニングを1か所で行なえる国内最大級の巨大施設として集約した。

 その一角で実施した会見に現われた片野坂氏は、「何よりも安全、安全がすべてである」と改めて強調し、ANA Blue Baseは安全にこだわる人材作りを進めるべく、最新鋭の訓練機器、AR/MR機器などを取り入れ、職種・部門を横断して共創できる「イノベーションガレージになってほしい。スタッフが協働するオープンイノベーションの拠点」を目指す、とした。

ANAホールディングス株式会社 代表取締役社長 片野坂真哉氏

 一方、平子氏は航空格付け会社スカイトラックス(SKYTRAX)の「5スターエアライン」に2013年から7年連続で選ばれていることを挙げ、「最高レベルの品質を提供し、今後も一層努力を続ける」と決意を表明した。その一環として、2019年秋からタッチパネル式の個人用モニターを国内線主力機に順次投入、2022年度までに計41機に拡大していくと説明(関連記事「ANA、国内線777と787の新シート公開。プレミアム/普通席にタッチ式モニターとAC/USB電源を完備」)。

 また、5月24日に就航したホノルル線のエアバス A380型機について、「2019年上期は前年比1.5倍のキャパ(座席供給量)に対して、1.5倍の予約が入っている」と順調な現況を明らかにし、今後もANAらしい工夫を重ねていくという(関連記事「ウミガメに乗ってホノルルに行ってみた。ANAのエアバス A380型機初便で500名以上が一挙ハワイへ」)。

「ANAらしい工夫」の例としては、すでに本年度の輸送計画で公開されているとおり、4月26日に本邦航空会社としては初めてボーイング 787-10型機を成田~シンガポール線に投入したこと、7月2日の成田~関空~上海線を皮切りに貨物機のボーイング 777F型機を運航すること、9月1日には成田~オーストラリア・パース線を新規就航、冬期スケジュールのうちに成田~インド・チェンナイ線を開設することなどを紹介した。

全日本空輸株式会社 代表取締役社長 平子裕志氏

 会見後の質疑応答では、同日披露した国内線の新しいシートについて、プレミアムクラスの席数を増やすことで普通席が減り、収益性に影響があるのではと質問がおよんだ。実際、ボーイング 777-200型機は現行405席(プレミアムクラス21席+普通席384席)から392席(プレミアムクラス28席+普通席364席)、787-8型機は現行335席(プレミアムクラス12席+普通席323席)から312席(プレミアムクラス28席+普通席284席)とそれぞれ変わる。しかし、平子氏は「もともとプレミアムクラスの方が搭乗率は高く、運賃も高い。増収効果は十分あると見ている」と懸念がないことを説明した。

 また、会見当日に三菱航空機の国産リージョナルジェット「MRJ」の名称が「スペースジェット」に変わるという報道があったことについて、片野坂氏は「三菱航空機からの発表ではない」と前置きしたうえで、70席規模のバリエーション機(MRJ70)のベースになっているのはANAがローンチカスタマーになっている90席規模の機体(MRJ90)であり、ブランドを変更してMRJが売れていくなら、発展性があり、歓迎できることだと述べた。