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JR東日本、リニューアルした新幹線最上級シート「グランクラス」体験会。軽食は日本料理「一凛」の店主が監修した新メニューに
2019年4月3日 13:24
- 2019年4月1日 リニューアル
JR東日本(東日本旅客鉄道)は4月1日、東北・北海道新幹線(E5系/H5系)、北陸新幹線(E7系/W7系)に導入しているプレミアムシート「グランクラス」のサービスをリニューアルした。ここでは、報道向けに実施された体験会の様子をお伝えする。
サービスをリニューアルした背景には、4月27日からのゴールデンウィーク10連休や令和への改元に伴う旅行特需が見込まれているほか、2013年にJR九州(九州旅客鉄道)が「ななつ星 in 九州」の運行を開始したのをはじめ、JR東日本の「TRAIN SUITE 四季島」「TWILIGHT EXPRESS 瑞風」など、豪華クルーズトレインの申し込みが活況なことが挙げられる。
JR東日本は3月16日のダイヤ改正で上越新幹線にもグランクラスを導入しており、この機会にサービスの認知度を高めたい狙いがある。
大きく変更したのは軽食メニューで、日本料理「一凛」の店主である橋本幹造氏の監修のもと、沿線地域の素材にこだわった食事や、沿線地域を代表する日本酒を提供する。
手間暇かけた和の軽食を提供することで利用客の満足度向上と食品ロスを削減する
JR東日本 鉄道事業本部 営業部 宣伝グループ 課長の深見真悟氏は、「今までもメニューやドリンクの入れ替えなど、サービスのマイナーチェンジは行なってきましたが、3月16日のダイヤ改正で上越新幹線にも『グランクラス』が導入されました。この機会に車内の軽食サービスについても大きく変えていこうということで、今回は橋本さんのお力を借りましてお食事を大幅に変更いたしました。このようなプロモーションを通じて、グランクラスをもっと多くのお客さまに知っていただきたいと思っています」と、リニューアルの意図を説明。
また、従来までは和食と洋食の2種類を用意していたが、今回のリニューアルからは和食のみになる。理由については、「和食を選ばれるお客さまが多めであり、メニューを絞ることで廃棄を減らし、食品ロスの削減にも取り組んでいきます。選択肢は減ってしまいますが、その分だけコストをかけたものを提供できますので、ご満足いただけるかと思います」と話した。
こだわりのお米を使った四季ごとの軽食を提供
軽食メニューについては、監修した橋本氏がコンセプトなどを説明した。今回のメニューは車窓から見える景色をイメージして考案したとのことで、「車窓から見える風景が移り変わっていくように、縦に区切って食材を並べているので、見た目も楽しんでもらえるように美しく詰めています」という。
特にこだわったのはお米であり、福井県産の「いちほまれ」、岩手県産の「たかたのゆめ」を使用している。自身は東京のほか、石川県金沢市に寿司店「河原町 一」を開いており、冷えていても美味しいお米である「いちほまれ」が今回のメニューにはピッタリであると説明してくれた。その、いちほまれに匹敵するのが「たかたのゆめ」であり、こちらも東北の素晴らしいお米であることを語った。
また、プレミアムシートを利用する乗客はリピーターが多く、バリエーションも求められることから、上下線で白飯と酢飯を使い分けて変化を付けている。そのほかでは、パサつかないように麹をつかってしっとりとした食感が出るように調理するなど、さまざまな工夫がこらされている。今回紹介したメニューは春のもので、年4回、3か月ごとに変えていくそうだ。
東北・北海道新幹線(下り)の軽食メニュー
・飛竜頭紅生姜あんかけ
・玉子焼き
・鶏そぼろ
・絹さや
・こごみ胡麻和え
・鮭甘酒漬け焼き
・花蓮根柑橘甘酢
・鶏甘酒漬け焼き
・さつまいも甘露煮
・白飯(岩手県産たかたのゆめ)
東北・北海道新幹線(上り)の軽食メニュー
・桜でんぶ
・玉子焼き
・花蓮根柑橘甘酢
・数の子醤油漬け
・絹さや
・海老甘酢漬け
・かんぴょう煮
・いくら醤油漬け
・筍山椒煮
・鰊甘露煮
・がり
・椎茸煮
・ごま入り酢飯(岩手県産たかたのゆめ)
北陸新幹線(下り)の軽食メニュー
・飛竜頭紅生姜あんかけ
・玉子焼き
・鶏そぼろ
・鶏甘酒漬け焼き
・絹さや
・こごみ胡麻和え
・筍山椒煮
・鰯の生姜煮
・鰆甘酒漬け焼き
・花蓮根柑橘甘酢
・さつまいも甘露煮
・白飯(福井県産いちほまれ)
普段味わえない旅を快適にする上質な空間を堪能
今回、体験乗車したのは東京駅発、盛岡駅行きのやまびこ49号で、E5系/H5系の先頭車両(10号車)がグランクラスとして使用されている。車内は落ち着いた雰囲気のインテリアとなっており、3列シート(2-1配列)で全18席。座席はゆったりとした広さがあり、自由席や指定席とは比べ物にならないほどの余裕がある。
軽食以外ではアルコール(ビール、ワイン、ウイスキー、日本酒)やソフトドリンク(コーヒー、紅茶、ジュースなど)といったドリンクサービスも付いており、こちらはフリードリンクになっていて、メニューにあるものはストックがある限り飲み放題。また、休息時に助かるブランケットやアイマスクといったアメニティも用意しており、同乗しているアテンダントに伝えれば丁寧に応えてくれ、まさに至れりつくせりのプレミアムなサービスを受けられる。
今回は東京から宇都宮までの約1時間という短い時間であったが、仙台や盛岡、新函館北斗といった遠方であればより一層、上質なサービスによって満足できる旅にしてくれそうだ。それと、一凛の橋本氏が監修した軽食も文句なしの美味しさで心も体も満たされ、普段とは違った車内時間を体験できた。
ちなみにグランクラスは、指定席やグリーン席と同様にグランクラス料金が設定されている。例えば、東京駅から盛岡駅行きのはやぶさ103号の場合は、仙台駅までだと指定席が5460円、グリーン席が8850円、グランクラスが1万3990円と、それなりの差額が必要になる。
アテンダントによる軽食やドリンクなどのサービスが付かない、シート設備だけの列車も設定されており、同じく東京駅から仙台駅行きのやまびこ125号の場合は1万1630円(指定席5150円、グリーン席8540円)と、多少リーズナブルになっている。