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JR北海道、観光列車向けの特急車両を2020年秋までに新造。外観/内装をアレンジした「山紫水明」シリーズ投入も
2019年2月18日 00:00
- 2019年2月14日 発表
JR北海道(北海道旅客鉄道)は2月14日、観光・イベント列車として運行可能な多目的特急列車の新造など、観光列車に関する2019年度以降の新たな取り組みを発表した。
JR北海道は2018年7月に国土交通省から「事業の適切かつ健全な運営に関する監督命令」を受けている。北海道新幹線の札幌延伸効果が出る2031年度までに経営自立することを目標に、着実に進めるべき取り組みの一つとして「インバウンド観光客を取り組む観光列車の充実」が挙げられたことから、新たな観光列車の運行を検討したもの(関連記事「国土交通省、JR北海道に対して経営改善の監督命令。北海道新幹線の札幌延伸を見据えた2031年度までの経営自立促す」)。
新たな取り組みとして、「クルーズトレイン型の列車」と「地域活性化につながる列車」を2点を挙げており、前者のなかで特急タイプの多目的車両の新製、後者のなかでキハ40形「山紫水明」シリーズの投入を表明している。
新造する多目的特急車両は、観光列車やイベント列車、繁忙期の臨時列車などでの運行を想定したもの。「スーパー北斗」「スーパーとかち」で使用している261系1000代特急形気動車をベースに、外観や内装のデザインや一部設備を変更した「261系5000代特急形気動車(仮称)」として、2020年秋の使用開始を見込む。
北海道の代表的な花である「はまなす」「ラベンダー」をイメージしたデザインコンセプトを検討しており、2編成(各5両編成)を製作。1号車をイベントや食事に利用できるフリースペースと利用し、2~5号車の客席として利用。客席には向かい合わせにできるテーブルも設置する。また、無料Wi-Fiサービスや全座席へのコンセントも用意する。
地域活性化の取り組みを進めるために導入するキハ40形「山紫水明」シリーズは、通常は定期列車として運行し、観光やイベントの際に臨時列車にも使用できる車両として2019年度に導入を予定。キハ40形を2両改造し、「紫水」号、「山明」号と名付けられる。
紫水号は「深みのある紫色のカラーリングをベースとし、海や雪の結晶、空の星をモチーフとした要素を組み合わせることで、凛としたたたずまいに華やかさを感じられるデザイン」、山明号は「広大な大地をイメージした深い緑色をベースとし、山々や樹木、パッチワーク畑をモチーフとした要素を組み合わせることで、雄大さを感じられるデザイン」と紹介している。
内装は、2018年に4両を改造して導入したキハ40形「北海道の恵み」シリーズの「豊かな自然とさわやかなイメージを踏襲したデザイン」としており、飲食などに利用できる木製テーブルを設置する。
このほか、東急電鉄(東京急行電鉄)、JR東日本(東日本旅客鉄道)、JR貨物(日本貨物鉄道)と連携し、東急電鉄、JR東日本から借り受けた車両による観光列車の運行も計画している。
東急電鉄からは横浜~伊豆急下田間などを中心に運行している「THE ROYAL EXPRESS」車両を借り受け、クルーズトレインとして札幌~道東エリアでの運行を予定。2020年5~8月の間の約1か月間、週4日程度の運行を想定している。
JR東日本からは東北地域を中心に運行しているキハ48形改造車「びゅうコースター風っこ」を借り受け、JR北海道のキハ40形「北海道の恵み」シリーズと連結した編成での運行を予定。2019年7月27日~9月8日の土・日曜・祝日に宗谷線で運行し、今夏の宗谷エリアの観光の目玉として、宗谷線沿線を盛り上げる取り組みを行なっていく。