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国土交通省、JR北海道に対して経営改善の監督命令。北海道新幹線の札幌延伸を見据えた2031年度までの経営自立促す

2019~2020年度に総額400億円台を国が支援

2018年7月27日 発表

国土交通省がJR北海道に対して経営改善に向けた取り組みを着実に進めるよう監督命令を発出した

 国土交通省は7月27日、地域人口減少や交通手段の転換により厳しい経営環境にあるJR北海道(北海道旅客鉄道)に対し、石井啓一 国土交通大臣名で経営改善に向けた取り組みを着実に進めるよう監督命令を発出した。併せて、経営改善に向けて実施すべき取り組み、国や関係者による支援について公表した。

 JR北海道は2018年6月に「JR北海道グループの『経営再生の見通し』(案)について」を発表し、経営努力や課題を示すとともに、2030年度の北海道新幹線の札幌延伸に向けて単独では維持が困難な線区に対する地域への協力を求めていた。

 7月27日に国土交通省から発出された監督命令では、北海道新幹線の札幌延伸効果が出る2031年度までにJR北海道が経営自立することを目標とし、着実に進めるべき取り組みとして以下の項目を挙げている。

  • 札幌市圏内における非鉄道部門も含めた収益の最大化
  • 新千歳空港アクセスの競争力の一層の強化
  • インバウンド観光客を取り込む観光列車の充実
  • 北海道新幹線の札幌延伸に向けた対応
  • JR貨物との連携による貨物列車走行線区における旅客列車の利便性の一層の向上及びコスト削減
  • 経営安定基金の運用方針の不断の見直しを通じた運用益確保
  • JR北海道グループ全体を挙げてのコスト削減や意識改革
  • 地域の関係者との十分な協議を前提に、事業範囲の見直しや業務運営の一層の効率化

 事業範囲の見直しについては、2019~2020年度を「第1期集中改革期間」とし、JR北海道と地域関係者が一体となって、利用促進やコスト削減についての意見聴取などを行ない、持続的な鉄道網の確立または2次交通も含めたあるべき交通体系について徹底的に討論を行なうものとした。そして、その第1期集中改革期間が着実に遂行しているされていることを前提に、2021~2023年度を「第2期集中改革期間」とするとしている。

 また、JR北海道に対し、経営努力や第1期集中改革期間の事業計画の策定、2019~2023年度の中期経営計画、2019~2030年度の長期経営を2018年度中に策定することを求めている。

JR北海道の経営改善に向けた取り組みや国・地域の支援

 JR北海道の経営自立に向けて、国や地域自治体、関係者が必要な支援、協力を行なうことも明記。国からの支援は、国鉄清算事業団債務等処理法の期限内である2019~2020年度に、利用が少なく持続的に維持する仕組みが必要な線区に対する施設や車両の設備投資や修繕、貨物列車の運行に必要な設備投資や修繕、青函トンネルの維持管理に対して全額助成、経営基盤の強化に資する前向きな設備投資に対しては2分の1を助成、2分の1を無利子貸し付けとし、2年間で総額400億円台を支援。併せて、国鉄清算事業団債務等処理法の期限が切れる2021年度以降についても国の支援を継続するため、所要の法律案を国会に提出することを検討するとした。

 また、JR東日本(東日本旅客鉄道)に対しても、新幹線ネットワークを活用した連携や人的支援、技術支援ならびに観光分野における協力など、最大限の協力や支援を求めるとしている。