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おおさか東線 新大阪駅~放出駅に試乗してきた。前面展望写真で新規開業区間を紹介

2019年2月13日 実施

2019年3月16日 全線開業

 JR西日本(西日本旅客鉄道)は2月13日、全面開通まで約1か月に迫った「おおさか東線」の新規開通区間である新大阪駅~放出(はなてん)駅間で報道向けの試乗会を実施した。

「おおさか東線」は新大阪駅~久宝寺(きゅうほうじ)駅間(約20.3km)に新設される路線で、このうち南側の放出駅~久宝寺駅(約9.2km)は2008年3月に開業している。残る北側の新大阪駅~放出駅間(約11.1km)は3月16日のダイヤ改正に合わせて開業する予定で、線路や駅舎などはすでに完成しており、現在は駅構内の什器備品の設置や乗員訓練といった仕上げの段階に差し掛かっているという(関連記事「JR西日本、おおさか東線を3月16日全通。新大阪駅~奈良駅間を最短52分で結ぶ」)。

「おおさか東線」の概要

「JRおおさか東線」は新大阪駅~久宝寺駅間の新路線で、おおむね大阪環状線の北側から東側を南北に結ぶ。ほとんどの区間が戦前から存在する「城東貨物線」を複線化した路線。新大阪駅ではJR京都線、東海道・山陽新幹線と接続し、久宝寺駅ではJR大和路線とそれぞれ接続する。運行する列車は「直通快速」と「普通」の2種類。

「直通快速」はJR大和路線に乗り入れる列車で、新大阪駅~奈良駅間を結ぶ。途中の停車駅は放出駅、高井田中央駅、JR河内永和駅、久宝寺駅、王寺駅から奈良駅間の各駅で、他路線への接続は放出駅(JR東西線、JR学研都市線)、高井田中央駅(大阪メトロ中央線)、JR河内永和駅(近鉄奈良線)。朝夕各4本運行し、これにより新大阪駅~奈良駅間が最短52分となる。車両は321系と207系(7両編成)が投入され、沿線住民の平日の通勤通学はもちろん、休日に新大阪から奈良方面へ向かう観光の足としても便利だ。

試乗会に使用した321系D27編成
路線図

「普通列車」は新大阪駅~久宝寺駅間を34分で結ぶ。途中の停車駅は12駅で、他路線への接続はJR淡路駅(阪急京都線)、JR野江駅(京阪本線)、鴫野(しぎの)駅(大阪メトロ今里筋線)、高井戸中央駅(大阪メトロ中央線)、JR河内永和駅(近鉄奈良線)、JR俊徳道駅(近鉄大阪線)となる。201系(6両編成)を使用し、平日の設定本数は上下計134本、日中は約15分間隔で運行する。他路線との接続により、大阪府東部地域や奈良方面のアクセスが改善され、沿線住民の生活シーンにも大きな変化が生まれるだろう。

 試乗にあたり、JR西日本 大阪支社副支社長の宮本芳明氏に話を聞いた。宮本氏はおおさか東線の開業まであと1か月ほどとなったことについて、「万全の準備を整えて、安全運行に努めてまいりたい」と述べた。

 新大阪駅から奈良駅へのアクセスが向上することについては「新大阪駅は関西空港からのアクセスが便利で、また新幹線が発着するため、奈良県へ多くのお客さまに来ていただけるチャンス」であると話し、おおさか東線開業の3月16日から6月30日まで、奈良方面への観光需要の創出を目的とした観光キャンペーンを実施することについて触れた。また、競合となる私鉄各社については、「一緒に(奈良を)盛り上げて、サービスでは競っていきたい」と述べた。

西日本旅客鉄道株式会社 大阪支社副支社長 宮本芳明氏

3月16日に開業する区間(新大阪駅~放出駅)に試乗

 試乗会は午前と午後に分けて実施した。試乗区間は3月16日に開業する新大阪駅~放出駅間。使用した列車は「直通快速」に投入される321系7両編成。行程は電車庫(網干電車区明石支社放出派出所)を出発し、放出駅から新大阪駅に向かい、新大阪駅から折り返し運転で電車庫に戻るというもの。ここではその前面展望写真とともに、新規開業区間を紹介する。

放出派出所内。おおさか東線にも投入される207系電車が並んでいる
試乗車は321系D27(7両)編成
放出派出所を出て、おおさか東線(既成区間)の下り線に入る
おおさか東線(下り線)を上り方向に進む。放出駅手前で渡り線を通って上り線へ
内側2本がおおさか東線(左:上り線、右:下り線)で外側2本が学研都市線
放出駅ホーム3番のりばに入線。

 放出駅は、1、4番のりばが学研都市線、2、3番のりばがおおさか東線となり、1、2番のりば、3、4番のりばが同じホームだ。西から東に向かう、あるいは東から西に向かう際には同一ホームでの対面接続になり、乗り継ぎが便利になる。

取材前に放出駅から撮影した上り(京橋・新大阪)方向。内側がおおさか東線
放出駅で発車時刻を待つ。ホームでは鉄道ファンが試運転列車を撮影していた
放出駅~鴫野(しぎの)駅間
鴫野駅より先(上り)は学研都市線と分岐するため、学研都市線下り線がオーバークロスする
鴫野駅の2番線を通過。1、2番線がおおさか東線で3、4番線が学研都市線。当駅では大阪メトロ今里筋線とも接続する
鴫野駅~JR野江駅間。複線化により、かつての城東貨物線の面影もなくなりつつある
JR野江駅を通過。京阪本線野江駅と接続する
JR野江駅~城北公園通駅間は長い直線。阪神高速12号守口線の高架をくぐるとまもなく城北公園通駅
城北公園通駅を通過
城北公園通駅~JR淡路駅間。淀川橋梁が見えてくる
淀川橋梁。城東貨物線は単線だったが、淀川橋梁は元々複線用に架橋されており、2014年から複線化の工事が行なわれていた
淀川橋梁で試運転中の201系電車とすれ違い
JR淡路駅。阪急京都線淡路駅と接続

 JR淡路駅を過ぎると、おおさか東線は大きく進路を変えて「梅田貨物線(新大阪方向)」に合流する。現在でも貨物列車が走る城東貨物線はここで分岐、吹田貨物ターミナル駅に向かう。

ここから先は新設区間。右に分岐している単線が城東貨物線だ
南吹田駅で停車、時間調整を行なう

 JR南吹田駅は、城東貨物線と梅田貨物線とを結ぶ大きなデルタの途中にある。ここのみ吹田市で、前後の新大阪駅とJR淡路駅は大阪市となるため、運賃の特例制度の「大阪市内」が適用されることとなった。なお、この先新大阪までは京都線ではなく、貨物列車に加えて関空特急「はるか」など特急列車も多く走る梅田貨物線に乗り入れる。

また試運転電車とすれ違った。この日は実際のダイヤ通りに試運転を行なっていたようだ
新設区間はここまで。梅田貨物線に入線する
東淀川駅を通過。梅田貨物線を走行するため、おおさか東線の電車は停車しない
新大阪駅。おおさか東線の列車は最も西(写真右)のホーム、1、2番のりばに停車する
梅田貨物線は関西空港、和歌山方面の特急列車も走行するが、大阪駅は経由しない。そのためおおさか東線も大阪駅への乗り入れはできない
新大阪駅に停車中の試運転電車。(取材終了後に撮影)

 試乗した列車は新大阪駅1番のりばで7分間停車した後、折り返し放出派出所へ向かった。以下に紹介するのは、新大阪駅から放出駅に向かう下り列車だ。

おおさか東線 新大阪駅→放出駅 前面展望
京都線の東淀川駅を通過
神崎川を越えるとすぐに梅田貨物線とおおさか東線の分岐点にさしかかる
南吹田駅
JR淡路駅
列車は前後を走る普通列車にあわせてゆっくりした速度で運転した
淀川橋梁
城北公園通駅
JR野江駅
学研都市線(片町線)と並走
鴫野駅
学研都市線(下り線)がオーバークロスし、左から学研都市線下り、おおさか東線下り、おおさか東線上り、学研都市線上りに並ぶ
放出駅2番のりばに到着
放出駅を出発し、放出派出所へ
学研都市線上り線がオーバークロス。直線が学研都市線、右へカーブしているのがおおさか東線の既成区間
おおさか東線を離れ、放出派出所へ
放出派出所へ入線

【お詫びと訂正】初出時、直通快速の停車駅とキャプションの駅名の一部に誤りがありました。お詫びして訂正いたします。