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「TWILIGHT EXPRESS 瑞風」で大阪駅から姫路駅まで乗ってみた。1両丸ごと使ったスイートルームには湯舟もある
車窓から明石海峡大橋や淡路島を臨む
2019年2月23日 00:00
- 2019年2月3日 実施
JR西日本(西日本旅客鉄道)は2月3日、網干総合車両所宮原支所(大阪市淀川区)において、寝台列車「TWILIGHT EXPRESS 瑞風(みずかぜ)」に関する説明会と試乗会を実施した。
試乗会は新大阪駅近くの網干総合車両所宮原支所から出発し、東海道本線へ合流、大阪駅を通り山陽本線の姫路駅まで走行するルートを体験した。
「トワイライトエクスプレス」の伝統を受け継いだ「TWILIGHT EXPRESS 瑞風」
説明会ではJR西日本 瑞風推進事業部 部長の岡田学氏が、「TWILIGHT EXPRESS 瑞風」の概要を紹介した。「TWILIGHT EXPRESS 瑞風」は、1989年から2015年まで大阪駅~札幌駅間を運行していた寝台列車「トワイライトエクスプレス」の後継として、2011年にプロジェクトがスタート(関連記事「新旧トワイライトエクスプレスが並んだ! TWILIGHT EXPRESS 瑞風が運行1周年記念イベント」)。2017年6月17日から山陽・山陰エリアを運行している。
「TWILIGHT EXPRESS 瑞風」の開発にあたっては、先代「トワイライトエクスプレス」で支持された、日本海に沈む夕日や北海道の雄大な自然を楽しめる「車窓」、車内で調理したフランス料理の本格的なディナーを楽しめる「こだわりの食事」、格調高い内装のスイートルームやサロンカーに象徴される「豪華な車両」を踏襲。
そして車窓、食事、車両の伝統をブラッシュアップしつつ、4つ目の要素として「西日本の『沿線の魅力』」を加えた。地域共生企業を推進するJR西日本として、「TWILIGHT EXPRESS 瑞風」を通じて沿線の魅力を広く発信するという新たな役割を担わせ、コンセプトを「美しい日本をホテルが走る ~上質さの中に懐かしさを~」としている。
「ホテルが走る」というコンセプトから、デザイン統括・インテリア監修は電車のデザインではなく建物のデザイン経験が豊富な人をということで、「京都迎賓館」や数々のホテルを手がけた浦一也氏を起用。しかし、電車デザインのノウハウもということで、エクステリア監修にはN700系新幹線などを手がけた福田哲夫氏を起用した。
「TWILIGHT EXPRESS 瑞風」は10両×1編成。客室は16部屋あり、乗客の定員は30名(エクストラベッドを使い最大34名)で、その乗客数に対し16名前後の「クルー」が乗務する。すべての客室にトイレ(温水洗浄便座付き)、シャワー、洗面台を設置している。
客室は「ロイヤルシングル」が2、「ロイヤルツイン(ユニバーサル1室含む)」が13、「ザ・スイート」が1という構成で、「ザ・スイート」は「ホテルが走る」というコンセプトから1両を丸々使い寝室、リビング、バスルームなどを完全に分けた贅沢な作りとなっている。また、開発当初は不安もあったという「ロイヤルシングル」も「お一人様旅行」の需要とマッチして大変人気だという。現在は2月28日まで、第9期(2019年7月~9月出発)の申し込みを受け付けているが、いまだに抽選になるほどの人気を維持している。試乗会では「ロイヤルツイン」と「ザ・スイート」が公開された。
沿線の文化にこだわったインテリア
5号車のラウンジカー「SALON DE L'OUEST(サロン・ドゥ・ルゥエスト)」は24時間使えるパブリックスペース。バーカウンターも24時間対応で、ソフトドリンクからアルコール類まで無料で提供している。京都駅も発着駅であることから、ラウンジカーで「瑞風茶会」という催しも実施。千利休に縁のある「千家十職」によるオリジナルの茶道具を使い茶会を行なったという。
また、車内には随所にアート作品、伝統工芸品が展示されており、乗客に渡される「インテリア&アートコンセプトブック」にはそれら作品の解説が掲載されている。インテリア&アートコンセプトブックを片手に車内を探検&美術鑑賞するのも楽しそうだ。
日本インテリアデザイナー協会が、インテリアデザイナーや関連する企業・組織の優れた活動成果を表彰する「JID AWARD」において、TWILIGHT EXPRESS 瑞風は「JID AWARD 2018 インテリアスペース部門賞」を受賞している。この賞はこれまで高級ホテルなどが受賞してきたもので、鉄道車両としては瑞風が初受賞となり、単なる移動するための電車という枠を越えた空間デザインを実現していることが、本受賞からも伝わってくる。
「菊乃井」の村田吉弘氏や「HAJIME」の米田肇氏が手がけた食事を楽しめる
6号車の「DINER PLEIADES(ダイナープレヤデス)」で提供する食事は、フードコラムニストであり、料理雑誌「あまから手帖」の編集顧問でもある門上武司氏が監修。「菊乃井」の村田吉弘氏や「HAJIME」の米田肇氏が手がけたメニューを、大きな窓からの美しい風景を眺めながら楽しむことができる。