ニュース

JAL、乗務中のCAが「機内で飲酒」と結論。本人は現在も否定

2018年12月25日 発表

JALが乗務中のCAの飲酒について会見した。左から、日本航空株式会社 執行役員 総務本部長 植田英嗣氏、執行役員 客室本部長 安部映里氏、客室安全推進部長 井上雄一朗氏

 JAL(日本航空)は、12月17日成田発ホノルル行きのJL786便において、ビジネスクラス担当のCA(客室乗務員)から機内の呼気検査でアルコールが検知された事例の説明を行ない、「機内で飲酒があった」と結論づけた。

 12月25日に会見を開き、執行役員 総務本部長の植田英嗣氏、執行役員 客室本部長の安部映里氏、客室安全推進部長の井上雄一朗氏が出席した。

 経緯についてはすでに本誌でも報じているが、12月17日の成田発ホノルル行きJL786便の機内において、出発後3時間ほどの時点で「当該CAからアルコール臭がする」と同乗のCAから報告があり、先任CAがアルコール感知器で検査したところ、呼気から0.15mg/Lの値を検知したというもの(関連記事「JAL、成田~ハワイ線乗務のCAからアルコール検知。『食事やマウスウォッシュのせいでは』本人は飲酒を否定」)。

 その後、本人や同乗したCAらへの聞き取りなど社内調査を行ない、同社は機内で飲酒があったと結論づけた。本人は現在も機内での飲酒を否定しているが、JALとしては直近の事例なども鑑みて処分を下す意向であるという。

 JALは認定の根拠について、会見で以下の点を挙げた。

当該CAに飲酒があったとする根拠

・機内における複数回の検査で呼気からアルコールが検知された
・同乗した3名のCAが当該CAからアルコール臭を感じた
・同乗した4名のCAが当該CAについて「けだるいような表情に見えた」と感じた
・2017年11月の乗務中にも飲酒の疑いを指摘されていた
・本人が原因と主張したマウスウォッシュなどを使った実証実験でアルコール検査に影響がなかった
・プレミアムエコノミークラス用のシャンパン1本(6オンス、約170mL、アルコール度数12度)が提供していないにもかかわらず減っていた
・中央のギャレー(キッチン)のごみ箱から空き瓶が見つかった

 この決定を受けて、代表取締役社長の赤坂祐二氏は月額報酬の20%を自主返上、執行役員 客室本部長の安部映里氏は月額報酬の10%を自主返上する。再発防止策としては、「事例の周知と注意喚起」「全CA対象の乗務前のアルコール検査」が現在実施中で、加えて「全社員対象のアルコール研修(12月末終了予定)」「同研修を受けてグループディスカッション(2019年3月末終了予定)」「客室本部で飲酒に起因する健康関連教育(2019年3月末終了予定)」を実施するという。

 また今後、「相互確認したうえで乗務中のCAからアルコールの影響が疑われるときは会社への報告を義務づけ」「アルコールにまつわる疾病・不祥事のあったCAを把握し、定期的に管理職が状況を確認」「管理職1人あたりの乗務員配置数を現在の40~45名から2~3割削減」「年1回の定期安全教育でアルコールに関する安全意識教育を実施」などを行なっていく。

 社内調査については安部氏と井上氏が詳細を説明。当日のJL786便は、総座席数239席のボーイング 787-9型機で運航し、幼児1名を含む123名(122席)が搭乗していた。当該CAはビジネスクラス担当で、離陸時などベルトサイン点灯中はL2ドア(左舷2番目のドア)のジャンプシート(乗務員用の折りたたみ席)を使用しており、このシートが空き瓶の見つかった中央ギャレーに面している。

 プレミアムエコノミー用のシャンパンを保管しているのもこの中央ギャレーで、当日40本搭載したうち1本減ったことが確認できたのは、この日のプレミアムエコノミー利用者が21席中2名と少なかったためという。一方、ビジネスクラスは28席中28席を利用する満席だったとのこと(参考:JALのボーイング 787-9型機シートマップ)。

 最初に報告したCAは後方のエコノミークラス担当で、機内食などのサービスを終えて当該CAと接触した際にアルコール臭を感じている。その際、ビジネスクラスはまだサービスの途中だったが、ビジネスクラス利用者からアルコール臭の指摘はなかったという。ただし、同乗のCAから「トイレに頻繁に出入りしていた」という報告もある。

 当該CAは、2017年11月の乗務時にもアルコール臭を指摘されている。当時は着陸後にラバトリー(化粧室)から今回と同じシャンパン1本(6オンス)が見つかっており、管理職が面談したがやはり本人は飲酒を否定したとのこと。