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JAL、飲酒した副操縦士の実刑判決で社内処分を説明。当人の懲戒解雇と処分の公開は「社会に与えた重大性を鑑みて決定」

2018年11月30日 実施

 JAL(日本航空)は11月30日、飲酒した副操縦士の判決を受けて社内処分について説明を行なった。登壇したのは執行役員 総務本部長 植田英嗣氏と運航安全推進部長 佐々木敏宏氏。

 本件は10月28日のJL44便(ロンドン・ヒースロー国際空港~羽田空港線)に乗務予定だった副操縦士から英国の基準を上回るアルコール量が検出され、現地警察に拘束、のちに逮捕されたもので、事件の経緯などはすでにお伝えしているとおり(関連記事「JAL、飲酒した副操縦士の逮捕で再発防止策。『顔認証などで検査の厳格化を検討』と赤坂社長」)。

 起訴された副操縦士には、11月29日14時30分ごろ(現地時間)に判決が言い渡された。英国の法令(Railways and Transport Safety Act 2003)で定められた呼気/血中アルコールの基準を超える量が検出された状態で航空事業に従事した罪に問われ、判決は禁固10か月の実刑。

 これを受けて同社は以下の処分を決定した。すべて懲戒処分の扱いになっている。

処分内容

代表取締役社長 赤坂祐二氏:月額報酬の20%を3か月減額(12月から)
取締役専務執行役員 運航本部長 進俊則氏:月額報酬の10%を3か月減額(12月から)
当該副操縦士:懲戒解雇

 赤坂氏と進氏はそれぞれ11月分の役員報酬の自主返納も行なっているため、実際は4か月分になる。また、JL44便で同乗予定だった2名の機長、および副操縦士の上司にあたる3名(計5名)についても処分を行なっているが、その内容については明らかにしていない。機長2名の処分については、「アルコール検査の相互確認を怠ったこと」を最大の理由とした。

 従来、JALでは社内処分の内容を外部に公開してこなかったが、今回の副操縦士の処分公開について植田氏は、「社会に与えた重大性を鑑みて」と説明した。

 先日の会見でも再発防止策を挙げているが、新型アルコール感知器は拠点のある38の海外空港へ11月29日に配備を完了している。ただし、ネットワーク環境が整っていない空港では感知器のオンライン化にまだ時間がかかるという。このほか、今後全社員を対象にしたアルコールに対する知識の付与と意識向上に向けた研修を開始する。

 11月28日には、グループ会社のJAC(日本エアコミューター)の機長が乗務前の検査で基準値を超えるアルコール濃度を検出されており、乗務予定便(JAC3741便)が1時間遅れで出発するなどの影響が出ている。会見ではこの件にも触れ、JALグループ各社についても暫定的に運航乗務員の乗務開始24時間前以降の飲酒を禁止することを改めて説明した。暫定的、としているのは国の基準が年内に示される見込みであるためで、基準決定後に改めて方針を示す予定。

 なお、拘留中の副操縦士は判決を受けて近く収監される見込みだが、同社は1度だけ短時間の通話ができたのみで、本人との直接接触はいまだできていないという。