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エアバス、2018年の最新状況を説明。「訪日4000万人の実現にはA380が必要」

2018年11月1日 実施

エアバス アジア/北米担当マーケティング バイスプレジデント ヨースト・ヴァン・デル・ハイデン氏

 エアバスは11月1日、同社の最新状況を説明した。登壇したのは、アジア/北米担当マーケティング バイスプレジデントのヨースト・ヴァン・デル・ハイデン(Joost van der Heiden)氏。

 まずは2017年の航空業界の概況を振り返り、世界のGDP(国内総生産)が3%増だったことを受け、航空利用者数は3億人増、有償座席利用率(ロードファクター)は81.4%、RPK(有償旅客キロ)は7.6%増と活況で、「特にアジア太平洋地域(APAC)においてその傾向が顕著」という。

 2018年以降に目を向けると、今後2037年までの20年間に3万7400機が必要になると見られており、金額ベースでは5兆8000億ドル(約655兆円)。その内訳を、座席数が100から230席で3000nmを飛ぶ小型機が2万8550機、300席で5000nmの中型機が5480機、350席で1万nmの大型機が1760機、350席以上で1万nm以上の超大型機が1590機とした。また、APACにおいては20年間で1万5900機の需要と見ており、「世界の新造機需要に占める割合は43%になる」として、業界全体で重要な市場になっていると説いた。

 なかでも日本は、2002年から2017年までの15年間で旅客数が1.5倍に増えており、特に直近5年間の成長が著しい。今後20年間の必要機材数は1600機以上として、うち54%の867機が100~230席の小型機になるとの見通しを示した。

2037年までに必要な機材は1600機以上
日本では6社のオペレータがエアバス機を運航
エアバス各シリーズの受注状況

 そんなに日本市場に「一番向いた機材」として紹介したのが、エアバス A220-100/300型機だ。7月にボンバルディアから事業を買収したことでCシリーズから名前が変わった小型機で、座席数は100から150席。エアバス A320シリーズを補完する存在になる(関連記事「【ファンボロー航空ショー 2018】エアバス、ボンバルディアCシリーズを改称したA220-300の内部公開」)。

 ハイデン氏は「最新の複合素材、シャークレットを備えた効率的な主翼、ギヤード・ターボファン(GTF)エンジンを備えた機材。直近では、A220シリーズの4番目のオペレータであるデルタ航空に、A220-100型機を納入している」と説明。

A220シリーズ

 同社の航空機で「もっとも人気」と紹介したのはA320シリーズで、受注機数は1万4318機(2018年9月末時点)。最近は、シリーズで最大のA321neo型機の受注が好調で、2017年の引き渡し機数のうち40%、純受注機数の63%がA321neoだったとのこと。「244席を装備できる最大の単通路機で、座席あたりの燃費がもっともよい機材。このトレンドは今後も続く」とハイデン氏。

 派生型のA321LR型機は航続距離を4000nm伸ばした長距離型で、東京からは東南アジアのほとんどをカバーできる。また、7月にはピーチ(Peach Aviation)がアジアで初めてのA321LR型機のカスタマーになっており、A320neo型機からの発注切り換えを行なっている(関連記事「【ファンボロー航空ショー 2018】ピーチ、エアバスと共同会見。中距離事業向けにエアバス A321LRを2機購入」)。

A320シリーズではA321neoの受注が好調

 一方、ワイドボディ機の市場では、APAC市場で運航中のワイドボディ機のうち43%がエアバス製で、引き渡し予定のワイドボディ機は57%がエアバス製と説明。APACではワイドボディ機のうちA350シリーズの受注残が最も多く、A380シリーズを運航する航空会社の50%がAPACに集中している。

 A350シリーズは、9月末時点の引き渡し数が203機で、22の航空会社に納入済み。うち10の航空会社がA350を使って日本に乗り入れており、ほとんどの航空会社は、A350をボーイング 777型機の置き換えとして導入している。A350型機を使った路線は世界中に280あり、50%以上がAPACの航空会社で、65%以上がAPACを起点にした路線となっている。ハイデン氏は、「最適なキャパシティと長い航続距離、低い運航コストを考えれば、777に代わってA350が就航していくのは当然のこと」と自信を見せる。

 さらに、A350-900型機の利点を汎用性の高さにあると述べ、1000nm以内の短距離型や6350nmまでのリージョナル型、9700nmまで飛べる超長距離型と、3つの派生型を持つ。このうちリージョナル型と超長距離型は2018年に就航、9月22日には超長距離型のA350-900ULR初号機をシンガポール航空が受領、10月11日からは20時間以上ノンストップの世界最長路線となるシンガポール~ニューヨーク線に投入している(関連記事「エアバス、シンガポール航空のA350-900ULRの初号機引き渡し。10月11日からシンガポール~ニューヨーク線で運航」)。

 また、既報のとおりJAL(日本航空)がA350-900型機を18機、A350-1000型機を13機確定発注済みで、2019年にA350-900型機の引き渡しが始まる(関連記事「エアバス、A350-1000型機の飛行試験機を日本初披露。JALはボーイング 777-300ER型機の後継として長距離路線に導入予定」)。

A350は65%以上がアジア太平洋地域を起点とする路線で運航
A350-900型機シリーズは3つの派生型を含む4モデル
シンガポール航空が超長距離型のA350-900ULR型機をニューヨーク線に就航
A350はボーイング 777型機の置き換え導入の需要が強い
JALがA350を31機確定発注済み
A350-1000型機は2018年2月からデリバリーが始まっている

 500席以上を装備できる2階建ての超大型機A380については、羽田と成田の発着枠を例に、その必要性を説いた。「航空需要はこれから15年で倍増、かつ大都市に集中しており、しかも利用者は同じ時間帯に飛びたがる傾向がある」として、それを解決するソリューションがA380型機だという。すでに羽田の発着枠には空きがなく、成田の発着枠は82%を使用しているが、15~18時のピークにはリクエストが発着枠を上回っている、と説明。

「空港のキャパシティが限界に近いとき、唯一成長できる手段は機材の大型化しかない。例えば、イギリス・ヒースロー空港の発着枠も限界だが、利用者の10%がA380型機を利用しているというデータがある。日本政府は2020年までにインバウンド4000万人を目標に掲げており、今後ロードファクターを高めて、残りの発着枠を稼働させて、予定している発着枠の増分を活用しても、まだ500万人分の訪日旅客の枠が足りない。この解決には、A380型機を使うしかない」とした。

 2019年にANA(全日本空輸)に対してA380型機を引き渡すことを「とても楽しみにしている」と述べ、説明を終えた(関連記事「エアバス、ANAがホノルル線に投入するA380初号機を初飛行。塗装の準備でドイツへ」)。

東京の発着枠を例に、超大型機の必要性を強調した
訪日4000万人には500万人分の発着枠が足りない
ANAへは2019年に引き渡しを行なう