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アメリカン航空、「最重要拠点」と語る日本路線の戦略や見通しを説明。羽田空港の増加枠は日米各8便を期待

CES 2019期間の成田~ラスベガス線はビジネスクラス中心に売れ行き好調

2018年10月10日 実施

アメリカン航空は本社からセールス担当の上級副社長らが来日。報道陣からの質問に答えた

 アメリカン航空は10月10日、米ダラスにある本社からセールス担当の上級副社長らが来日したのを機に、報道関係者からの質問に答える場を設け、日本路線における今後の見通しや戦略などについて説明した。

 本社から来日したのは、アメリカン航空 グローバル・セールス担当 上級副社長 アリソン・テイラー(Alison Taylor)氏と、同インターナショナル・セールス担当 副社長 クリス・デグルート(Chris DeGroot)氏の2名。日本で活動するアメリカン航空 アジア・太平洋地区 副社長のシェーン・ホッジス(Shane Hodges)氏も同席した。

 アメリカン航空は以前から日本を、アジアにおける「最重要拠点」に位置付けている。アメリカン航空 グローバル・セールス担当 上級副社長のアリソン・テイラー(Alison Taylor)氏は、「アジアから米国へ移動するよきのハブになるのが一つ。JALとのジョイントビジネスを大きくしたいと思っている。日本の位置付けを変えるつもりはない」と話し、欧州よりも日本をハブとして重視する考えを述べた。

 また、2011年からのJAL(日本航空)との共同事業についても、「ビジネスを大きくしたい」とし、「特に米発はJALにとってアメリカン航空の(販売)サポートが必要だろうし、アメリカン航空には南米やカリブといった地域への乗り継ぎネットワークもある。日本発はアメリカン航空にとってJALのサポートが必要。融和によって1+1が3になるよう、よりビジネスを広げたい」と話した。

アメリカン航空 グローバル・セールス担当 上級副社長 アリソン・テイラー(Alison Taylor)氏

 日本路線については、このJALとの共同事業を前提に展開しているといい、「アメリカン航空の(アジア太平洋地域間の)輸送力は5年前に比べて2倍になった。2019年3月にJALが羽田~シアトル線に就航するし、このような背景をもとに少しずつ市場シェアを増やせればと考えている」としたほか、「2019年1月に行なわれるCESに合わせて成田~ラスベガス線を運航するが、これはJALとのコラボレーションで生まれたもの。アメリカン航空は12月にロサンゼルス~ブエノスアイレス線に就航するが、これもJALとの共同事業があってこそ」と説明。

 成田~ラスベガス線についてはビジネスクラスは高い予約率となっており売れ行きは好調だという。一方、エコノミークラス(メインキャビン)には余裕があるので、旅行会社経由での販売を含め、CESへ参加する目的だけでなく、レジャーにも使ってもらいたいとした。

 日本路線の将来的な話として、太平洋路線へのLCC進出の見通しなどについて尋ねると、「ダラスを拠点とするサウスウエスト航空があるのでLCCのビジネスについては深く理解している。最近ではULCC(ウルトラ・ローコストキャリア)のビジネスがあり、大西洋路線でも広がっている。LCCに対抗するための運賃としてベーシックエコノミーを提供している。太平洋路線としても同様の競合が発生するだろう。そのための準備もしている」とし、太平洋路線においてもLCCとの競合が始まるとの観測を示した。

アメリカン航空 インターナショナル・セールス担当 副社長 クリス・デグルート(Chris DeGroot)氏

 他方、国土交通省が計画を進める2020年に向けた羽田空港の発着枠拡大については、「日米間は16便の増加枠で、うち8便が米国の航空会社に割り当てられるのでは」との希望を含めて観測を示し、アメリカン航空としては「より多くほしい」とコメント。

 増加分については、アメリカン航空の米国内のハブ空港であるダラス・フォートワース、ロサンゼルス、シカゴを中心に考えているとしつつ、JALが運航する路線なども含めて検討するとしている。

 ただし、「東京に住む人には羽田が便利だろうが、東南アジアからの旅客を考えると成田も羽田も大きな差はない。羽田便が増加したことを理由に成田線を減らす考えはない」とした。

アメリカン航空 アジア・太平洋地区 副社長 シェーン・ホッジス(Shane Hodges)氏

 このほか、アメリカン航空は現在も1週間1機のペースで新機材の納入を受けているほか、今年4月にはボーイングに787型機を47機発注。基本的な考え方として、「ボーイング 787-8型機と787-9型機は同じパイロットが運航できる」と運用の柔軟性のメリットを掲げ、日本路線には成田~ダラス・フォートワース線などでボーイング 777型機も使われているが、将来的には787型機へ置き換えていく考え。そのほか、787型機の導入先として「座席供給量を増やす必要がある、成長が見込まれる市場(エマージング市場)へ積極的に投入していく」とした。

 こうした新機材のほか、ラウンジの改良などへ総額240億ドル(約3兆円)を投資。日本料理「くろぎ」の黒木純シェフ監修メニューを導入するなど、「アメリカン航空が変わったなと思ってもらえる努力をしている」と話した。

【記事訂正】初出時、投資額の米ドル額を24億ドルとしておりましたが、240億ドルの誤りです。お詫びして訂正いたします。