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9万トン級のプレミアム客船「セレブリティ・ミレニアム」の船内を紹介

横浜 大さん橋に寄港、目的地はカナダ・バンクーバー

2015年5月1日 入港

「セレブリティ・ミレニアム」

 米国のセレブリティ・クルーズ(Celebrity Cruises)が運航する、9万トン級客船「セレブリティ・ミレニアム」(Celebrity Millennium)が5月1日、横浜 大さん橋に入港した。それに合わせ、国内総代理店のミキ・ツーリストにより、報道関係者や旅行業界関係者を対象とした船内見学会が実施されたので、その模様をお伝えする。

 セレブリティ・クルーズは、ボイジャー・オブ・ザ・シーズやマリナー・オブ・ザ・シーズで日本発着のクルーズを運航するロイヤル・カリビアン・インターナショナルと同系列のクルーズ会社。

 セレブリティ・ミレニアムの今回の横浜への寄港は、「極東・太平洋横断クルーズ(17泊18日)」の一環。同クルーズは、4月26日(いずれも現地時間)に上海を出航し、27日に韓国・済州島、29日に神戸、30日に清水へ寄港後、横浜へ5月1日6時に入港。同日18時に出航後、5月5日にペトロパブロフスク・カムチャッキーへの寄港を経て、5月12日にカナダ・バンクーバーに到着するスケジュールとなっている。

 乗客定員は2034名で、今回のクルーズでは北米の乗客が多く、国籍別ではアメリカが約800名、カナダが約470名と半数以上を占める。そのほか、オーストラリアが約320名、ドイツが約200名。日本人も1名が乗船しているという。北米の乗客は、飛行機で上海へ移動し、本クルーズでバンクーバーへ戻る旅程にしているという。17泊18日という長期クルーズながら上記の通り寄港地が少なく、終日航海を行なう日が多いのが特徴になっている。

 ちなみに、海外クルーズは「ラグジュアリー」「プレミアム」「カジュアル」という3つのランクで語られるが、本船のクルーズは、“カジュアルクラスより少し高価な価格帯でプレミアムクラスのサービス”を提供しているのが特徴であるという。

横浜 大さん橋に停泊するセレブリティ・ミレニアム

 セレブリティ・ミレニアムは、同社が4隻を所有する「ミレニアムクラス」客船の1隻で、2000年に就航後、2012年に改装が行なわれている。総トン数は9万940トン。昨今の客船は10万トン超が増え、セレブリティ・クルーズでも約12万6000トンの「ソルスティクラス」を5隻所有しており、9万トン級の本船は中型~小形の客船という位置付け。デッキ数は12デッキ(12階)。全長は294m、全幅は32.2m。寄港地である横浜のシンボルの1つ、横浜ランドマークタワーが296.3mなので、ちょうどこれを横にしたのとほぼ同じと考えてよいだろう。

 なお、本クルーズ終了後のセレブリティ・ミレニアムは、夏期はバンクーバーを拠点としたアラスカ方面のクルーズを行なう。そして、10月に再び日本へ移動し、10月25日に横浜を出航して清水~神戸~長崎~宝山(上海)~那覇~基隆(台湾)~香港を巡る14泊15日の「日本・中国・台湾クルーズ」を実施。その後も東南アジアを中心としたクルーズを展開する予定となっている。詳しくはミキ・ツーリストが運営する、セレブリティ・クルーズ日本語サイト(https://www.celebritycruises.jp/)を参照してほしい。

 続いて、船内の様子を写真で紹介する。見学会はデッキ3(3階)から乗船後、エレベータでデッキ11へ移動し、下層デッキへと移動する流れで行なわれた。

エントランス、エレベータ

 乗船はデッキ3より行なう。乗降口付近には郵便やFAXの受け付け、両替などの相談カウンターを設けている。また、3デッキから5デッキをまたぐ「GRAND FOYER」と呼ばれる階段が、豪華な雰囲気を醸し出す。

 エレベータは船体前方、後方および中央の3カ所に設置されている。中央付近のエレベータはシースルーとなっており、船外を望むことができる。

乗客向けにさまざまな対応を24時間体制で行なうカウンター
GRAND FOYERと呼ばれる3~5デッキを結ぶ階段
船体中央部付近のエレベータホール
シースルーになっており、エレベータの中から屋外を望める
中央部付近のエレベータを船外から

デッキ11

 デッキ11には、創作料理のスペシャリティレストラン「Qsine」(キュイジーヌ)がある。巻き寿司をキャンディ風に仕上げたり、バネ(スプリング)の器に入ったスプリングロールなど、シャレの利いた創作料理を楽しめる。料理のメニューはiPadで提供されるが、パズルのようなデザートメニューを用意する遊び心もある。

 ちなみに、スペシャリティレストランとは、クルーズ代金に含まれない食事を行なうレストランで、キュイジーヌの場合は45ドルの追加料金が必要となる。船上での支払いは「Sea Pass」と呼ばれる船内クレジットが使われ、紐付けられたクレジットカードへ請求される仕組みとなっている。

 デッキ11にはそのほか、オープンデッキや、船外を望める展望ラウンジが設けられている。

創作料理のスペシャリティレストラン「Qsine」
和洋中、さまざまな創作料理を提供する
パズルのようになっているデザートメニュー
オープンデッキ。デッキ10にある屋外プールとは階段でアクセスできる
デッキチェアや日陰の休憩スペースも
オープンデッキから大さん橋、山下公園、ベイブリッジ方面を見たところ。向かいのバースに停泊しているのは同日入港した「ぱしふぃっくびいなす」(びいなすクルーズが運航)
船首寄りに設けられる展望ラウンジの「コスモスラウンジ」。ジャズの演奏会なども開かれる

デッキ10

 デッキ10にはスパ&フィットネスコーナーや、屋内外のプール、ビュッフェスタイルのレストランを設ける。このビュッフェスタイルのレストラン「オーシャンビューカフェ&グリル」はクルーズ代金に含まれるので、乗客は無料で飲食が可能。船尾部にテラス席も用意されている。見学時はティータイムだったためデザートなどが並んでいた。

スパやヘアサロンの受付。マッサージも受けられる
バルコニー席の「アクアクラス」乗客が無料利用できるミストサウナ。ほかの客室の乗客も有料で利用できるという
フィットネスコーナー。ここでは日によってヨガ教室などが開かれる
屋内プール。タラソセラピー(Thalassotherapy)と呼ばれる海水を浄化した温水を用いたプール
デッキ11の項でも紹介した屋外プール。軽食コーナーも設ける
ビュッフェレストランの「オーシャンビューカフェ&グリル」。
ティータイムだったため食事はなかったが、デザートやアイスクリームを求める乗客は多かった
「オーシャンビューカフェ&グリル」は船尾側にテラス席を備えている

デッキ5~3

 デッキ6~9はほぼ客室のみとなる。デッキ5~4はパブリックスペースで、クレープショップ「ビストロオンファイブ」やワインバー「セラーマスター」、カフェ、ショップ、カジノなど、さまざまな飲食、娯楽コーナーが並ぶデッキとなっている。

 船首部分には3デッキ吹き抜けのシアター、船尾側には2デッキ吹き抜けのメインダイニングが用意されている。

クレープショップの「ビストロオンファイブ」
ワインバーの「セラーマスター」。ワインは専用のプリペイドカードを用いた自動販売システム。プリペイドカードは25ドル分の額面のカードが20ドルから。白ワインは冷蔵されている。なお、同店でもっとも高価なワインは、1本7000ドルのナパの「スクリーミング・イーグル(赤)」とのこと
ケーキのラインナップも豊富なカフェ「カフェアルバーチョ」
ショップにはタグ・ホイヤーなどのブランドに混じって、アップル公認ショップの「Celebrity innovations」も店を構えている
3デッキ吹き抜けで、約900名を収容可能なシアター
こちらは2デッキ吹き抜けのメインダイニング
メインダイニング
カジノ
カジノではSea Passではなくキャッシュが使われるという。Sea Passを使ってキャッシュを引き出すことも可能
マティーニバーの「CRUSH」。ステンレス台を氷結させるなど、氷を使った演出が特徴。見学時は開店前だったが、すでに一部が凍り始めていた
一般のラウンジ「ランデブーラウンジ」
スイート乗客向けのVIPラウンジ「マイケルスクラブ」

 このほか特筆すべき点として、デッキ5のアクアクラス乗客向けレストラン「アクア」、デッキ4のスイート乗客向けレストラン「ルミナ」、デッキ3のスペシャリティレストラン「オリンピック」が挙げられる。

 ルミナは4月に設置されたばかりの新しいレストランで、スイート乗客向けに質の高いサービスと食事を提供。黒トリュフのリゾットやなど高級料理が振る舞われる。基本的にはスイート乗客のみ利用可能だが、席が空いていれば、追加料金50ドルを支払うことで、ほかの客室の乗客も利用できるとのことだ。

 オリンピックは、20世紀前半に英国のホワイト・スター・ラインが運航した客船「オリンピック」をイメージしたレストラン。オリンピックは、あのタイタニックの姉妹船(オリンピック、タイタニック、ブリタニック)の中で、唯一第2次世界大戦後に客船として利用された船。実際にオリンピックで使われた食器などが飾られているほか、店内の木製パネル部分は実際にオリンピックに使われていた木材を再利用したものというだけに、ファンには垂涎モノだろう。

バルコニー客室のアクアクラス乗客向けレストラン「BLU」。青をコンセプトカラーにしたクールな内装のレストラン
4月にオープンしたばかりの、スイート乗客向けレストラン「ルミナ」。高級料理や質の高いサービスを提供。食器などもおしゃれ
20世紀前半の英国客船「オリンピック」で実際に使われた木材などを利用したスペシャリティレストラン「オリンピック」。実際に使われた、ホワイト・スター・ラインのロゴ入り食器などを展示。船内も映画「タイタニック」を思い出すデザインだ。追加の料金は50ドル

スイート客室

 本クルーズはほぼ満船となっていたが、唯一、「セレブリティスイート」の客室の1室が空室となっており、見学することができた。ここはエレベータホールの反対側に位置する部屋で、スイート4種類のうち3番目の広さの部屋となる。

 17泊のクルーズで4800ドル(チップなどの諸費用込み)。バルコニー室が2500ドル(同)とのことで差額は大きいが、スイートの乗客は、アルコール飲み放題やスペシャリティレストランの利用、インターネット(Wi-Fi)接続などが全て無料となる特典もある。

セレブリティスイートの客室

編集部:多和田新也