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「第1回JAL折り紙ヒコーキ全国大会」開催。予選を突破した40名が滞空時間を競う

初代王者は小学生以下の部が14.75秒、一般の部が17.53秒。2020年は世界大会も予定

2018年3月18日 開催

各地の予選会を勝ち抜いた総勢40名が大田区総合体育館に集結した

 JAL(日本航空)は3月18日、大田区総合体育館(東京都大田区東蒲田)において「第1回JAL折り紙ヒコーキ全国大会」を開催。全国20カ所の予選会を勝ち抜いた40名が一堂に会し、日頃から磨き上げたテクニックを披露した。

 この全国大会は、次世代の人材育成への取り組みである「空育」の一環で行なっている「JAL折り紙ヒコーキ教室」をさらに盛り上げるため開催されたもので、北海道から沖縄県まで、全国から腕に自信のある参加者が集まった。

 競技は小学生以下の部と一般の部に分けられ、それぞれ20名が参加。予選に参加した人数は1763名(小学生以下の部が1100名、一般の部が663名)を数えた。競技内容はシンプルで、投擲した折り紙ヒコーキがいかに長い時間滑空するかというものだ。

 開会式では、折り紙ヒコーキ協会の会長である戸田拓夫氏が壇上に上がり、「紙ヒコーキは折り上がった瞬間から個性がでてきます。今日はその個性を見きわめて、どのような調整にして、どのように投げるか、といった日頃の練習の成果の見せどころです。紙ヒコーキは本当に微妙で奥深いものです。私も40年間やってきましたが、まだまだ精進して今後も続けていくつもりです。今日は心を落ち着けて、平常心で頑張ってください」とあいさつした。

折り紙ヒコーキ協会 会長 戸田拓夫氏。自身は滞空時間29.2秒のギネス世界記録を持つ

 続いて、JAL 代表取締役専務執行役員の大川順子氏が「先ほど戸田さんから40年続けてきたという話がありましたが、私どもJALでもパイロットや客室乗務員など、昨日よりは今日、今日よりは明日と、どのようにしたら快適なフライトができるか考えながら毎日、日本の空を飛んでいます。今日は皆さんが最高のパフォーマンスが出せるように私どもも全力でバックアップさせていただきます」と参加者にエールを送った。

日本航空株式会社 代表取締役専務執行役員 大川順子氏

 開会式の終わりには、折り紙ヒコーキ協会の名誉顧問である鈴木真二氏が「飛行機は楽しい乗り物ですが、作って飛ばすというのは非常に難しいものです。現在、開発から10年目を迎えようとしているMRJ(Mitsubishi Regional Jet)があります。初飛行を終えて、試験飛行を繰り返している段階で、2020年には皆さんが乗れるように開発が進んでいます。このように飛行機は作って飛ばすのは非常に難しいのですが、皆さんは開発から整備、操縦まで紙ヒコーキで手掛けているわけです。今後はそのスキルと情熱で飛行機に関わる仕事についてもらえればと思います。飛行機を研究したい人は東京大学の工学部航空宇宙工学科を目指してください(笑)」と、大学教授らしく未来を参加者に語った。

折り紙ヒコーキ協会名誉顧問・東京大学工学部 航空宇宙工学科 教授 鈴木真二氏
準決勝前に行なわれた大型折り紙ヒコーキのデモフライト
戸田氏が手にしているのはさらに大きな特大サイズの折り紙ヒコーキ。全長が1m50cmほどある

 準決勝では小学生以下の部、一般の部とそれぞれに分かれて競い合う。持ち時間は3分で、その間に3投して滞空時間を計測し、上位4名が決勝に進出する。使用する紙ヒコーキは、受付の際に渡される折り紙ヒコーキ協会の認定競技用紙(A5サイズ)を用いて1枚の紙で折って作成したもので、紙を切ったり、テープやのり付けなどは禁止されている。

 投げる際に助走、片足や両足離れてのジャンプは認められておらず、審判員が厳しくチェック。時間内であれば練習もOKで、時間を計測する際は手を挙げて申告する。飛行時間は投げた瞬間から床に着地するまでの間であり、人や壁に接触した場合は、その後に落下して着地した時点までの時間となる。

A5サイズの認定競技用紙。この紙で折ったヒコーキを使う
紙ヒコーキの種類は規定されていないが、ほとんどの参加者が「スカイキング」という折り方をチョイス
競技を終えると審判員から時間を記入した記録証が手渡される
JALのスタッフが審判員や計測係を担当。社内には折り紙ヒコーキ認定指導員の資格を持つスタッフが700名ほど在籍する
紙ヒコーキを飛ばす際は助走をつけずに真上に向けて思い切り投げる
紙ヒコーキが上空に上がり、翼が上手く空気をつかむとゆるやかに旋回しながら降りてくる。途中で大きく軌道が変わって失速することも多い

 準決勝が終わり、次の8名が決勝に進出。決勝戦は基本的なルールは変わらないが、1人の持ちタイムが5分となり、最大で5回投げることができる。1回投げて折り目を細かく調整する人や、次々と投げ上げる人など、各自がそれぞれの戦術で飛行時間の更新を狙っていた。

小学生以下の部 決勝戦進出者

暫定1位:岡本大夢さん(オホーツク)
暫定2位:小幡将也さん(東北)
暫定3位:荒川創太さん(中国)
暫定4位:竹内登功多さん(中部)

一般の部 決勝戦進出者

暫定1位:岡田拓巳さん(関西)
暫定2位:本間達志さん(上川)
暫定3位:吉岡航希さん(中国)
暫定4位:山里温夢さん(沖縄)

 決勝戦では、どの参加者もファイナリストらしい飛行を見せ、軒並み10秒以上の好記録が続出。紙ヒコーキがゆるやかに旋回を始めると感嘆の声が上がり、観覧席や壁に向かうと「曲がれ曲がれ!」と熱い声援が送られた。

 競技の結果、小学生以下の部では岡本さんが14.75秒で優勝。一般の部は、岡田さんが17.53秒で準決勝1位通過の貫禄を見せた。

 2019年も開催が決定している折り紙ヒコーキ全国大会だが、大川氏によると2020年には世界大会も開催する予定とされており、今後も折り紙ヒコーキを通じて地域との相互交流発展のために尽力していくとのことだ。

小学生以下の部 結果

1位:岡本大夢さん(14.75秒)
2位:小幡将也さん(13.18秒)
3位:竹内登功多さん(12.00秒)

一般の部 結果

1位:岡田拓巳さん(17.53秒)
2位:吉岡航希さん(17.16秒)
3位:本間達志さん(15.91秒)

小学生以下の部で優勝し、大川氏より第2回全国大会のシード権などを贈られる岡本大夢さん
一般の部で優勝した岡田拓巳さん。同じく、優勝盾やボーイング 787型機のモデルプレーンなどが大川氏より贈られた
ファイナリスト
最後は全員で紙ヒコーキを一斉に飛ばして全国大会は終了した