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NEXCO東日本、定例会見でスマートメンテナンスハイウェイについて説明

高速道路の維持管理データの効率的な活用を目指す

2017年9月27日 実施

NEXCO東日本が目指すスマートメンテナンスハイウェイの概要

 NEXCO東日本(東日本高速道路)は9月27日、2017年度で5回目となる定例記者会見を実施し、スマートメンテナンスハイウェイ(SMH)の取り組みなどについて説明した。

 NEXCO東日本は現在、維持管理業務のあらゆる面に最先端の技術を取り込むことを目指したスマートメンテナンスハイウェイのプロジェクトを進めている。このプロジェクトの目的について、NEXCO東日本 代表取締役社長の廣瀬博氏は「高速道路の長期的な安全、安心の確保のためにICTや機械化を積極的に導入するとともに、それらが技術者と一体化したメンテナンスに関わる業務基盤を抜本的に再構築するものであり、生産性を飛躍的に向上させるプロジェクトになることを目指している」と説明した。

東日本高速道路株式会社 代表取締役社長 廣瀨博氏

 このプロジェクトにおいて、高速道路の維持管理データを効率的に活用するためのインターフェイスの一部を備えたシステムが完成した。このシステムは「インフラ管理モード」と「橋梁モード」を備える。インフラ管理モードは、位置情報を用いて各種システム間を横断的に検索し、「道路諸元情報」や「構造物諸元情報」などの各種情報を取得、表示するもの。橋梁モードは、橋梁の諸元情報や点検記録、損傷状況といったデータや橋梁詳細図、過去の工事記録などの情報取得と閲覧に加わえ、補修計画の立案や道路管理指標の分析など、橋梁の点検から補修までの業務プロセス全体を支援するという。

 今回開発されたインターフェイスは、RIMS(道路保全情報システム:Road Maintenance Information Management System)を構成する15の個別システムをまたぎ、横断的にデータを取得し、分析と可視化を実現するものとなっている。

 従来はシステムが分かれていたため、社員が各システムから必要なデータを取り出し、それをパソコンで加工、資料化する工程を経なければ、データの分析や比較、評価が行なえなかったという。しかし新たに開発したユーザーインターフェイスを利用することで、多種多様なデータを横断的に取得し、さらに多角的な視点での可視化が可能になったという。この基本技術は国家プロジェクトである戦略的イノベーション創造プログラムで開発されており、すでに山形県の橋梁データベースで活用されている。

現場点検に必要な資料を一括して格納できる点検モバイルPC。点検結果や写真も紐付けて保存し、点検システムとの間でデータ共有が可能としている

 今回開発されたシステムは、開発した佐久に加え、札幌、盛岡、郡山、三郷、湯沢の6モデル事業所へ2017年度下期から展開される。

 廣瀬氏はこのプロジェクトの意義について「点検作業員や保守作業員の確保が難しくなっているため、日本の道路管理技術そのものを高度化し、省力化していくことが必要。その意味で、SMHは働き方改革にもつながってくる重要な取り組み。今後も新しい技術を採り入れて、高度化を進めていきたい」と語った。

 また、NEXCO東日本の営業概況についても説明が行なわれた。通行台数は対前年比2.4%増、料金収入は3.2%増だったとしたうえで、取締役兼専務執行役員 管理事業本部長の遠藤元一氏は「景気回復の影響もあり、中型車以上の車種が引き続き増加傾向にある」とした。

 SA(サービスエリア)およびPA(パーキングエリア)の売上高は、対前年比3.5%増だった。取締役兼常務執行役員 サービスエリア事業本部長の萩原隆一氏は「飲食商品販売部門では、8月半ばまで広い範囲で天候不順だったが、後半は天候が安定したことで若干ではあるが2016年売上高を上回ったと考えている。ガソリンスタンドは2016年よりも各油種11円以上単価が上昇していることで、前年を大きく上回った」と説明した。

東日本高速道路株式会社 取締役兼専務執行役員 管理事業本部長 遠藤元一氏
東日本高速道路株式会社 取締役兼常務執行役員 サービスエリア事業本部長 萩原隆一氏

 またETC車を対象とした、事前申し込み制観光向け通行料金割引商品である「ドラ割」についても説明が行なわれた。昨シーズンは水上や湯沢、志賀、妙高方面に向けたドラ割り「関越・上信越ウィンターパス 2016-2017」を販売したが、今シーズンは対象地域に沼田や軽井沢、菅平など、出発地として首都圏のほかに新潟市周辺と北陸三県を加えた多くのプランを予定しているという。この商品の詳細は11月下旬ごろに発表するとしている。