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第2ステージは一般来場者を大事にしたまま商談会充実へ、「ツーリズムEXPOジャパン2017」発表会

「ジャパン・トラベルマンス2017」の関係4省庁からも代表者が出席

2017年5月30日 実施

ツーリズムEXPOジャパン2017主催3団体の代表に加え、ジャパン・トラベルマンス2017関係4省庁、ツーリズムEXPOジャパン2017 広報アンバサダーが出席して概要発表会を実施

 ツーリズムEXPOジャパン主催3団体(日本観光振興協会、日本旅行業協会、日本政府観光局)は5月30日、9月21日~24日に行なわれる「ツーリズムEXPOジャパン2017」の概要発表会を実施した。2016年同様に、このツーリズムEXPO期間を起点に、11月3日の文化の日までをスポーツ、文化を感じて旅する秋をテーマに官民連携して観光機運醸成を図る「ジャパン・トラベル・マンス 2017」を実施することも発表。ツーリズムEXPOジャパン主催3団体と、観光庁、スポーツ庁、文化庁、そして新たに参画する環境省の各担当者も同席した。

 ツーリズムEXPOジャパンは、国内観光需要喚起を目的とした「旅フェア日本」と、海外旅行の需要喚起を目的とした「JATA旅博」を、2014年から統合した形で実施してきた。主催者は2016年までの3年間を「ホップ・ステップ・ジャンプ」として第1ステージに位置付けてきたが、2017年からは第2ステージとして、日本政府観光局も主催に加わり三位一体で訴求。BtoBへの取り組みをより強める。

日本旅行業協会 会長 田川博己氏

 取り組みの概要を説明したJATA(日本旅行業協会)会長の田川博己氏は、冒頭で「ツーリズムEXPOジャパンは2016年の入場数が18万5000人ということで、かなり大きな祭典となってきた。多くの人に認知され、BtoCについてはおおむね完成形に近くなっていると思うが、いわゆるBtoBについてはその機能の向上を図りたい。特に政府が求めている明日の成長を支える観光ビジョンで、観光を成長のエンジンにする方向を示しているので、その見える化をすることが必要。ツーリズムEXPOジャパンが、まさに表現の場だと思う」とツーリズムEXPOジャパンに対する大局観を示した。

 そのツーリズムEXPO2017のキーテーマとキービジュアルも発表。キーテーマは一般消費者向けには「見つけよう。旅の『新しいカタチ』。」として、新しい旅を発見できる場を提供する。BtoB向けには「創ろう。ツーリズムの『新しいカタチ』。」として、多様化している旅の新しいカタチをツーリズムEXPOジャパンで可視化していく。

 キービジュアルは、これまで日本の伝統的な絵柄を用いてきたが、2017年は扉を開けて楽しい世界へ旅立つイメージとし、旅の目的や場所、手段などによって無限に生み出される旅を、“万華鏡”をモチーフに表現した。

ツーリズムEXPOジャパン2017のキービジュアルが描かれたポスター

 続いて、主要な5行事について説明があった。

「ツーリズムEXPOジャパン・フォーラム」は国連の「持続可能な国際観光年」への協賛企画とし、UNWTO(国連世界観光機関)の協力を得て海外15カ国の観光大臣を招いた観光大臣会合や、2016年までも実施してきた「アジア・ツーリズム・リーダーズ・フォーラム」を実施する。

「展示会」は、従来は東京ビッグサイトの東1~6ホールを使用してきたが、増床された2ホールを用いて計8ホール全面貸し切りで実施。田川氏は「観光関係では日本一、世界でも有数の観光イベントになると思っている」とした。

「商談会」は2017年のツーリズムEXPOジャパンで注力しているポイントで、出展者のビジネス効果を追求する欧米型の展示会を目指す。田川氏は「商談の量の拡大と質の向上」を課題として挙げ、「これが成功するかが第2ステージの大きな目的」と話した。

「交流会」は、これまでJAPAN NIGHTとして屋外でPRするレセプションを設けていたが、2017年はウェルカムレセプションを東京ビッグサイト内の2会場で、海外出展者を対象とした「WELCOME RECEPTION WORLD」、国内・訪日出展者を対象とした「WELCOME RECEPTION JAPAN」を行なう。ビジネスネットワークを重視しつつ、日本の魅力をアピールできるものとする。これまで屋外で行なっていたJAPAN NIGHTは天候に恵まれないことが多く、田川氏は「実行委員長としては少し気持ちが楽になる」と冗談を交えつつ、「交流会の質を高め、実体的にできる内容」であるとした。

日本観光振興協会 理事長 久保成人氏

「顕彰事業」については、日本観光振興協会 理事長の久保成人氏から詳しく説明があった。観光産業の発展と拡大に貢献している事業者の持続可能な優れた観光への取り組みを表彰する「第3回ジャパン・ツーリズム・アワード」を実施。2016年は158件の応募から「飛騨高山国際誘客協議会」が大賞を受賞した。

 2017年は領域を国内・訪日領域と、海外訪日に分け、それぞれビジネス部門、地域部門、メディア部門の3部門に、応募数は190件を目標とした。

 2017年の同イベントの特徴としては、BtoC向けには、添乗員付き海外旅行の魅力などを紹介し「旅行会社ならではの旅」を訴求する説明会の実施や、バルト三国や旅の安全・安心を情報発信するなどの主催者企画によるコーナーの設置、世界の絶景を紹介するセミナーなどを開催。

 このほか、国内・訪日旅行の魅力をアピールすべく、観光庁との連携によるテーマ展示や、観光省との連携による国立公園満喫プロジェクトのブース、文化庁との連携による日本遺産ブースなどを設置する。また、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向け、パラスポーツの認知促進や、スポーツ体験コーナーなどを設ける。

 2017年の強化ポイントとなっている商談機能については、「グローバルな商談会」への飛躍を目指す取り組みとして、アポイント制商談の充実や、旅行会社との商談機会の拡大、観光関連企業・団体との新たな商談機会の創出を挙げ、近隣アジア諸国の旅行会社も参加する商談会を試験的に実施することを明らかにした。

 田川氏は「第2ステージとしてチャレンジすることは多いが、これまでのBtoCの力を維持しながら、新しいBtoBの形に入っていきたい」と意気込みを示した。

 また、東京ビッグサイトが使用できなくなることもあり、2019年以降には地方開催が検討されていたが、その具体的な発表があった。2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開催効果を持続させ、観光交流による成長を全国に波及させることも目的としている。

 2019年は東京オリンピック・パラリンピック開催の前年で、ラグビーワールドカップが行なわれる年で世界の注目も集まり、万国博覧会開催を目指す大阪で実施。内容は、展示会や商談会、フォーラムなど現在のツーリズムEXPOジャパンで実施している内容を踏襲し、10月24日~27日にインテックス大阪で行なう。

 2020年は東京と沖縄で行なう。ポスト2020の成長戦略の観点から東京でも実施し、加えて国際海洋リゾートの潜在力を持つ沖縄で開催する。

日本政府観光局 理事長 松山良一氏

 続いて、JNTO(日本政府観光局)理事長の松山良一氏が、VJTM 2017(VISIT JAPAN Travel & MICE Mart 2017)の概要について説明した。松山氏は冒頭、「4月の訪日旅客は単月で始めて250万人を超える新しいステージに入った。JNTOがツーリズムEXPOジャパン2017の主催者に名を連ねることを光栄に思う」とコメント。

 そのVJTMは、商談会とFAMトリップの2本柱で実施する。

 商談会は、世界34カ国420社の海外バイヤーを招待し、国内のセラーや訪日旅行関係団体・企業約770社の計1100社以上と、事前マッチングによる1万件以上の商談を予定している。国内セラーは前年の450社から770社に増加。募集は6月1日から開始する。

 また、地方誘客や消費促進、震災からの復興を支援すべく東北、九州のセラーに対して優先枠を設けるほか、スキーやハイキングなどのアウトドアを扱う海外バイヤーを招聘し、アウトドアアクティビティを提供する国内セラーにも優先枠を設けるという。

 FAMトリップは同じく海外バイヤー約420社程度を対象に16コースを用意して、日本各地を体験、視察してもらう予定となっている。

 さらに、三位一体での共催となる2017年は、VJTM参加のバイヤーとツーリズムEXPOジャパンとの交流を促進させる目的で、初日と2日目にバイヤーズランチの場を設け、ツーリズムEXPOジャパンの出展者によるアピールや展示会場の内覧会などを実施。ウェルカムレセプションにも招待し、ネットワークの場としてもらう。

 松山氏は、「訪日旅行、国内旅行、海外旅行に携わる国内外のキーパーソンが集まって交流の場を設けることは、さまざまな相乗効果があるのではないかと期待している。インバウンドに対する関心が高まって追い風。日本の観光産業全体が官民一丸となって発展させ、基幹産業にむけての大きな第一歩になることを期待する」と話した。

各省庁も協力し観光に取り組む

 その後、来賓として参加したジャパン・トラベルマンス 2017関係省庁の代表者が挨拶した。

観光庁長官 田村明比古氏

 観光庁長官の田村明比古氏は、「当たり前のように海外旅行と国内旅行と訪日旅行、一般の方々と観光関係者、BtoBとBtoC、そのような情報発信、商談の場が、関係者一同が介して開かれるのは、ちょっと前の状況から見ると隔世の感がある。昔はバラバラに行なわれた」とし、ツーリズムEXPOジャパンが世界有数の大きな観光イベントになったことに喜びを示した。

 一方で、海外、国内、訪日の各ジャンルはそれぞれに課題を抱えているとし、「それぞれの旅行が今後どのように進んでいくかを、ツーリズムEXPOジャパンで示していくのが重要なこと」とした。

 そして、観光庁をはじめ各省庁が連携して行なうジャパン・トラベルマンスについて、「国内外の皆さんが日本を楽しむもっともふさわしい季節に、いろいろな資源を使って観光を盛り上げたい」と意欲を示した。

 スポーツ庁 スポーツ総括官の平井明成氏は、「これからの日本のスポーツ政策を決める基本計画のなかで、スポーツによる地域活性化を大きく取り上げ、観光資源とスポーツを組み合わせたスポーツツーリズムを重要な戦略として取り上げている。ジャパン・トラベルマンスはその拡大を牽引するためにも期待が膨らむ」と話し、今後国際大会が続くなかで、地方自治体と地域の経済界がいろいろなイベントを企画していることを紹介。「その取り組みを支援することで、地域が活性化することを進められればと考えている。スポーツツーリズムがトラベルマンスを一つの弾みとして、新たな成長産業となることを期待している」と話した。

 文化庁 文化財部長の山﨑秀保氏は、現在54件が登録されている日本遺産を多くの人に知ってもらう意味でもツーリズムEXPOジャパンやVJTMは意義のあることとし、「文化財の観光資源としての魅力を活かして、日本遺産という新たな切り口での旅行商品が作られることに期待。文化財の持つ潜在力で観光振興にも協力していきたい」とした。

 環境省 自然環境局長の亀澤玲治氏は、国立公園の魅力である自然を守りながら楽しめるアクティビティや景観改善を進める「国立公園満喫プロジェクト」に取り組んでいることを紹介。「地域の文化や生業と一体となった日本の国立公園ならではの魅力を磨き上げることで、世界中の人たちから日本の国立公園を旅の目的地として選んでもらい、インバウンド増に貢献したい」と話し、先述のとおりツーリズムEXPOジャパンでの国立公園満喫プロジェクトのブースを設けることに加え、VJTM期間中に各地の国立公園でイベントを実施したいとした。

スポーツ庁 スポーツ総括官 平井明成氏
文化庁 文化財部長 山﨑秀保氏
環境省 自然環境局長 亀澤玲治氏

 このほか発表会では2017 ミス日本グランプリ、2017 ミス日本ミス着物に選ばれた高田紫帆氏がツーリズムEXPOジャパン2017 広報アンバサダーに就任することが発表され、JATA会長の田川氏から任命証が渡された。任期は1年間。

 就任に際して高田氏は、「大学で海外文学を専修しており、そのきっかけが旅だった。2年前に短期留学でイギリスへ行った際、ピーター・ラビットの舞台である湖水地方を訪れた。本で読んでいたとおりの世界が広がっており、ヒツジの放牧や博物館で聞いた作者のエピソードなど、素敵な経験ができた。旅に出ると人や景色、自分の気づきなど、本当にさまざまな出会いがある。観光に携わる方々が一丸となって、訪日外国人旅行客4000万人、海外旅行2000万人を目指して取り組んでおり、広報アンバサダーとしてお手伝いできることを光栄に思う。4000万人が日本に来るときに、4000万通りの素敵な出会いがあるように精いっぱい務めたい」と挨拶した。

ミス日本グランプリの高田紫帆氏をツーリズムEXPOジャパン2017 広報アンバサダーに任命