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カシオ、電波+GPS+インターネットで時刻取得する世界初の時計モジュール「Connectd エンジン 3-Way」発表会

初搭載製品は航空コンセプトのG-SHOCK「GRAVITYMASTER GPW-2000」

2017年3月1日 発表

新世代モジュール「Connectd エンジン 3-Way」を搭載した、「G-SHOCK GRAVITYMASTER GPW-2000」

 カシオ計算機は3月1日、世界で初めて3つの時刻取得システムを搭載した時計用新世代モジュール「Connectd エンジン 3-Way」を開発したと発表した。Connectd エンジン 3-Wayは、世界5カ国(日本[福島、九州]、アメリカ、イギリス、ドイツ、中国)の標準電波と、GPS電波受信を行なうほか、Bluetooth Low Energy経由でスマートフォンと接続するとこでインターネットのタイムサーバーからも時刻情報を取得可能としている。

 この新世代モジュール「Connectd エンジン 3-Way」を搭載した最初の製品は、耐衝撃ウオッチ「G-SHOCK GRAVITYMASTER GPW-2000」で、航空コンセプトを採用。文字盤は航空機の計器をモチーフとしており、取得した位置情報から緯度を9時側インダイヤル、経度を6時側に設けられた小窓に表示する。また、時計側のボタンを押した際の地点情報を時刻情報とともにスマートフォンの地図上に表示できるフライトログ機能を搭載した。このGPW-2000は5月19日発売、価格は10万円(税別)。

 ワールドタイム機能としては、世界28都市(39タイムゾーン、サマータイム自動設定機能)+UTC(協定世界時)の時刻表示、2都市時刻表示、サマータイムとの時刻入替機能を持ち、スマートフォンとのモバイルリンク機能によって約300都市のワールドタイム設定機能、自動時刻修正、フライトログ、簡単時計設定などの機能が利用できる。電源はタフソーラー(ソーラー充電システム)を内蔵し、連続駆動時間はパワーセービング状態で約23カ月。質量は約198g。

カシオの思いは“完全自動化”

カシオ計算機株式会社 取締役 専務執行役員 増田裕一氏

 発表同日、カシオは都内においてConnectd エンジン 3-Wayの発表会を開催。カシオ計算機 取締役 専務執行役員 増田裕一氏が解説を行なった。カシオの時計事業は1974年に発売されたカシオトロンの開発をもってスタートし、そのカシオトロンには完全自動化時計を目指し、世界初の機能として自動カレンダー機能が入っていた。

 この完全自動化という目標を追い求め、ソーラー時計や電波時計、2014年には電波時計機能とGPS機能の2つを内蔵したGPW-1000を発売している。ここまでしても完全自動化にするには、サマータイムの壁があるという。サマータイムやタイムゾーンは国や地域によって施策が異なり、時期によって変更されることもある。

最初の製品であるカシオトロンから、完全自動化という思いをもって時計を開発してきた

 そのサマータイムなどに自動対応するため、Bluetooth Low Energy経由でのスマートフォン接続機能を搭載。サマータイム情報、時刻情報をインターネット上にあるタイムサーバーから取得し、自動で時刻を合わせてくれるという。

 増田氏によると、これはスマートフォンの時刻に合わせるのではなく、スマートフォンを利用してインターネットのタイムサーバーに接続するのがポイントで、仮にスマートフォンの時刻が間違っていても時計の時刻が間違うことのないようにという配慮がなされているとのこと。

各国のサマータイム施策などについて
インターネットに対応
時刻ルールをアップデートする
各部品の小型化テクノロジ
Connectd エンジンを各ブランドの時計に搭載していく。3Wayもあれば、電波との2Way、インターネットのみのシングルも含まれるという

 この際に、時計がもつサマータイム情報も最新のものに書き換えられるので、常時インターネットに接続する必要はなく、通常のソーラー電波時計と同様のバッテリーライフを実現。通常の時計と変わりないバッテリーライフで使用できる(Bluetoothでの通信は1日4回行なう)。

 日本の時計市場は、かつてはクォーツ時計が中心だったが、現在は電波時計が主流になっている。日本にいれば標準電波をどこでも受信できるため、電波時計で十分な面もあるが、世界を飛び回るビジネスマンやパイロット、海外旅行客にとって、電波時計は機能としては不十分。GPS受信機能で対応するが、やはりサマータイムの問題があり、インターネットによる接続機能を搭載するに至ったという。

 別途配布されいてるインターネット接続アプリケーションは、iOS 10以上、Android OS 6以上に対応し、このアプリケーションを使えば、サマータイムや時刻の自動補正ができるほか、時計のボタンを押すことで時刻と位置情報を蓄積することができ、フライトログやトラベルログを記録することもできる。

 カシオはスマートウォッチを別途商品化もしているが、増田氏は「スマートウォッチは機能で買う商品なので充電をしてくれる。一方、時計は動いて当たり前の商品。毎日充電などを行なうと面倒になってくる。カシオは時計メーカーとして時計という商品にこだわりたい。そのうえで、別途機能が主体になるスマートウォッチを用意している」とのことだ。

 時計にどれだけの機能を求め、どれだけの頻度で充電できるかは、それぞれの人のライフスタイルによる。しかしながら、正確な時刻を表示するというのを第一に考えるならば、サマータイムやタイムゾーンまでも自動で設定してくれるConnectd エンジン 3-Way搭載時計は、最もそのニーズに近い製品であるのは間違いない。

各機能はカシオ計算機株式会社 時計商品企画部 斉藤真司氏より説明
フライトログ機能