ニュース
ANAと高知県が包括連携協定締結。地域PR「Tastes of JAPAN by ANA KOCHI」も3月スタート
割引運賃「平成の薩長土肥割」や3月4日開幕の「志国高知・幕末維新博」をアピール
2017年2月23日 20:14
- 2017年2月22日 発表
ANA(全日本空輸)は、日本各地の地方の魅力を国内外に発信するプロジェクト「Tastes of JAPAN by ANA」の第15弾として、2017年3月~5月の3カ月間、長野県、茨城県、高知県を特集する。2月22日には、高知県での取り組みとなる「Tastes of JAPAN by ANA KOCHI」についての記者会見を高知市内で実施した。
また同日に、ANAHD(ANAホールディングス)と高知県との間で包括連携協定も締結。Tastes of JAPAN by ANA KOCHIの発表会に先立って締結式が行なわれたほか、ANAHD代表取締役社長の片野坂真哉氏を高知県の観光特使に任命する委嘱状贈呈式も行なわれた。
高知県とANAHDが包括連携協定締結
高知県とANAHDは2月22日、従来より観光振興などの協力関係をさらに拡大し、移住促進や少子化対策などでも協力すべく、包括連携協定を締結した。高知県では「まち・ひと・しごと創生総合戦略」に取り組んでいるなか、この包括連携協定締結を地方創生実現につなげたいとする。
締結式で挨拶した高知県知事の尾﨑正直氏は、毎年実施している誘遊四国の企画や、過去にはNHKの大河ドラマ「龍馬伝」のラッピングジェットを飛ばすなど、ANAによるこれまでの高知県関連の取り組みに感謝の言葉を述べたうえで、「本当にいままさに高知県が求めているものを展開していただいている。地産外商の取り組みを進めているが、これからは輸出を本格的に視野に入れていかないといけない。ANA Cargoの取り組みが非常に大きな力になる。観光振興の観点からも、これまで平成の薩長土肥連合に対して『平成の薩長土肥割』を展開いただくなど応援をいただいているが、さらに(3月4日に開幕する)志国高知・幕末維新博に焦点を当ててのPRをいただくのは非常に大きいこと」など、いくつかのポイントを挙げて協定に期待。
そして、「今回結んでいただく包括連携協定を十全に活かしきりたいと思っている。人口減少下にあっても拡大する経済、そして一人一人が幸せに暮らしていける高知県作りに邁進していきたい」との意欲を示した。
ちなみに今回の包括連携協定はANAHD側から提案したことで実現したとのこと。ANAHD代表取締役社長の片野坂真哉氏は、「(こうした発表では)内容を抽象的に紹介することが多いが、今回はプログラムが具体的であったと思う。尾﨑知事ご自身も非常に具体的で、県産品を貨物でアジアに発信をするという話があった。今回紹介しているだけでなく、ほかにもできることがきっとある。さまざまな分野で今後とも高知県との絆を深めていければと思っている」と話した。
この包括連携協定では、観光振興、地産外商などの産業振興、移住促進・人材確保、文化活動の支援、災害時の支援、地域の安全・安心の確保、少子化対策・女性の活躍の促進、その他地方創生に関すること、といった点でANAHDが協力する。具体的には次のとおり。
観光振興
ANAセールスによる「ANAスカイホリデー」ほか、ANA便を利用した旅行商品を全国で発売。冬期には四国を周遊する誘遊四国バスを運行して2次交通手段を確保し、閑散期の誘客対策を実施する。
3月4日に開幕する志国高知・幕末維新博においては機内誌、機内ビデオなどでの告知、旅行商品の設定などを行なう。平成の薩長土肥連合にあたっては、専用の割引航空券「平成の薩長土肥割」を発売、4県を相互往来しやすい乗り継ぎ割引運賃を設定している。
地産外商などの産業振興
ANA Cargoの沖縄貨物ハブを中心とした貨物ネットワークを利用して県産品の国内外への出荷/輸出を行なう。高知県のよい食材を直接末端消費者に届けられるように、小ロットにも対応する。また、機内食やラウンジなどで県産品を用いて、利用者に紹介する。
移住促進・人材確保
ANAグループ内のANAキャリア支援室を中心に、セカンドキャリアを考えているANAグループ社員に対して、高知県移住促進課と連携して、Uターン、Iターンの橋渡しを実施。移住希望者の利便性向上につながる旅行商品の割引制度なども構築していく。
文化活動の支援
高知県の文化である「よさこい踊り」を国内外へ広めるため8月のよこさい祭りに協賛。2020年に向け、日本の祭りとして世界にアピールするほか、その後もよさこいの本家・高知の認識を向上させる取り組みを継続。
また、「まんが王国・土佐」ブランドの確立に向け、各種イベントに協賛や協力。高知県内で行なわれる男女ゴルフツアーやプロ野球キャンプなどのスポーツイベントへの協賛や輸送協力により、高知県への誘客を推し進める。
災害時の支援、地域の安全・安心の確保
“県外とを結ぶ公共交通機関の責務”として、災害時の救助隊の移動や、救援物資の搬送に関する輸送協力を実施。ANA高知支店が高知県の出会い・結婚・子育て応援団に登録して、応援団として協力。
少子化対策、女性の活躍の促進
ANAは業務委託をとおし、総代理店の女性社員の活用を図っている。また、営業部門、空港部門では業務スキル保有者の活躍を支援するため、出産後の職場復帰を推進し、少子化対策に寄与する。
片野坂氏を高知県の観光特命大使に任命
続いて、高知県がANAHD代表取締役社長の片野坂真哉氏を観光特命大使に任命するにあたり委嘱状贈呈式を実施。高知県知事の尾﨑正直氏から、委嘱状と、高知県の「高知家」プロモーションの一環として作成、配布されている「OMOTENASHI STARピンバッジ」、特命大使の名刺が片野坂氏へ手渡された。
任命された片野坂氏は「私も高知家の仲間入りができた。私は鹿児島県、薩摩出身で、高知と鹿児島には薩長土肥同盟もあったし、幕末・明治維新150年に向かう日に栄えある特使を拝命して、ありがたく思っている。名刺を皆さんにお配りして、高知ブランドの発信に努めたい」と豊富を語った。
3~5月は高知県PR企画「Tastes of JAPAN by ANA KOCHI」を展開
委嘱状贈呈式に続いて、ANAが3月~5月に実施する「Tastes of JAPAN by ANA KOCHI」に関する共同記者会見を実施した。
引き続き会見に出席したANAHD代表取締役社長の片野坂真哉氏は「この発表にあたっては志願してお手伝いにきた。営業のトップだったときに、龍馬伝のラッピングジェットのときに尾﨑知事にお世話になった。私自身は15歳のとき修学旅行で高知にきた。龍河洞や桂浜へ行った思い出深い場所であると同時に、歴史的にも重要な幕末・明治維新から150年を迎えるというタイミングで、このような企画をできることに縁を感じる」と話したほか、「志国高知・幕末維新博の取り組み。こういったところにタイミングを合わせて協力できることをうれしく思う」と、先述の包括連携協定締結も含めて、この時期に共同で取り組みができることに感謝の意を示した。
このほか誘客面では、「周遊がキーワードではないかと思う。すでに訪日外国人が日本全国を(安価に)まわれる運賃を作っているが、それであれば日本の方にも周遊をしていただこうと、『平成の薩長土肥連合割』というものを発表した。4県すべてに就航しているのはANAだけという縁から作られたもの」と、羽田や伊丹を経由して4県を巡りやすい運賃に設定した航空券を紹介。さらに、ANAセールスでは台湾や香港で高知へ行くツアーを作っているそうで、「直接高知から国際線は飛んでいないので、高知を大きな目的地としているが、日本のほかの地域も見て高知を訪れるような行程」になっているという。
一方、高知県知事の尾﨑正直氏は、「(Tastes of JAPAN by ANAの機内プログラムについて)楽しい番組で飛行機に乗るたびに楽しみしている。これをいよいよ高知県で展開いただくことなった。まさにベストのタイミング」と、2017年3月~5月の実施であることの重要性を強調。
その理由として、「3月4日から志国高知・幕末維新博を展開していこう、これを全国へ発信しよう、国際的にも発信してインバウンド観光の弾みにしたいと思っているとき」であることに言及。
「とてつもない多くの人々が毎日ANAの飛行機に乗っている。この皆さまが高知の観光情報を得ていただく、高知の食やお酒を味わっていただく、私どもにとって、とてつもない発信力を手にいれさせていただいたことになる」と感謝の言葉を述べた。
会見の最後には、ANA上席執行役員 関西支社長の新居勇子氏が挨拶。「初めての職場旅行が高知県だった。四国のなかでも遠いイメージだったが、伊丹空港から数十分で着く。手前味噌だがその便利さに驚いた。生の刺身とニンニクが苦手だったが、分厚いカツオに生のニンニクがたっぷり載った叩きをいただいたときの感動は、今でもよく覚えている。当時はドライアイスの用意もなく、お土産は新聞紙に包んで帰った。それからは、私の家族もその美味しさの虜になって、毎年5月になると日帰りで炙りたてのカツオの叩きを買いに来ていた」との自身のエピソードを披露。「一つの食べ物でもこれだけの話ができるので、その土地の名物は大切だとつくづく思っている」とTastes of JAPAN by ANAでの食の紹介に対する気持ちを語った。
加えて、志国高知・幕末維新博への協力にも言及。2年間行なわれる同イベントに対してもANAが協力していくという。
片野坂氏はこの協力について、「結果的には、高知を舞台にした小説を書く人がでてくるなどの呼び水になれば。幕末維新博によって若い人に関心を持ってもらう。龍馬のことをもっと調べてみようと思ってもらう。先日も龍馬の新しい手紙が見つかったが、まだまだ発掘すれば出てくるのではないかと思うので、そうしたきっかけになればよいと思う」と述べ、高知県に対する興味喚起につながることを期待した。
Tastes of JAPAN by ANA KOCHIの取り組み
ラウンジ提供メニュー
深夜便出発旅客を対象に、注文を受け付けてから調理するレストラン形式のラウンジ「DINING h」ほかで、高知県産の食材を使った料理やスイーツを提供する。
土佐の味、小茄子とはす芋のたたきと四万十鶏の柚子塩焼き 柚子胡椒ぽん酢と共に
カツオ出汁で寄せた高知県産小茄子、はす芋と打ち野菜のミョウガ、針生姜をほぐし柚子塩で焼いた四万十鶏。一緒に柚子胡椒ポン酢を付けていただく。
提供ラウンジ:羽田空港国際線 ANA SUITE LOUNGE DINING h
提供期間:2017年5月1日~31日
ANAオリジナルパフェ 高知県産柚子生姜
ゆずとショウガをブレンドしたシャーベット。加えてフランクフルタークランツのシュワっとした口どけを味わえる。
提供ラウンジ:羽田空港国際線 ANA SUITE LOUNGE DINING h
提供期間:2017年4月1日~4月30日
宗田だし小夏ノンオイルドレッシング
濃厚なコクと香りの宗田出汁と上品な香りと旨味が特徴の小夏を合わせたドレッシング。
提供ラウンジ:羽田空港/成田空港国際線 ANA SUITE LOUNGE
提供期間:2017年3月1日~5月31日
ラウンジで「國酒」を提供
羽田空港国内線のANA LOUNGE内に設けられた「國酒」特設コーナーで、高知県産の12銘柄を提供。1カ月4銘柄ずつを3カ月に分けて提供する。
2017年3月、羽田空港 国内線 ANA LOUNGEで提供
・有限会社濵川商店「美丈夫 純麗たまラベル」
・有限会社南酒造場「純米吟醸 南」
・土佐鶴酒造株式会社「土佐鶴 純米大吟醸酒」
・有限会社 有光酒造場「安芸虎 純米山田錦60%精米」
2017年4月、羽田空港 国内線 ANA LOUNGEで提供
・高木酒造株式会社「土佐金蔵 純米酒」
・株式会社アリサワ「文佳人 純米吟醸」
・松尾酒造株式会社「松翁 純米酒」
・土佐酒造株式会社「桂月 吟之夢 純米大吟醸酒」
機内食
高知県産トマトに詰めた赤パプリカのムース ホワイトアスパラガスのパルマ産生ハム巻きを添えて
高知県産のフルーツトマトを器に見立てた、赤パプリカのムース詰め。ソースにも、トマトの身を使用。高知県はフルーツトマト発祥の地でもある。
提供路線:欧米路線・シンガポール路線(日本発、一部路線を除く)
提供クラス:ファーストクラス
提供期間:2017年3月1日~5月31日
高知県四万十町産ヒノヒカリ(仁井田米)(金芽米)
四万十町産のヒノヒカリをご用意しました。四万十町は高知県では美味しい米の産地として知られており、この地域の昼夜の温度差が激しいことがその理由の一つだと言われているという。
提供路線:欧米路線・シンガポール路線の一部の便(日本発)
提供クラス:ファーストクラス
提供期間:2017年3月1日~5月31日
万能おかず生姜
高知県産の生姜を特製の醤油ダレに漬けこんだカツオの叩き。香りのよいミョウガやタマネギ、アオネギなどの薬味とともに。
提供路線:欧米、メキシコ、インド路線(日本発、一部路線を除く)
提供クラス:ビジネスクラス
提供期間:2017年3月1日~5月31日
和牛のロール仕立て 長野県産きのこ添え 高知県産生姜風味の和風ソース
高知県産の生姜風味を合わせた和牛のロール仕立て。長野県産の「ときいろひらたけと・たもぎ茸」のソテーを添えている。
提供路線:欧州・バンコク・シンガポール・ジャカルタ・クアラルンプール・インド路線(日本発、一部路線を除く)
提供クラス:ビジネスクラス
提供期間:2017年3月1日~5月31日
姫かつお
高知県土佐清水の足摺沖で、伝統的な一本釣り漁法で獲れた新鮮な宗田鰹を一本一本焼き上げた、魚の旨味を活かした料理。
提供路線:ホノルル・ベトナム・ミャンマー・カンボジア路線(日本発)
提供クラス:ビジネスクラス
提供期間:2017年3月1日~5月31日
機内番組
カメラを搭載したドローンで上空から撮影した高知県の魅力、味や名産品を紹介するオリジナル機内番組「SKY EYE~空からのメッセージ~ 高知編」を放映。桂浜や高知城、足摺岬といった観光地のほか、森林率84%の高知県における木材の活用例として、マルシェ檮原やCLT建造物を紹介する。全体ガイドはミス高知観光キャンペーンレディーの立道沙綾さん、ナレーションは女優の余貴美子氏が担当する。
国際線全便で5月~7月の3カ月間、国内線では5月の奇数便で放映する(いずれも一部機材を除く)。