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NEXCO東日本、道路維持管理の技術者育成のため研修施設を整備

2016年11月 定例会見

2016年11月30日 実施

東日本高速道路株式会社 代表取締役社長 廣瀨博氏

 NEXCO東日本(東日本高速道路)は11月30日、同社で定例会見を実施した。会見ではNEXCOの3社で取り組んでいる高速道路における逆走対策技術の公募についての説明や、技術者育成のための施設を東北自動車道 岩槻IC(インターチェンジ)の敷地内に建設することなどが発表された。

 岩槻IC敷地内に設置する技術者育成施設は、「技術者育成と技術開発の推進のための施設整備」とし、設置理由を代表取締役社長 廣瀨博氏は、本格的なメンテナンス時代の到来に対応するため、「維持管理業務を主体とした技術開発の推進と、技術者の育成、技術力の向上をはかることが、喫緊の課題」と説明した。

 廣瀨氏は、技術者の成長機会は現場での実践とOJTとするが、OJTを実効性があるものとするには「技術的知識の習得は必要」と説明した。施設では体験型、体感型の研修ができるとし、効率化のためにVR技術を用いた研修も検討しているとした。

 なお、施設は4階建てで1階と2階が実習研修施設、3階、4階がグループ会社のネクスコ東日本エンジニアリングや工事事務所が入る予定という。詳細はまだ入札前ということで、明らかにされなかった。

 逆走対策技術の公募は11月22日に発表済。NEXCOの3社で民間会社から逆走対策技術を募集していく。関連してNEXCO東日本の逆走対策を紹介、NEXCO東日本では、27カ所の逆走対策箇所を公表していたが、2016年9月までに対策を完了したという。

 さらに、NEXCO東日本管内の逆走事故数を紹介、2014年は11件、2015年が9件、2016年は9月時点で4件となり、廣瀨氏は「減少傾向、逆走事故減少の効果も確認している」と説明した。

会見を行なったのは代表取締役社長の廣瀨博氏(中央)のほか、取締役兼常務執行役員 管理事業本部長 遠藤元一氏(左)、取締役兼常務執行役員 事業開発本部長 萩原隆一氏(右)

 営業面では10月の通行台数、料金収入の状況を速報値で発表。通行台数は1日平均で297万台、対前年比2.9%増、料金収入は731億4400万円で対前年比2.6%アップとした。通行台数は圏央道の新規供用や休日日数の増加の影響で対前年比で増加となり、天候不良だった8月や9月に比べて増加幅が大きいという。

 SA(サービスエリア)やPA(パーキングエリア)の売上高は129億円で対前年比5%の増加。飲食・商品販売は95億5000万円で対前年比5%の増加、ガソリンスタンドは33億4000万円、4.8%の増加。飲食は休日が昨年より1日多く、連休の売上も伸びたことが前年を上回ったもの。ガソリンスタンドは単価が8円程度下がっているが、給油量が17%ほど増加したため、売上が前年を上回ったという。

 年末年始期間の渋滞予測はすでに発表されているが、ピークは上下線とも1月2日、下り線の最大の渋滞は12月30日に関越自動車道の高坂SA付近の約20km、上り線は1月2日に高坂SA付近で約45kmと説明された。

 また、11月19日に高坂SA(下り)で実験を開始した対話接客システム(人工知能)の実証実験の概要も説明され、実機も会見場に持ち込まれた。これは、マイクに向かって話しかけると、スリーポリンキーズが答えるもの。現在のところ回答できる情報が少ないが、今後増える。人工知能によって案内内容が高度になっていく効果も期待されるが、間違った情報提供を行なったり、不適切な言葉を発したりしないよう、人工知能の機能には制限を加えている部分もあるという。

対話接客システム
マイクに向かって話しかけることで、スリーポリンキーズが言葉を返してくれるほか、必要な情報は画面に表示される