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KDDI、リアルタイムにVRで遠隔旅行体験できる「SYNC TRAVEL」

現地の人と会話や、買い物も可能

遠隔旅行体験ができる「SYNC TRAVEL」で使うVRゴーグルを手にするKDDI株式会社 コミュニケーション本部 デジタルマーケティング部 部長 塚本陽一氏(左)と株式会社ナビタイムジャパン メディア事業部 事業部長 毛塚大輔氏(右)

 10月20日、KDDIはVRを活用して遠隔旅行体験ができる新サービス「SYNC TRAVEL」を発表した。11月3日、4日の2日間、東京・表参道の特設会場でロンドン(イギリス)とバンコク(タイ)、シドニー(オーストラリア)のいずれかの観光をVRで体験できる。料金は1980円で、参加できるのは28組(1組最大2名まで)。2016年10月20日~26日にナビタイムジャパンが運営する「NAVITIMEトラベル」で受け付け、当選者が参加できる。実施時間は12時15分から21時で、1回あたりのVR体験時間はおよそ15分としている。

 SYNC TRAVELは現地にいるガイドが移動しながら360度カメラで撮影し、その映像をVRゴーグルで視聴するという形になる。ガイドとコミュニケーションすることが可能なほか、カメラに映る人と会話したり、現地で販売されている商品を購入したりすることもできる。

SYNC TRAVELの概要。単に映像をVRデバイスで視聴するのではなく、現地のガイドが撮影したリアルタイムの映像を体験する

 ツアープランの内容は、ロンドンでは映画「ノッティングヒルの恋人」の部隊となったポートペローマーケットでショッピングを楽しみつつ、映画のロケ地も訪れる。バンコクはタイ最大の寺院であるワットポーで黄金の涅槃像にお参りするほか、マーケットや路面店で買い物を楽しむことができる。シドニーでは、同都市の中心地であるサーキュラーキーで海上からオペラハウスを眺められる。また原住民の路上パフォーマンスを見ながら買い物もできるという。

 実施時間の12時15分~21時のうち、昼~夕方はシドニーとバンコクのVR体験を交互に実施、夜間はロンドンのVR体験を実施するようにスケジュールが組まれている。参加希望者は、体験時間帯と行き先を指定して申し込みを行なう。

KDDI株式会社 コミュニケーション本部 デジタルマーケティング部 部長 塚本陽一氏

 KDDI コミュニケーション本部 デジタルマーケティング部 部長の塚本陽一氏は「KDDIでは『SYNC PROJECT』として、新しいコミュニケーションの形を提供しています。このプロジェクトでは、遠く離れた人と会話できるだけでなく、思いをつなぐことを大切にして企画を実施してきました」とSYNC PROJECTのコンセプトを解説し、過去の取り組みの1つとして「SYNC DINNER」を紹介した。

 こちらは東京と大阪のレストランを映像でつなぎ、あたかも同じ空間を共有しているかのようにコミュニケーションしながら遠く離れた場所にいる2人がクリスマスディナーを楽しめるという内容である。その上で塚本氏は「レストランとコラボレーションすることで、1つの空間を共有してクリスマスディナーを楽しめる。その掛け算をほかのジャンルにも広げられるのではないかと考え、新たなSYNCプロジェクトとして考えたのが通信技術×旅行というジャンルです」と語った。

株式会社ナビタイムジャパン メディア事業部 事業部長 毛塚大輔氏

 このサービスの販売窓口であるNAVITIMEトラベルを運営する、ナビタイムジャパンのメディア事業部 事業部長の毛塚大輔氏は「旅行のプランニング機能と予約機能を持ったNAVITIMEトラベルを10月5日にリリースしました。当社はナビゲーションを得意としていますが、旅行の移動の1つのシーンとして捉えています。その旅行の計画や手配、現地でのナビゲーションをトータルでサポートし、新しい旅行の楽しみ方を提案したい」と、自社のサービスを説明した。

 また、SYNC TRAVELに協力した理由については、「SYNC TRAVELにより、いろんなところに旅行に行きたいと思う人たちを増やせるのではないかと考え、協力させていただくことにしました」と説明した。

NAVITIMEトラベルは、プランニングと航空券/宿泊施設の予約、現地でのナビゲーションをサポートするサービス

 発表会では、実際にVRで東京都葛飾区柴又を観光するデモンストレーションも行なわれ、VRゴーグルを装着した観光者が現地のガイドと会話したり、現地の和菓子店でだんごを購入したりする模様が紹介された。

装着したVRゴーグルで、現地にいるガイドが撮影したリアルタイム映像を楽しむことができる
ガイドが撮影しているカメラ映像。カメラに映っている、現地の人とコミュニケーションすることも可能だ

 なお、今回は期間限定でのサービスとなるが、将来的な展開についてKDDIの塚本氏は「KDDIとして今すぐ旅行代理業、旅行商品を扱うのは課題もあります。今後、リーガル面、テクニカル面をクリアしながらビジネス化を考えていきたい」と話した。