旅レポ
彦根城築城410年祭に「おんな城主 直虎」で湧く彦根で美食とおもてなし旅(その2)
井伊家由来の地酒に水にまつわるエリアを訪ねる
2016年12月31日 00:00
2017年大河ドラマ「おんな城主 直虎」で盛り上がりを見せる滋賀県が実施したプレスツアーレポートの第2回。井伊家にまつわる美酒や琵琶湖周辺の水に関するエコプロダクツ、そして近江八幡エリアならではの伝統工芸品にスイーツ、湖東エリアの魅力を紹介していく。
豊かな水と近江米で酒造り。老舗酒蔵で伝統と新たな試みを知る
訪れたのは、彦根藩主井伊家より1854年に酒造りを命じられて創業した「岡村本家」。約162年に渡り酒造りを行なっており、銘酒「金亀」や「大星」が有名だ。
「金亀」は国宝・彦根城の別名「金亀城(こんきじょう)」に由来しており、初代が「こんき」の名を井伊家より与えられたのが始まり。しかし呼び捨てにはできないと、あえて「きんかめ」の呼び名を使ったという。
もう一銘柄の「大星」は元々同酒蔵が「大星岡村本店」の名からのスタートであり、(夜明け前の)星が出ている間に働き始め、(夜になって)星が出るまで働けという教えがあったからだという。また、星の出ている間は曇りがないということで、曇りのない商売をと名付けられたという。150年から200年前に滋賀県では星のつく屋号が多かったのも理由だとか。
暖簾をくぐり趣のある建物の中へと進むと江戸時代からの面影を残す空間が目の前に広がる。
岡村本家では無料で蔵の見学も可能で、蔵元、杜氏が丁寧に30分から60分ほどかけて酒造りの工程について解説してくれる。「金亀」は琵琶湖の湖東地域の、近江平野で収穫された近江米を100%使っているのが特徴。酒造りはまず米洗いから始まる。その後、甑(こしき)で蒸しあげを行なう。
蒸しあがった米を少し冷やしたあとに麹室へ。麹の作り方次第で日本酒の味が変わる重要な場所だ。味の濃いものを濃醇、軽いものを淡麗と呼ぶが、麹室の温度や時間で調整するという。基本的に48時間、合計6回手入れをして麹にしていく。なお、2月が酒造りの最盛期のため、夜中の2時頃に訪れると、思う存分見学できるそうだ。
米の保管室では日本酒造りにおける精米についても解説。3年前から試験醸造してやっと玄米酒が提供できるようになったそう。玄米を100として、4割落として6割残すのを吟醸酒、半分以上が大吟醸と呼ばれるが、ここでは10%刻みで商品化しているため違いを味わうことができるのがウリ。今はスッキリ飲みやすい酒が基準となっているが、実は玄米に近いほど旨味が残り美味しいという。それを雑味と呼ばれてしまうこともあると語ってくれた。
そして次に訪れたのが、ビン洗いと瓶詰め作業を行なうエリア。空の瓶と共に棚には熟成酒が並べられていた。日本酒には賞味期限が基本的にないため、日本酒も寝かし方により味がどんどん変わるそうだ。ここには、常温で11年、低温で最高16年のものを保管中。棚に常温で保存しているとラオチュウや紹興酒のように強いものになり、低温の場合はワインやシェリー酒のように香り高いものに変化していくという。
日本酒の熟成はメジャーではないが、新たな飲み方として提案したいと始めたそうだ。なお、色があるものでも濁っていなければ基本的に飲むことができるとのこと。
仕込み中のタンクも見学。まずは120kgの麹、蒸米、水などを小さなタンクに入れ2週間発酵。すると日本酒の香りがする酒母ができるのでしっかり作り込み、残りの分を4回に分けて仕込みんでいくとのこと。昔は歌を歌って時間のタイミングとりながら作業を行なっていたそうだ。その後1カ月間発酵させ、絞るという。なお、自然の蔵のため、温度管理と分析の繰り返し。ホースが巻いてあるのは温度が低い場合は冷水を、低い場合は温水を回すから。2014年から始まった方法で、以前は腹巻を巻いたりアンカをかけたり、氷を間に入れるなどをしていたとのこと。なお、日本酒の甘い、辛いは発酵中に決めることができ、辛口の場合は発酵を伸ばし、甘口の場合は早く絞ればいいそうだ。
ラストは絞りの工程へ。木艚袋絞りを採用しており、まるまる2日かけて1本のタンクを絞る。70%が酒、30%が酒粕になり、実はしっかり絞れないことがよく作用している。機械を使うのに比べ非常に優しい酒が出来上がり、酒粕も酒が残っているのでとても美味しいものになるのだ。3日後に上澄みを詰めたものが“しぼりたて”、上澄みとオリを詰めたものが”にごり酒”に。その後いよいよ店頭に並ぶ。
なお、2階には「金亀ギャラリー」が併設されており、亀にちなんだアイテムが揃っている。また、蔵の風情を活かした「金亀酒蔵ホール」も用意され、ジャズライブなども開催。文化イベントの発信地としての役割も担っている。地域交流の場としても愛されているとのことだ。また、建築家の学生とともに古い物件の保全活動を行なうなど地域の文化を守り、残す活動も行なっている。
見学が一通り終了し、酒造りをしっかり学んだあとは試飲も。10%刻みの日本酒の飲み比べや玄米酒も味わえるので、好みの1本を探すことができる。
生原酒「長寿金亀 50」(720mL:2160円、1800mL:4320円)を味わったが、豊かな香りが広がり、やや辛口な印象ながら飲みやすく食事との相性もよいと感じた。続いて玄米酒「長寿金亀 赤」(720mL:2160円)も試飲。洋酒のような香りと口当たりで日本酒のその先を感じる風味。また「長寿金亀 白80」(720mL:1131円、1800mL:2263円)は甘みが心地よく女性向けの1杯だった。
なお、「新感覚こうじ甘酒」(500mL:1080円)は、これからの時期に特におすすめ。近江米の米麹のみを使った自然な甘みがポイントだ。ノンアルコールなので家族で楽しめる。
築90年以上の蔵をリノベーション。注目の発酵メニューで健康促進
岡村本家を訪れたのならば、徒歩10秒ほどの場所で同酒蔵が手がける「豊郷発酵倉」へもぜひ。築90年以上の精米蔵をリノベーションし、酒蔵こだわりの「酒粕」や「味噌」そして「塩こうじ」を使った発酵メニューが味わえるのだ。
地産地消をテーマに地域の新鮮な野菜と米をたっぷり使ったメニューはホッとできる美味しさ。落ち着いた店内で自分の家のようにくつろぐこともできる。紹介するメニューは「ランチコース」(1500円:要予約)。通常のランチ(各750円~1000円)もリーズナブルでボリュームたっぷり。
「ランチコース」のメニューはサラダ、本日のポタージュに三品盛り。メイン(肉または魚)に、蔵人手作り味噌の味噌汁と十六穀米。そしてデザート、ソフトドリンクとなっている。
メインは酒粕味の鯖をチョイス。お店で独自のブレンドをしている酒粕を使っているとのこと。酒粕味の鯖はじんわりと鯖と酒粕の旨みがあふれ出てくる美味しさでご飯の進みが早くなる一品。三品は赤こんにゃくのピリ辛煮、丁字麩の辛子酢味噌和え、氷魚の甘露煮とまさに土地の味。一品はモロコの南蛮漬けで、そのままでもご飯のお供としてもいい。
さらに注目したいのが“お冷”。仕込み水を使っており、クリアな喉越しで何杯でも飲みたい美味しさだった。
そしてデザートは、酒粕をたっぷり使った「酒かすチーズケーキ」「酒かすチョコレートケーキ」「塩こうじのクリームブリュレ」(単品の場合は各400円)のいずれかを選べる。「酒かすチーズケーキ」「酒かすチョコレートケーキ」はしっかりと酒粕の風味が活かされており、チーズやチョコレートに負けない濃厚さを感じるデザート。「塩こうじのクリームブリュレ」は甘さと塩加減のハーモニーが絶妙だった。
メインからデザートまでふんだんに発酵食品を取り入れたメニューで話題になっている同店。カフェメニューのほか、お酒に合うおつまみセットなども用意しているので、「岡村本家」の日本酒と一緒に味わってみてもよい。
ヨシ製ノートで琵琶湖の環境保全も。国内最大級のノート工場・コクヨ工業滋賀へ
勉強やビジネス、ちょっとしたメモと日々欠かせないノート。誰もが一度は使ったことのあるコクヨの「キャンパスノート」は、実は滋賀県生まれがほとんど。国内最大級の工場があり、年間1億冊以上販売する同ノートの生産を行なっているのだ。コクヨ工業滋賀では工場見学を実施しており、すぐに定員となるほどの人気ぶりだ。ここ最近では、周辺の宿泊施設や行政との連携で工場までのアクセスも比較的便利となり、見学と同時に宿泊や食事で滋賀の魅力をたっぷり感じることができると評判。通常の場合は月2回開催している。所要時間は約90分。参加費は100円で、全額が琵琶湖を中心とした環境保全に使用される。各回25名で定員になり次第受付終了。スケジュールなどはWebサイト記載されており、予約は電話かWebサイト経由となる。
見学場所であるコクヨ工業滋賀へ近づくと赤い看板が見えてくる。入り口を抜けると“とび太くん”が出迎えてくれ、見学前に会場へとまずは通される。
会場には制服スタイルのスペシャルなとび太くんがお待ちかね。見学前の説明ではまず、コクヨ誕生の歴史から学習。今から111年前の1905年に黒田善太郎により創業。創業の挨拶に行った際、先輩から「儲かる仕事はすでにほかの人がやっている。残っているのは面倒で厄介なカスみたいな商売だけだ」と言われてしまうが、「カスの商売結構。世のため人のために精魂込めて作らせてもらう」と商売に打ち込んだという。そして社名を富山の、国の誉れになる、そして誇りとなるという強い意志により“国(故郷)の誉れ=国誉(コクヨ)”という意味を込めて決めたそうだ。
現在も「買う身になって作りましょう」というものづくり精神を大切にした生産活動を行なっている。
コクヨ工業滋賀は、紙製品を中心に生産しており、面積は甲子園球場約3つ分の広さ。140名の従業員が勤務しており、主に無線綴じノート、コピー用紙、ルーズリーフ、複写伝票、「ReEDEN」シリーズなどの生産を行なっている。会場では上記のような解説、予習を行なったあとに、工場へ向かう。
キャンパスノートのデザインが施された扉から見学がスタート。扉の向こう側が工場となっており、扉を開けると臨場感のある音が響き、ワクワク感もマックス。コースは複写伝票の生産現場から始まり、次にノート生産、コピー用紙と続き、旧式のノート製造機へ。
一旦外へ出て環境活動について学び、会場へ戻る形となっている。工場内では、解説がよく聞こえるように無線レシーバを全員着けて聞きながら進むこととなる。写真撮影などは禁止のため、参加する場合はしっかり目に焼き付けておこう。
コクヨの歴史を解説する展示コーナーも必見だ。ショーケースには1905年から始まった、原点である和式帳簿の表紙を展示。大福帳とあるが、当初は表紙のみを生産する会社で、その後、和式帳簿自体の生産を開始。1913年には洋式帳簿の製造もスタートし、次第にノート生産をメインに事業を展開していった。このほかに、バインダーの縁を縫うドイツ製のミシンや、昭和初期に発売し大ヒットとなった色紙付書翰箋も紹介。
さらに歴代のキャンパスノートを展示している。ブランド自体のデビューは1965年だが、欧米の有名大学のキャンパス風景を表紙にした「世界の学府シリーズ」が大ヒット。それがキャンパスノートの由来で、1975年に現在の形となり、品質、デザインを改良しながら進化し続けている。自分自身が学生時代にお世話になったデザインのキャンパスノートを久しぶりに見られるため、大人も現役学生も楽しめるコーナーだ。
また、工場見学では、ノートの品質の高さを身近に感じられる実験も。ノートは糊付けが背の部分にされているが、強度が高いのがキャンパスノートシリーズのポイント。そのため、強度を見るために1枚の紙に2Lペットボトルを、吊り下げていく。
3本でスイカ1玉、4本で柴犬1匹分、5本は10kgで米俵ほど。6本、7本と続き、自転車1台分の重さの8本目。コクヨの基準としては約16kgの重さまで耐えられることとなっている。その後、10本までこの日は耐え、糊付けが非常に強いことが証明された。糸綴じよりもしっかりと糊付けをすることで何年も使用可能に、そして北極をはじめ、使用場所が変化しても使えるようにと強度を高くしているとのことだった。
さらに独自のプロジェクト「ReEDENプロジェクト」についても解説があった。同社は2007年より同プロジェクトをスタートしており琵琶湖に自生するヨシを活かして琵琶湖の水質や生態系を始め環境を守る活動を行なっている。
なお、ヨシとは琵琶湖の湖岸に生えている植物で、育つ過程でリンや窒素など“富栄養化”の原因を吸い、水をきれいにする効果、そして鳥や生き物が住む生態系保全を担ってくれる。
枯れたヨシを刈り取ることが新しい芽の成長を助け、健康的なヨシが育ち、ヨシ群落が活性化する。そのため、毎年刈り取りを行ない、スムーズな育成を促している。滋賀内外の120社と共同でこのプロジェクトに取り組んでいるそうだ。
さらに、刈り取ったものを燃やしてしまうと二酸化炭素が発生するため、コクヨの強みを活かして紙に利用。「刈る→作る→使う」のサイクルを回し、琵琶湖をどんどんきれいしていく試みを推進している。
なお、同シリーズのロゴには“Re=帰る・還す、EDEN=楽園、REED=ヨシ”の3つの意味があり、“ヨシで琵琶湖を楽園に戻しましょう”という願いが込められている。方眼ノートや名刺などナチュラルなヨシの風合いを活かしたものを始め豊富なシリーズ展開も魅力だ。
例えば、滋賀発商品のカラフルな一冊「ノートブック<ReEDEN colours SHIGA>A5」(151円)。表紙の色と滋賀の名物や名所などをイメージした“竹生島”や“オオナマズ”などの名を付け、内側には“琵琶湖のさざ波罫線”を採用。ポケットサイズで無地の「ノートブック<ReEDEN colours SHIGA>A6」(130円)は裏表紙の色を異なるものにし、琵琶湖と四季の美しさを表現している。どのノートも使っていて元気になれるカラーリング。A6版はミシン目が入っており、メモとして使ったり、切り離せたりできる優れものだ。
また、琵琶湖をフィーチャーしたアイテムや滋賀ならではのものも。琵琶湖博物館とのコラボレーションで、琵琶湖と周辺の川に生息する77種類の魚を網羅したポケットサイズの「滋賀のお魚ヨシノートA6」(162円)は大人気。
また工場の近くの看板屋さんが発祥の地と言われている安全を守る“とび太くん”と琵琶湖を守る“ReEDEN”がコラボした「とび太くんヨシノート」(216円)に「とび太くんふせん」(378円)。さらにブラックがクールな「とび太くんヨシノート」(243円)や「とび太くんマスキングテープ」(378円)など滋賀&琵琶湖愛にあふれたラインアップ。
さらに、フィールドワークや旅の記録用の「ロクブンノイチ野帳」(324円)に「びわこテンプレート」(432円)と合わせて使えば、滋賀旅がもっと楽しくなるはず。これらのシリーズは売り上げの一部を寄付しており、使うことで環境保全を助ける手助けができる。
なお、工場見学のあとに裁断前の「2連キャンパスノート」(540円)や「滋賀オリジナルキャンパス SHIGA」(250円)などの出来立てほやほやの工場直売商品が購入できるのもうれしい。
滋賀発アイテムの取り扱いは県内を中心に、東京や大阪の大型文房具店などで購入ができるため、ぜひ一度使ってみよう。
近江八幡の八幡堀を散策、レアな木珠を使ったアクセ作りで女子力アップ
木珠の製造で全国70%のシェアを誇る一大生産地・近江八幡。1400年前に聖徳太子がこの地を訪れた際に数珠の作り方を教えたという伝説があり、それ以来生産が続いているという。豊臣秀次の時代には、八幡山城の城下町として栄え、玉屋町や元玉屋町などの名が現在も残っている。そのため職人が多く住んでいたと推測されている。
近江八幡周辺の木珠は京都に卸され「京念珠」として全国に渡るため、生産地である近江八幡と木珠文化は全国的にはあまり知られていない。しかし実は全国に出ている木珠は近江八幡周辺のものがほとんどなのだ。
今回訪れた近江八幡からほど近い「八幡堀 石畳の小路」内の「レアウッドビーズ美樹」を運営するカワサキは、1928年創業の老舗数珠店。約4年前に同ショップをオープンした。昔ながらの製法で製造した木珠を使った念珠とともに、アクセサリー類も販売しており、伝統的な木珠に現代的なアレンジを施したアイテムを手に入れることができる。
カワサキの取締役 川﨑美津子氏は「数珠としてだけではなく、よい木の文化をいろいろな形で発信したいと考えています。近江八幡の独特の文化を味わいながら、木のよさに触れ合いながら、よいものを作ってほしいと、手作りができる工房を開きました」と話した。
なお、使用する木材は一般的な茶色の木ではなく、世界中から集めた美しい自然の色を活かした鮮やかなカラーのものが中心。世界的にも希少な木材を使った木珠のため、同店では“レアウッドビーズ”と呼んでいる。なお、原木もはっきりしたカラーが特徴で、チューリップ・ウッドやパープルハート、リグナムバイタを始め10カ国以上から集めたそうだ。
すぐには使えないため1~2年ほど寝かせてから木珠に。水分を含んだまま加工すると割れたりするため、それを防止するために乾燥に時間をかけるという。
なお、同じ木珠でも加工の方法によりマットになったりツヤを出したりとさまざまな表情が出ている部分も面白い。約50種類ほどの木珠の一粒一粒を感じながら、自分の好みのカラーでゆったりとアクセサリーを作ることができる。
今回はブレスレット作り(3240円~)を体験。女性用の場合は内径で16個ほどで作ることができるが、腕時計の前後に着けるのかや、腕の細さなどもあるので調整しながら制作。
まずは、トレーに軸となるナイロンゴムを固定し、通す木珠をじっくり選んでいく。鮮やかな色合いだが、ほかのカラーと合わせると想像以上にしっくりと馴染むのも木製のよさ。球体以外にも平たいものなどがあり、形を選ぶだけでも夢中になれる。
なお、バラバラとトレーに乗せるよりも、通す順番どおりに並べるとイメージも作りやすかった。アフリカ黒檀をメインにチョイスし、パープル・ハートなどを指し色として作ってみた。使い込んでいくとそれぞれが独特の味わいになりいい色になってくるという。
完成までは30~45分ほど。女性用だけでなく男性用のブレスレットも制作できるので、家族やカップルでも楽しめる。想像以上に盛り上がるうえ、会話も弾み旅の思い出作りにピッタリだ。オリジナルストラップ(1080円)やネックレス(7560円~)、事前に相談した場合はオリジナルの数珠も制作も。自分だけの1本を手に入れたいのならば迷わずに訪れたい。
レアウッドビーズ 美樹 八幡堀 石畳の小路店
所在地:滋賀県近江八幡市大杉町12
TEL:0748-33-5251
営業時間:10時00分~17時00分(無休、1月~3月期間のみ火曜定休)
Webサイト:レアウッドビーズ 美樹 八幡堀 石畳の小路店
ほのかな竹皮の香りとほどよい甘みの羊羹でほっこり
アクセサリー作りに集中したあとは、老舗の和菓子でほっと一息入れたいもの。ならばお向かいの「逢茶 あまな」(逢は1点しんにょうの異体字)へ。こちらは1863年に創業した和菓子店「和た与」が手がけるカフェで、約3年前にオープン。近江八幡を訪れる観光客はもちろん、地元市民も多く訪れる憩いの場所だ。
八幡堀 石畳の小路のエリアは、もともと江戸時代の蔵や大正時代の蔵などが建っており、同店舗は大正時代に建てられた家屋の離れをリノベーション。和た与の取締役小川貴子氏に話を伺ったところ「建具をそのまま活かした折り鶴の欄間や歪んだガラスなど、家屋の持っている味をそのまま残しながら居心地のいい空間を目指しました」と話してくれた。
人気のメニューは「和た与」の原点といえる「でっち羊羹」を使った「和た与のいっぷく」(700円)や和パフェ。今回は「和た与のいっぷく」をオーダー。「でっち羊羹」にお抹茶、ほうじ茶、煎茶、コーヒーのいずれかがセットとなる。お茶は完全無農薬とこだわりもたっぷり。
そもそも「でっち羊羹」とは竹皮に包まれた蒸し羊羹。名前の由来は諸説あり、近江八幡周辺は、近江商人の発祥地の一つで、関東・大阪の商人に奉公に出ていた“丁稚(でっち)”が薮入りで帰省する際に主人や番頭に手土産にした和菓子で、少ない給料でも彼らが購入できると、この名が付いたと考えられている。また、小麦粉と上白糖、こし餡を練り上げる工程があり、それを“でっちる”と呼ぶことからこの名が付いたとも。
和た与の「でっち羊羹」は上品な甘さで、口に入れるとホロリととろける優しい美味しさ。セットは2切れ付き、十分なボリューム。なお、1本280円で同カフェでも手に入れることができる。リーズナブルなため家族や友人へのお土産にも最適。味わう際には、カフェと同じく竹の皮に包まれたまま切ろう。ほのかな竹皮の香りや、羊羹に着いた皮の模様も美味しさと一緒に楽しめるからだ。
和た与
所在地:滋賀県近江八幡市玉木町2-3
TEL:0748-32-2619
営業時間:8時30分~18時30分(火曜定休)
Webサイト:和た与
逢茶 あまな
所在地:滋賀県近江八幡市大杉町12
TEL:0748-32-5295
営業時間:11時00分~17時30分(火曜・不定休)
Webサイト:逢茶 あまな
なお、「八幡堀 石畳の小路」からもそのまま行くことのできる八幡堀は、豊臣秀次が八幡山城を築いた約430年前に城の外堀として誕生。当初は全長約5kmの運河で、西と東が琵琶湖につながっており、近江商人の製品の出荷や運搬に使われていた。しかし道路や鉄道などの発達により水路としても役割が終わり堀が見放されてしまう。
荒廃が進む一方だったため埋め立てることとなったが、近江八幡青年会議所が「堀は埋めた瞬間から後悔が始まる」を合言葉に保存活動を開始。430年前の姿をよみがえらせ、遊歩道として現在の姿に再生した。現在も清掃など市民のボランティアにより支えられ、その美しさが守られている。
なお、時代劇を始め多くのドラマや映画の撮影が毎年行なわれ、聖地巡礼などでも賑わう。写真を撮ったり遊歩道を歩いてみたり、思い思いにその情景を楽しんでみては。
八幡堀
所在地:滋賀県近江八幡市宮内町周辺
Webサイト:八幡堀(近江八幡観光物産協会)
2回に分けて彦根城や琵琶湖周辺の名所や美食を紹介してきたが、それらを自分のペースでゆったり楽しめることも魅力的だった。歴史を感じながら、近江牛や名物のスイーツを頬張り、いつもの忙しい毎日から少し離れるのもよし。水辺や小道、お堀を散歩して風情を時間をかけて味わうのもよしと、旅ならではのゆったりした自分だけの時を過ごせる。歴史を感じる街で、おもてなしの心たっぷりの美味しい癒し旅をしたいのならば、迷わず滋賀へ行くことをおすすめしたい。
なお、2017年3月8日から13日にかけて、日本橋高島屋(東京都中央区)で近江の旬が一同に会する「第29回琵琶湖夢街道 大近江展」を開催。今回記事内で紹介したショップを始め滋賀の食材や工芸品が集まる大物産展なので、東京で滋賀の味や名産品を手に入れたいのならば足を運んでみてはいかがだろうか。