旅レポ

滋賀県のスイーツ・ツアーで食と観光の魅力を存分に味わってみた

近江の絶品ご当地スイーツを味わい、琵琶湖湖畔の文化を感じ、そして美人湯に浸かる

 滋賀県は、県内のスイーツや温泉を紹介するプレスツアーを10月20日~21日に実施。近江の絶品ご当地スイーツを味わい、琵琶湖湖畔の文化を感じ、そして美人湯に浸かるなど、2日間かけて滋賀県の魅力をたっぷり堪能してきたので、その様子をレポートする。

「叶匠壽庵 寿長生の郷」で和菓子作りを体験

 東京から東海道新幹線を米原駅で乗り換え、東海道本線で約2時間半。石山駅より無料シャトルバスで30分揺られ、まずは最初の目的地「叶 匠壽庵 寿長生の郷」での和菓子作り体験へ。

叶 匠壽庵 寿長生の郷

 食事、和菓子教室、お茶会がセットとなった「和菓子作り教室(美山つづら弁当プラン)」(6480円)では6万3000坪と東京ドーム約4倍の広大な里で収穫された食材や滋賀県ならではの食材を使った「美山つづら弁当」を味わった後、職人から直に手ほどきを受けながら季節の和菓子を3種類の中から合計4個作ることができる。

 「美山つづら弁当」はつづら内に2段の重箱が入っており、琵琶湖のイサザを使った小鉢や、ご当地食材である赤蒟蒻と近江牛の佃煮を始め、郷で作られた野菜を使ったメニューがたっぷり。魚三種盛りや季節の野菜なども付く。デザートの里の梅シャーベットは、敷地内で育てている城州白梅から採れた梅で作られている。梅の風味と氷のシャリっとした口当たりが爽やかに昼食を締めくくってくれる。

「美山つづら弁当」はつづら内に2段の重箱が入っており、琵琶湖のイサザを使った小鉢や、ご当地食材である赤蒟蒻と近江牛の佃煮を始め、郷で作られた野菜を使ったメニューがたっぷり。魚三種盛りや季節の野菜なども付く。
デザートの里の梅シャーベットは、敷地内で育てている城州白梅から採れた梅で作られている。梅の風味と氷のシャリっとした口当たりが爽やかに昼食を締めくくってくれる。

 そして、体験後はお茶室にてゆったりとお抹茶を楽しめる人気のプランだ。10月は柿、菊、錦秋で秋の紅葉を彷彿させる色合いが美しい3品。白あんをベースにした“こなし”や“ういろう”から美しい花弁を繊細な作業で1時間半から2時間ほどけてじっくり生み出して行く。

 名物の「あも」。京の女言葉で餅の事を“あんも”と言うが、そこから拝借し「あも」と命名。季節限定の「あも(柚子)」(1本1296円)は柚子の香りがふわりとするとろける求肥をふっくらと炊いた春日大納言小豆で包み上品な味わい。教室では今回「菊」を制作。作る時のコツは、こなし生地をしっかり手で揉むこと。ひび割れを防ぎ出来上がりが美しくなる。きんとん箸や三角ベラなどの専門道具で職人さながらに作ることができる。

 雄大な自然の中、時間の流れをゆったり感じながら優雅なひと時が過ごせるとともに、食事だけではなく広大な敷地内の遊歩道にて季節の草花も感じられ、1日中楽しめるスポットとなっている。

名物の「あも」。季節限定の「あも(柚子)」(1本1296円)は柚子の香りがふわりとするとろける求肥をふっくらと炊いた春日大納言小豆で包み上品な味わい。
教室では今回「菊」を制作。作る時のコツは、こなし生地をしっかり手で揉むこと。ひび割れを防ぎ出来上がりが美しくなる。きんとん箸や三角ベラなどの専門道具で職人さながらに作ることができる。
10月の和菓子、柿、菊、錦秋。教室で作る和菓子は毎月変わるため訪れるたびに新しい和菓子に挑戦できるのも魅力だ。
10月の和菓子、柿、菊、錦秋。教室で作る和菓子は毎月変わるため訪れるたびに新しい和菓子に挑戦できるのも魅力だ。
叶 匠壽庵 寿長生の郷

所在地:滋賀県大津市大石龍門4-2-1
電話:077-546-3131
営業時間:10時~17時(水曜定休)
Webサイト:http://www.sunainosato.com/

紫式部と「源氏物語」の石山寺、門前名物「たばしる」

石山寺の国宝の本堂は巨大な硅灰石の上に建てられている。縁結び、安産、福徳、そして文学の寺。女性にも開かれた寺として古来より多くの書き手らが訪れた。また、境内には国宝の多宝塔や重要文化財の東大門をはじめ歴史的建築物が多く現存している。

 次の目的地は京阪電鉄 石山寺駅より徒歩10分の「石山寺」と門前の名物「たばしる」。奈良時代に建立された同寺は、日本有数の観音霊場であり、西国三十三所観音霊場第13番札所として常に大勢の人々でにぎわっている。また、紫式部が源氏物語の構想を練り、執筆した場所として有名で、清少納言や、和泉式部も日記などに同寺に関する記述なども残すなど、時代を越えて学問の寺として愛されている。11月の紅葉のシーズンには、幻想的な光でライトアップを行なう「あたら夜もみじ」を11月14日~29日に行なう予定。なお。平成28年3月18日より12月4日にかけて日本で唯一の勅封秘仏である「本尊如意輪観世音菩薩」が33年に一度ご開帳し、約5mの姿を拝むことができる。

石山寺の本堂内の「源氏の間」。紫式部が見ていた近江の風景が堪能できる場所として訪れるファンや観光客でにぎわっている。この部屋の窓から十五夜の月を眺めたときに霊感を受け作品の構想を得たという。
天然記念物の硅灰石と国宝の多宝塔。多くの建物が高台に位置するため、そこからの眺めは格別。近江の美しさを満喫しながら、広い境内を散策することで心が自然と静かになってくるはず

 歴史と文化をたっぷりと感じた後は、石山寺の門前の「茶丈藤村」で名物和菓子「たばしる」でほっこり。石山寺の境内で松尾芭蕉が詠んだ俳句を由来としている「たばしる」は、ふんわり口溶け滑らかな求肥(ぎゅうひ)に、蜜をたっぷり含んだ粒そのままの丹波大納言小豆とカリカリの胡桃を包み、程よい甘さと食感でまさに絶品。併設された甘味喫茶で味わったあとは、お土産として確実に手にしたい逸品だ。

門前名物の「たばしる」(6個入り1250円)。ほんのり甘いふっくら小豆と胡桃のハーモニーに口に入れた瞬間唸るほどの美味しさ。小振りなサイズでとても食べやすい。
石山寺

所在地:滋賀県大津市石山寺1-1-1
電話:077-537-0013
拝観時間:8時~16時30分(入山は16時まで)
入山料:個人 600円(小学生250円)
Webサイト:http://www.ishiyamadera.or.jp/

茶丈藤村

所在地:滋賀県大津市石山寺1-3-22
電話:077-533-3900
営業時間:9時~18時(火曜定休)
Webサイト:http://www.sajo-towson.jp/

琵琶湖汽船「ミシガンクルーズ」と12段パンケーキ「ミシガンパドルパンケーキ」

1982年に就航した「ミシガン」は琵琶湖を代表する遊覧船。レストランシップとして歴史もあり、豊富なメニューで訪れる観光客をもてなしてきた。2014年より船内のご飯やパンはすべて地元の近江米「みずかがみ」を使用している

 続いては、日本最大の湖「琵琶湖」へ。京阪電鉄 浜大津駅より徒歩3分、東海道本線 大津駅よりバスで5分の距離に船着き場がある琵琶湖汽船「ミシガン」に乗船し、雄大な景色を堪能する「ミシガンクルーズ」と船上限定のスイーツ「ミシガンパドルパンケーキ」に舌鼓。今回は大津港発からにおの浜までの約25分間A区間コース(930円)を選択。琵琶湖回遊の場合は約80分の「ミシガン80」、約60分の「ミシガン60」、約150分の「ミシガンナイト」の三種類のクルーズコースも用意されている。船内では操船の見学や、スカイデッキから琵琶湖の360度パノラマビューを堪能など各種エンタメとともに食事も楽しめる。

 ミシガンカフェでは、船の特徴でもある12枚の外輪パドルをイメージして考案されたオリジナルパンケーキ「ミシガンパドルパンケーキ」(1600円)も人気。近江米の「みずかがみ」製の米粉をふんだんに使い、もっちりふんわりな口当たりで、女性も12枚を完食できるほどの美味しさ。ベリーを使うことでパンケーキ自体もピンクにするなど見た目も可愛く味も抜群、しかもロケーションも最高な贅沢スイーツと言える。

操船席はガラス張りとなっており、手前でコスチュームを着て記念撮影も楽しめる。船尾の12枚のパドルもパンケーキを食べる前に観ておこう
「ミシガン」の特徴でもある12枚の外輪パドル
生地にも、デコレーションにもたっぷりイチゴやベリーを使用。もちもちの生地と甘酸っぱいベリー、生クリームの相性は抜群。琵琶湖の水面を窓辺から眺めながら非日常的な空間でティータイムが過ごせるのはこの場所ならでは
パンケーキは一枚500円からオーダーができ、追加ごとに100円、最大12枚で1600円と食べたい量だけ注文ができるなど良心的。また、食べきりサイズで甘さも控えめで、女子でもペロリと頂ける
琵琶湖汽船

乗船場所:滋賀県大津市浜大津5-1-1(大津港)
電話:0120-050-800(9時~17時)
Webサイト:http://www.biwakokisen.co.jp/

「佐川美術館」にある現代の茶室の「樂吉左衞門館 茶室(俯仰軒)」

3館から成る美術館は佐川急便創業40周年の記念事業の一環として開館。水面に浮かぶような斬新なデザインでグッドデザイン賞など建築賞も多数受賞している。

 1日目最後は、湖西線 堅田駅よりバスまたはタクシーで約15分の「佐川美術館」へ。同美術館は、3館からなり日本画家の平山郁夫、彫刻家の佐藤忠良、陶芸家の樂吉左衞門の作品を中心に展示を行っている。館内には茶室「俯仰軒」を併設しており、水面と床部分が同じ高さなっているなど、いつもとは異なる視点で周りの植物や風景を味わえ、さらに美しい夕日も眺められる。茶室見学とともに、樂吉左衞門作のフランスRAKU茶碗を実際に使う茶会も抽選制で行っており、鑑賞するだけではなく、手に取りその良さを体験できる行事も開催している。また、展示されている彫刻に手を触れる事ができたり、絵画作品と鑑賞者との間にガラスを設けないなどより身近にアートを感じられる展示方法を行なう数少ない美術館のひとつだ。

 館内のカフェでは展示に合わせたメニューや季節のスイーツも味わえ、静かな空間でアートに触れた後、水面を眺めながら休憩が可能。

守破離の精神で樂吉左衞門が設計した茶室は斬新ながらも落ち着ける空間となっている。メインの「俯仰軒」のほかにも2つほど茶会が開催できる場所が館内には存在している
茶室見学は木、金、土、日に1日5回予約制(1000円 入館料別)で行われている。茶会に参加するためには予約抽選。詳細は美術館のイベントガイドを参照いただきたい
奥の波立つ水辺に比べ、茶室近くの水面は穏やか。自分たちの港に帰ってきたような演出がさりげなくされている
佐川美術館

所在地:滋賀県守山市水俣町北川2891
電話:077-585-7800
開館時間:9時30分~17時(月曜休館 祝日にあたる場合はその翌日)
入館料:一般1000円、高校生・大学生800円
Webサイト:http://www.sagawa-artmuseum.or.jp/

琵琶湖湖畔の老舗旅館「おごと温泉 びわ湖花街道」

 1日を通して滋賀県の食と文化をたっぷり味わった体は、地元の温泉でじっくりと癒したいもの。この日は、湖西線 おごと温泉駅から送迎バスで5分。比叡山延暦寺の開祖最澄が約1200年前に開湯したおごと温泉の豊富な湯を使った4つの湯船と、滋賀県の厳選した食材で生み出された贅沢な会席、そして全客室から琵琶湖の景色が楽しめる老舗旅館「おごと温泉 びわ湖花街道」に宿泊。女性の宿泊者にはチェックイン時に浴衣と帯が4色の中から選べ、いつもとは違う姿で過ごす事ができるうれしいサービスも。

坂道を登ると旅館「おごと温泉 びわ湖花街道」が現れる。木々が生い茂り、鳥のさえずる声が聞こえ別世界に来たような雰囲気
女性限定の浴衣と帯のサービス。旅館名にもなっている花をあしらった柄。着た際に美しく見えるよう工夫もされている。足袋や下駄も部屋に用意されている

 宿泊した部屋は、和室10畳+4.5畳(露天風呂付き2名1室2万7000円~)のワンランク上の部屋に宿泊。2~6名まで泊まれる広々とした室内から琵琶湖を一望でき、ゆったり、のんびりと琵琶湖の移り変わる景色を観る事ができる。部屋の露天風呂ならば檜の爽やかな香りの中、夜はライトアップされた湖畔、朝は日の出に照らされる湖畔を湯船から独り占めも。

10畳+4.5畳(露天風呂付き)。琵琶湖向きは全面ガラス仕様となっており、景観をじっくりと楽しめる
10月のお部屋菓子は「びわ湖 お茶まんじゅう」。チェックインした際に担当スタッフが煎茶を部屋で入れてくれる。お菓子を気にいった場合は宿内のお土産処「華の蔵」で手に入れる事もできる
檜風呂。一人用のサイズで、洗い場も別室で用意されている。腰掛ける場所もあり、湯船に入りながら、そして体を休めながら琵琶湖が眺められる。

 大浴場は4種類の湯船があり、内湯の「ばんからの湯」と「はいからの湯」、露天風呂の「ひだまりの湯」「こもれびの湯」があり、貸切風呂の「び~どろの湯」もある。これらは、露天風呂は心と体を癒せるよう工夫がされており、バリアフリー対応やベビーベッドも完備、休憩場所も多く、じっくり雄琴の湯で温まれる。低張性アルカリ低温泉のとろりとした湯のため湯上がりはしっとりツヤツヤの肌になり、まさに美人の湯だ。すべての温泉の利用時間は11時30分~25時、6時~10時(毎週火曜日は清掃のため14時~25時)。

大浴場「ばんからの湯」。中央には木台があり、頭を乗せてゆったりと手足を伸ばして湯船が満喫できる。低張性アルカリ低温泉の湯は美肌効果や疲労回復、冷え性、神経痛や筋肉痛に効く
伝統的な形の湯船につかりながら、静かに旅の思い出に浸れる大浴場「はいからの湯」。ばんからの湯に比べると少しこじんまりしているが、だからこそ落ち着ける、長居のできる空間となっている
ばんからの湯に隣接する露天風呂「ひだまりの湯」。岩から流れ出る温泉の音を聞きながら、冷んやり心地よい風と木々のざわめきの中でゆったりと湯を楽しめる
はいからの湯に隣接する露天風呂「こもれびの湯」。木々の間から空が見えるため朝一の明ける空や星空を眺めるのに最適
家族や友人だけで温泉を満喫したいのならば、3、4名で入浴可能な貸し切り露天風呂「び~どろの湯」がおすすめ。チェックイン時に申し込みができ1回50分2625円

 この日の宿の夕食は、地元の名産品を使い、「おうみの名工」を受賞した中川聡料理長が手掛ける「近江牛御膳」。見た目も華やかで味も絶品と滋賀県ならではの土地を生かした献立となっている。滋賀県がちょうど物流の交差点になっているため、海、山、川すべての美味しい食材が手に入りやすく、地元の美味しいものとともに周辺の厳選した素材を集めているという。

 提供の仕方にもこだわりが。水晶プレートで近江牛を焼くことで遠赤外線効果により高熱でぎゅっと旨味を閉じ込めて肉本来の美味しさが味わえる。酸化鉄を含む滋賀県発祥の赤蒟蒻も焼くなど食べ方の新たな提案もしてくれるのはうれしい。また、同旅館は毎月献立を変えており、翌月宿泊した場合も違う料理内容、器、食材とのこと。時期とタイミングで食べる事のできる食事が異なる一期一会のプレミア感満載な料理が魅力と言える。

夕食の「近江牛御膳」は、近江の食べたい!がギュッと凝縮した充実度の高い御膳。旨味が溢れる近江牛肉、琵琶湖産手長海老、近江米の余呉産コシヒカリなどを贅沢に使用
春菊と菊花の白和えはさっぱりした味わい。シメジと薫製チーズの松葉刺しはチーズの濃厚さが際立っていた
柿の器に入った長芋イクラ和えはひんやりした長芋のシャキシャキとした食感とイクラのプチプチ感が楽しめる。霊余子カステラ、公魚変わり揚げ、琵琶湖産手長海老、小袖寿司は湖の幸を満喫。胡桃豆腐野菜味噌かけはもっちりな豆腐と濃厚な味噌で小さいながらも後引く美味しさ
時期の食材として土瓶蒸しを提供。松茸や名残鱧、鶏肉、銀杏、水菜などさまざまな食材が味の饗宴をしていた
近江牛肉板焼きは濃いめのお塩で頂くのがベスト。水晶プレートで旨味と脂を閉じ込め一口で味わうのがおすすめ。ワサビとポン酢も用意されている
炙りサーモンとタマネギ、焼き舞茸、キュウリと蒟蒻寒天の酢の物は自家製のポン酢ジュレでさっぱり味
赤出汁のみそ汁とふっくらと炊き上げた新米のご飯はおかわりも可能。地元の漬け物店丸長製の幸の物によりご飯が進む
水晶プレートで近江牛を焼くことで、遠赤外線効果により高熱でぎゅっと旨味を閉じ込めて肉本来の美味しさが味わえる
おごと温泉 びわ湖花街道

所在地:滋賀県大津市雄琴1-1-3
電話:0120-051041
宿泊料金:1泊3食付き1万6000円~
Webサイト:http://www.hanakaido.co.jp/

「白鬚神社」と「湖中大鳥居」

 ツアー2日目は、前半に文化や伝統を中心の旅程となった。湖西線 近江高島駅からタクシーで5分の「白鬚神社」への参拝からスタート。創建より約2000年と近江最古の同神社は、天孫降臨の際、先頭で道案内を行った猿田彦命を祀っており、日本全国に300ほど存在する分霊社の総本山。猿田彦命が白髪、白い鬚姿になるまで近江を気に入り留まったことから延命長寿白鬚の神として信仰されてきた。また、導き、道開きの神としても知られている。鳥居が琵琶湖内にあり、「近江の厳島」とも呼ばれ湖上参拝が盛んな頃は浜辺に船を停泊させていた。

国の重要文化財として認定されている本殿。桃山時代の入母屋造りで檜皮葺きの屋根が見事。建てられた時期が異なるが拝殿と屋根が続いている部分も興味深い
琵琶湖にたたずむ湖中大鳥居。湖岸より約58m。湖面より高さ10m、柱間約8m。天気の良い日には琵琶湖最大の沖ノ島も見える
白鬚神社

所在地:滋賀県高島市鵜川215
電話:074-036-1555
Webサイト:http://shirahigejinja.com/

エコツーリズム大賞受賞「針江生水の郷 エコツアー」

 続いては、湖西線 新旭駅より徒歩15分の針江にて「針江生水の郷 エコツアー」へ。豊かな湧き水を活かした生活様式、土地の文化などについて学ぶツアーで事前予約制だ。今回は「川端と街並みコース(Aコース1人1000円)」で1時間半かけて散策。地元住民の台所でもある川端は、比良山系に降った雨や雪が伏流水となり湧き出た水を使い家事や炊事に活用、現在も「きれいな水をびわ湖に戻す」精神で使用されている。各家庭には炊事や冷蔵庫がわりに使う“壷池”、水をきれいにするために鯉などを飼う“端池”があり、端池から水路に直接つながり、そのまま琵琶湖に流れ出る仕組み。水路にはさまざまな生き物が生活し、豊かな生態環境が保たれている。さらに近年では、2014年に「エコツーリズム大賞」も受賞し、川端文化の保全と湧き水の生活に日本や海外から注目がさらに集まっている。

60ほどの世帯には川端が現存。湧き水のため常に1年中13度前後で温度が保たれている。お鍋などが置かれ、まさに台所といった風情だ
立ち寄った上原豆腐店では、壷池にできたての豆腐が湧き水に沈んでいた。各家庭でも野菜などを入れており、冷えすぎず味が分かりやすい温度とのことだ
各家庭の湧き水は味がそれぞれ異なる。少し甘さを感じたり、さっぱりしていたりと個性があり飲み比べもツアー中に行える。スッと体にしみ込む美味しさは共通している
水路の水が集まる川には梅花藻の1センチほどの花も見られた。蛍の幼虫の餌となるカワニナも多く、夏には水辺が蛍の光で照らされるという
針江生水の郷

所在地:滋賀県高島市新旭町針江
電話:0740-25-6566(針江生水の郷委員会事務局)
対応時間:10時~16時
Webサイト:http://harie-syozu.jp/

 昼食は地元の食材を活かした明治13年創業の老舗料理店「川新」へ。「生水の郷御膳」(1500円)が一イチ押しとのこと。琵琶湖のびわ鱒のお造りに小鮎の甘露煮に天ぷら、地元上原豆腐店の豆腐と地野菜に卵、海老豆、そして新旭産のコシヒカリと地元の旬の味と伝統の味を食べ尽くすことができる人気のセットだ。

明治から続く老舗料理店「川新」。針江生水の郷指定料理店だ
「生水の郷御膳」のお造りには天然のびわ鱒を使用。漁の時期の関係で提供時期が限定されている。必ず味わっておきたい魚のひとつだ
ツアーでも訪れた豆腐を使った冷や奴に琵琶湖の川海老など地元の美味しいがたっぷり。彩りも鮮やかな小鉢を頂く。ボリュームもあり満足度もかなり高い
地元で昔から愛されている海老豆やしじみ煮も小鉢で提供される。その土地ならではの美味しさを味わえるのはうれしい。店舗にて販売もされているので、お酒やご飯の友としてお土産にも
川新

所在地:滋賀県高島市新旭町1145
電話:0740-25-2237
営業時間:11時~14時(夜は予約制)
Webサイト:http://www.oryori-kawashin.com/

「道の駅 藤樹の里 あどがわ」の「アドベリーソフトクリーム」

 2日目の後半は、スイーツ三昧として湖西線 安曇川駅より徒歩10分の「道の駅 藤樹の里あどがわ」へ。地元特産のアドベリー(ボイズンベリー)をふんだんに取り入れた「アドベリーソフトクリーム」(330円)は、甘酸っぱくベリーの果実感溢れる濃厚な味わいが魅力。初めて食べるその味はクセになるほど。アドベリーは、現在日本でほとんど栽培されておらず、収穫した日の夕方には鮮度が落ちる程繊細な果実。冷凍輸入ではなく、生の果実が味わえる貴重な場所として6月の収穫時期には安曇川にたくさんのファンが訪れるという。ジャムなどアドベリーを活かした製品も道の駅内で手に入れる事もできる。

アドベリーの果実や果汁を使ったスイーツやドリンクなどの特産品を多数販売している。地野菜の市場も併設され、平日でも多くの人でにぎわっている
紫がかった「アドベリーソフトクリーム」。シャーベットを食べているような爽やかさと、強めのベリー特有の酸味が絶妙な味わいを出している。甘過ぎない部分も好感度が高い。ミックスソフトはストレートに比べると若干まろやか
道の駅 藤樹の里あどがわ

所在地:滋賀県高島市安曇川町青柳1162-1
電話:074-032-8460
営業時間:9時~19時(4月~8月)9時~18時(9月~3月)毎月第2水曜・元旦休館
Webサイト:http://mitinoeki-adogawa.com/

明治創業の和洋菓子店「とも栄」の「あど菓みるく」と「アドベリーマドレーヌ」

安曇川駅より徒歩5分、明治7年から地元に、そして現在は海外にも和洋菓子を届けている老舗菓子店「とも栄」

 旅の最後に訪れたのは、安曇川駅より徒歩5分、明治7年から地元に、そして現在は海外にも和洋菓子を届けている老舗菓子店「とも栄」。アドベリーを使ったスイーツを数多く開発し、国際線のビジネスクラスのデザートにも採用されるなど評価も高い。一番人気は「あど菓みるく」(8個入り1100円)。乳製品を合わせる事で風味が増すベリーの特徴を活かし、ミルク餡にじっくり煮詰めたアドベリージャムがベストマッチな焼き菓子。また「アドベリーマドレーヌ」(6個入り1150円)では、お店から5分のファームから毎朝届く朝採れ卵を使ったしっかり目に仕上げたスポンジにジャムを合わせ酸味のアクセントが効いたスイーツ。店舗に併設する「TOMOE 和 Cafe」では「夏ふわ氷(アドベリー)」(550円)や「食べる甘酒」(250円)なども提供。イートインスペースもあり、その場でアドベリースイーツを頬張れるのもうれしい。

ミルク餡とアドベリージャムのハーモニーが抜群な一番人気の焼き菓子「あど菓みるく」
卵とバターの味がしっかり感じられる生地に酸味の強いアドベリージャムを載せた「アドベリーマドレーヌ」
夏場限定の「夏ふわ氷(アドベリー)」のてっぺんには果実が。自家製のアドベリーシロップと練乳ミルクのバランスとふわふわの氷で一気に完食してしまう。冬期での提供の可否に関しては、店舗へ要確認
冬の時期には飲み物系スイーツとして「食べる甘酒」がお勧め。ノンシュガーながら、素材の米の甘みでほっこり、ショウガを少し加えることでより甘さが引き立つ。米の粒がそのまま入っており、噛みながら飲むため食事的な感覚も。ノンアルコールで安心して楽しめる
店内にはアドベリーを使ったダックワーズやラスク、エクレア、スノーボール、餅などスイーツがもりだくさん
とも栄

所在地:滋賀県安曇川町西万木2-11
電話:0120-82-0145
営業時間:9時~19時30分(元旦のみ休業)
Webサイト:http://www.sweet-tomoe.com/

相川真由美