旅レポ

森と湖の国フィンランド~一番近いヨーロッパへリラクゼーショントリップ~(その1)

デザインの街ヘルシンキ編

 皆さんは「フィンランド」というと何を思い浮かべますか? ムーミンやオーロラ、サウナにサンタクロース。インテリアやキッチングッズ好きさんならアルテックやイッタラ、マリメッコなどのフィンランドブランドの名前が挙がるかもしれません。そしておそらく誰もが“ヨーロッパの北の遠い国”というイメージをお持ちなのではないでしょうか? 私ゆきぴゅーもそうでした、今回行くまでは!

フィンランドのレガシーキャリア「フィンエアー」はマリメッコ尽くし♪

10月中旬、Visit Finland(フィンランド政府観光局)が実施したプレスツアーに参加して参りました

 実はフィンランドは、ある国を挟んで日本のお隣のお隣にあるのです。その“ある国”というのは……そう、世界最大の国土を持つロシア! 今回は成田から首都ヘルシンキへ直行便が飛んでいるフィンエアーで行ったのですが、フライトマップを見るとご覧のとおり。広大なロシア上空をひたすら飛んでいるんですねぇ。成田からの飛行時間は往路が10時間20分、復路が9時間40分となっています。

フィンランドは“一番近いヨーロッパ”とも呼ばれているんです

 今回はフィンエアーのビジネスクラスで行くことができたのですが、これがすこぶる快適で(<当たり前)ずっと乗っていてもいいですわ~♪と思ったほどです。というのも機内がフィンランドのブランド「marimekko(マリメッコ)」尽くしだから! アメニティポーチや毛布、ナプキンやテーブルウェアまでもがマリメッコ。フィンランドに着く前からテンションが上がってしまったのは言うまでもありません。

マリメッコといえばこの大きな花柄のウニッコが有名。アメニティポーチの中身はクラランスのクリームやリップバーム、歯ブラシなどでした
毛布もマリメッコデザイン。これが肌触り抜群で、丸まっていると気持ちいいのです
グラス類はイッタラ。こちらもフィンランドの人気ブランドです。スパークリングワインが進みます
機内食がどれも美味しい! マリメッコのコーヒーカップはフィンエアー限定

街歩きにちょうどいいコンパクトサイズのヘルシンキ

10月中旬。すっかり秋も深まって、冬がもうすぐそこといった感じのヘルシンキ

 首都ヘルシンキはフィンランドの南端に位置し、約62万人が暮らす同国最大の都市です。ちなみにフィンランド全体の人口は約550万人と、北海道とほぼ同じ。国の面積は日本よりちょっと小さいくらいなので、かなり人口密度が低いことが分かります。空の玄関口であるヘルシンキ・ヴァンター国際空港から市街へはエアポートバスや鉄道を使って20~30分ほどと簡単アクセス。晩秋のヘルシンキの街にさっそく繰り出してみました。

まず向かったのはヘルシンキ中央駅。石造りの立派な建物です
この駅、約100年前に造られた建物だそう。それにしてもヨーロッパの駅ってカッコいいですわよね
フィンランドの鉄道はJRならぬ「VR」。ここから各都市への長距離電車などが出ています

 もう少し街歩きをしてみましょう。今回私は乗る機会がなかったのですが、ヘルシンキの街にはトラムが走っていて観光にも便利。石畳のシックな街中を最新鋭っぽいモダンな車両が走っているので、ついついカメラを向けてしまいました。

市民の重要な足として利用されているトラム。色々な車両を見るのも楽しい♪

 歩いていて気づいたのですが、ヘルシンキの街には自転車専用レーンが整備されている道路が多いのです。知らないで歩いていたらものすごく迷惑そうな顔をされたので、自転車はかなり市民権を得ているのでしょう。

道路と歩行者レーンの間にある自転車レーン

 レンタルサイクルも見かけました。ヘルシンキの街には大小さまざまな公園がいたるところにあります。今回訪れた10月中旬は、色づいた葉っぱが落葉して、地面いっぱいにカラフルなじゅうたんを敷き詰めたみたいでしたよ。人々の絵になる散歩風景がまた素敵なのです。

宿泊したホテルの近くにあった公園
思わず足を止めてパチリ
秋の雰囲気がとっても似合う街並みです

 街のランドマークになっているヘルシンキ大聖堂は白亜の建物。高台に位置しているので少し遠くからでも見ることができます。下は広場になっていて、かつてロシアがフィンランドを支配していたときの皇帝アレクサンドル2世の銅像があります。

建物の左側が改修工事中。白いシートで覆っているので、よく見ないと気づきません。その配慮に感心!

 日本では“キヨスクは駅の中”ですが、フィンランドでは「R kiyoski」として街中のあちらこちらで見かけました。このキヨスキ(気に入ってこう呼んでいた)日本のコンビニと同じようなものですが、お土産をと思って入ってみると、値段がかなりの割高。スーパーのほうが断然安かったです。

Rは何の意味なのかしら?

 ヘルシンキはコンパクトな街なので、中心部だけならば徒歩で十分まわることができます。ただ、どこもかしこも足元が石畳なので、思っている以上に凸凹があります。スーツケースをガラガラと引いて歩くのも躊躇してしまうほど。石畳は雰囲気があってとっても素敵なのですが、ヒールのある靴などは大変そうですね。

重厚で歴史ある建物があちこちに
ヘルシンキはフィンランド湾に面した海の街

ヘルシンキの街なかに続々オープンしている最新サウナ施設

 フィンランドはサウナ発祥の地として知られています。一般家庭でもほとんどのお宅にサウナがあるんだそう。フィンランドの人達にとってサウナは大事な文化であり社交場でもあるのです。私たち日本人の“温泉”に近い存在のような気がしますよね。と、そんなわけで日本にスーパー銭湯や日帰り温泉施設があるように、ヘルシンキにも公衆サウナ施設がたくさんあります。

 今回はヘルシンキに今年オープンした2カ所の施設を見学しました。まずは1カ所目、海の目の前に造られた公衆サウナ施設「Loyly(ロウリュ)」です(「Loyly」公式サイト)。その外観は美術館や博物館かと思わせるモダンな木造建築。ガラス張りのレストランを併設していてなんともオシャレでした。

一見、公衆サウナ施設とは思えない外観。夏場はサウナから目の前の海に直行できるそう。やってみたい!
煙突越しにヘルシンキの街並み

 お次は2016年9月にオープンしたばかりの複合施設「Allas Sea Pool」です(「Allas Sea Pool」公式サイト)。こちらはその名のとおりプール。しかも通年営業の屋外温水プールなのです。水温は常時27~28℃に保たれているので、凍えるような真冬でも快適! かどうかは入っていないので分かりません。プールは3つあって、大人用の温水プール、子供用温水プール、そしてもう一つは水プールです。で、この水プールがちょっとユニークで、なんでも500mほど沖の海水をくんできてフィルターでろ過したミネラルたっぷりの海水プールとのこと。さすがに今の時期はこの水プールに入っている人はいませんでしたけれどね。

それにしてもすごいロケーションに作ったと思いませんか?

「Allas Sea Pool」にはサウナ施設もあります。男女別とミックスの3つがあって、ミックスは水着着用です。レストランやカフェもあるので、1日のんびりリフレッシュするには最高ですね。

ついロゴやフォントが気になって撮ってしまいます
プールのすぐ近くに観覧車があるのですが、これがビックリ仰天観覧車なのです!
この木製キャビンは、なんとサウナ! どんだけサウナ好きなんだ! フィンランド人

ヘルシンキにイッタラ、絶対にイッタラに行ってみよう!

イッタラのキュートな店員さん

 サウナの次はお待ちかねフィンランドブランド巡りといきましょう。ヘルシンキの街には「デザイン・ディストリクト」と呼ばれる、ギャラリーやカフェ、レストラン、ファッション・ブティックなど最先端デザインを感じられるおよそ200のショップが集まったエリアがあります。加盟しているお店には目印として白黒のステッカーが貼られています。

 そんなデザイン・ディストリクトで、今回まず訪れたのは、テーブルウェアやインテリアを中心にさまざまな商品を展開している「iittala(イッタラ)」です。私も普段使いで愛用しているお皿やグラスがあるので、本場フィンランドのイッタラ店舗に行けるのはとっても楽しみにしていました

洗練された雰囲気の広~い店内
見ているだけでうっとりしてしまう美しいグラス
人気のKastehelmi(カステヘルミ)シリーズ。フィンランド語で“朝露のしずく”の意味なんだそう
アラビアのムーミンマグカップ。アラビアはイッタラ社の1ブランドなんですね

フィンランドの宝物ブランド、マリメッコ

ヘルシンキの街にはマリメッコの店舗がいくつかあります

 お次はフィンエアーの機内でも出会ったマリメッコです。今や世界中で愛されているブランドですが、もともとはテキスタイル(布地)の会社でした。その後、大胆な柄の布地を洋服に仕立てたのがマリメッコの始まりです。これだけ有名なブランドになったのは、何人もの優秀なデザイナーがいたからにほかなりませんが、マリメッコの名前が世界的に有名になった出来事が1960年初頭にありました。それはアメリカの大統領選挙中にジャクリーン・ケネディ夫人がマリメッコのドレスを7着も購入し、マスコミがこぞって報道したこと。これがきっかけでアメリカでの知名度が一気に上がったのだそうです。

大胆なテキスタイルが魅力のマリメッコ
さまざまなテキスタイルが並びます
やっぱり目が行くのはテーブルウェア! あれもこれも欲しい!
プレスツアー一行の女性は全員、帰りにショッピングバッグを手にしていました

 フィンランドでは田舎のおばあちゃんまでもがマリメッコを愛用しているんだそうです。今ではビンテージと呼ばれるほどのワンピースやシャツを長年大切に使い続けている人も多いんだとか。それだけ何十年と飽きのこない魅力的なテキスタイルがマリメッコには生き続けているということ。素晴らしい!

こちらはこの秋オープンしたばかりのデザインセレクトショップ「TRE」。雑貨好きには見ているだけでワクワクする空間です。このような新しいデザインショップが「デザイン・ディストリクト」には次々と生まれているのです

オシャレなデザインホテル「ホテルインディゴ ヘルシンキ ブルーバード」

ヘルシンキ観光にも便利な立地にあるホテルインディゴ

 さすがデザインの街ヘルシンキ、ホテルまでフィンランドデザインを堪能できちゃいます。今回宿泊した「ホテル インディゴ ヘルシンキ ブルーバード」は、ヘルシンキ中央駅から歩いても10分足らずのところにある小ぢんまりしたブティックホテル。しかし、しかし! ロビーやカフェ、もちろんお部屋、どこを見てもすべてがオシャレでカッコいいのです。フロントの人も気さくでアットホームな雰囲気。ヘルシンキ滞在にはオススメのホテルですよ。

1階のロビー横。こんなところに住みたい! と思わせる見事な空間デザインです
セレクトショップではありませんのよ、ホテルのロビーですの
これまた感動した、朝食をいただいたレストラン
豊富なパンやシリアル。目移りしちゃいました
フィンランドではこのようなベリーを毎日食べました
日本でも人気のストウブ社のホーロー鍋に盛られたお料理
イッタラのプレートで美味しい朝食。とっても幸せな時間でした
お部屋はこんな感じ。フィンランド人の背の高さに合わせたのかベッドが高い!
お部屋にあったマグカップがなんとアラビア!これはうれしい♪

 現地では人々の生活の一部としてなじんでいるフィンランドデザイン。カラフルで大胆で、でもほっこりと温かい気持ちになるインテリアの数々。長い極夜の冬をおうちで快適に過ごしたいという人々の願いから生み出されてきたと言われています。そう考えたら妙に納得してしまいますよね。北欧フィンランドだからこそ生まれたデザインを、フィンランドの人達が世代を超えて愛し続けていること、それがなにより素晴らしいと思ったヘルシンキ観光でした。さて次回は、北極圏の入り口の街、ロバニエミ編です。お楽しみに~♪

今夜のゆきぴゅー@ホテルインディゴ

ストップオーバーフィンランドについて

 日本の4都市とヨーロッパの60都市をヘルシンキ経由で結んでいるフィンエアー。日本などのアジアからヘルシンキ経由でヨーロッパに渡航する旅行者向けに、フィンランドで途中降機(ストップオーバー)して短期間滞在でも手軽にフィンランドを体験してもらう新しい旅を提案しています。5時間のクイックツアーから最長5日間のパッケージツアーまでさまざまな“寄り道する理由”を用意。詳しくは公式サイトをご覧ください。

ゆきぴゅー

長野生まれの長野育ち。2001年に上京し、デジカメライター兼カメラマンのお弟子さんとして怒涛の日々を送るかたわら、絵日記でポンチ絵を描き始める。独立後はイラストレーターとライターを足して2で割った“イラストライター”として、雑誌やWeb連載のほか、企業広告などのイメージキャラクター制作なども手がける。