旅レポ

時差のない西洋、オーストラリア・ブリスベンで体も心もリラックス(その4)

豪快なグルメから動物の癒やし、そしてアクティビティへの急転直下旅

クイーンズランドを代表するビールブランド「XXXX」の工場。見学ツアーもある

 オーストラリアの人口第3位の都市にして、クイーンズランド州の州都であり、日本からの直行便もあるオーストラリア・ブリスベン。クイーンズランド州政府観光局が実施したプレスツアーで訪れ、この地の魅力の一端に触れた。レポートの第4回目も、引き続き中心部から少し足を伸ばしたスポットをお伝えしていきたい。

クイーンズランドを代表するビール「XXXX」

 大人の海外旅行といえばご当地の“お酒”を楽しみたい人も多いだろう。最初に断わっておくと記者は下戸というほどではないが、ほとんどお酒をたしなまないので、このジャンルは弱い。とはいえ、個人旅行だったら絶対に行かないであろうお酒を楽しめる場所に連れて行ってもらえるのは、こうしたツアーの魅力だと思って実は結構わくわくしていたりするのも事実である。

 オーストラリアというと、なんとなくワインのイメージがあったのだが、クイーンズランドにはラガービールの代表的なブランドである「XXXX(フォーエックス)」の工場があり、その工場見学に参加することができた。

 場所はシティから少し離れ、別記事で紹介したラグビースタジアム「サンコープ・スタジアム」のさらに先となる。というとシティから遠いようなイメージを持たれるかもしれないが、鉄道ではセントラル駅から2駅目のミルトン駅の目の前なので、実は交通アクセスはわるくない。

 1日1500hL(15万L)を生産するという施設を見学できるツアーは、大人が32ドル(約2500円)、11~17歳が18ドル(約1400円)で、下記のようなスケジュールで実施。現地を訪問して、空いている時間に参加できる。

月曜~金曜日:11時~、12時30分~、15時~、17時~
土曜日:11時~、11時30分~、12時~、12時30分~、13時~、13時30分~、14時~、15時~、17時~
日曜日・祝日:定休

 ツアーでは、ビールそのものの歴史から、XXXXの歴史、ビールの製造工程まで、約90分と内容は盛りだくさん。全編英語で同時通訳のヘッドフォンなどもないので、ちょっとハードルは高く、正直ガイドさんが話している内容のすべてを理解できたわけではないのだが、かなり面白い。記者はいわゆる工場萌え属性はないつもりなのだが、そんな気持ちが心の底から炭酸ガスのごとく浮かび上がってくるのを感じた……というのははっきり言って大げさだが、工場内に張り巡らされたパイプや、林立するタンクなどを間近で見られることには興奮する。「ホップってこうやって調合するんだーへぇー」とか「昔のビールのパッケージでこうだったんだーへぇー」とか、とにかく好奇心がかき立てられた。

 そして、ツアーが終わった暁には(もちろんオトナ限定だが)ビールの試飲が待っている。たぶん多くの大人の皆さんはこれを楽しみに90分歩き回っているのではないかと思うのだが、こういう機会では小さいグラスに注いでもらえるので記者も軽く試せてありがたい。普段からお酒をたしなまない(なにを隠そう一番苦手なお酒がビールである)人間の意見なのであまり参考にはならないと思うが、実際味わってみると、種類によって味が違うのもはっきり分かるし、日本の飲み屋さんで飲むビールに比べてすっきりしていて飲みやすいように思えた。これなら普通のグラス1杯ぐらいはナントカなるかも……と気持ちが大きくなったのは酔いがあったのかもしれないが、このあとも仕事なので小さなグラスの飲み比べだけにしておく程度の理性は残してツアーを終えた。

ビールの歴史の映像を見たあと、ホップや麦の調合の話、ビールの製造工程などを順番に見学できる
1924年に発売された初の瓶ビールや1961年の初めての缶ビールから、現行の製品まで歴代のパッケージが展示されている
そしてツアーの最後は試飲

 ちなみに、このXXXXの工場「XXXX Brewery」にはレストランも併設されており、ちょっとした食事を、生ビールとともに楽しむことができる。レストランの営業時間は11時~21時となっているので、昼間から飲みたい人も、ディナーついでに飲みたい人も、ディナーのあとに追い酒をしたい人も楽しめるのだ。

XXXX Brewery

所在地:Black St & Paten St, Milton
営業時間:11時~21時(ツアーの開始時刻は文中参照、日曜・祝日は定休日)
Webサイト:XXXX(英文)

XXXXのさまざまなビールが用意されていて、その場で注いでもらえる
レストランの店内。XXXXグッズの販売コーナーも
豪快にナイフが突き立てられたハンバーガーが主役だが、添えられたポテトがなんともジャンキーでクセになる味

生肉を選んで調理を待つ「Breakfast Creek Hotel」

 XXXXの話題を持ち出したところで、ブリスベン空港からシティ方面へ向かうときに目に飛び込んでくるであろう建物についても紹介しておきたい。夜の方がネオンサインが光っていて分かりやすいのだが、ちょうど空港からシティへ向かうときに高速道路が途切れるアルビオンというエリアに、「XXXX」の文字が目立つ建物がある。それが「Breakfast Creek Hotel(ブレックファスト・クリーク・ホテル)」だ。

 Breakfastとあるので朝食でも食べるのかと思いきや、むしろガッツリとディナーを楽しみたい人にぴったりのレストランだ。ちなみに、このBreakfastという名前は、ブリスベン川から分かれる支流の名前がBreakfast Creekといい、その合流地点付近に建っていることから、こうした店名を付けたようだ。元々は店名のとおりホテルとして営業していたもので、1889年に建てられたという。日本では大日本帝国憲法が公布された年と考えると、建物だけでも歴史の重みがある。

 ガッツリとディナーを……を記したが、もう注文だけでお腹いっぱいと思う人が現われるかもしれない。ここは、精肉店のように生肉が並ぶなかから食べたいお肉を選んで注文。焼き上がるのを待つのだ。焼くと多少縮むとはいえ、並んでいる肉はどれも大ぶり。思いっきりお腹を空かせて訪れることをお勧めする。

 そして記者が頼んだのは、「Dry Aged Rib Eye On The Born(乾燥熟成させた骨付きリブ)」で47オーストラリアドル(約3650円)。店員さんにお勧めを聞いて選んだ一品だ。焼き上がるのにちょっと時間がかかったのは玉に瑕だが、この時間もお腹をさらに空かせるのに役立ったかもしれない(ポジティブ思考)。

 焼いても十分に大きく、骨が付いていることもあって「The 肉!」「The オージービーフ!」な感じ。オージービーフらしいしっかりした歯ごたえはあるが、リブなので柔らかく、添えられたソースを少しずつ付けて食べると肉の旨味をより強く感じられた。注文したDry Aged Rib Eye On The Bornはステーキ単品としてはもっとも高価な品物だったこともあって少々お高く感じたことは否定しないが、注文のエンタテイメント性から、実際に食べた肉の満足度まで、トータルで考えると十分にその価値はあるように思えた。

Breakfast Creek Hotel

所在地:2 Kingsford Smith Dve Breakfast Creek
営業時間:10時~翌2時
Webサイト:Breakfast Creek Hotel(英文)

夜になるとひときわ目立つ「XXXX」のネオンサイン
注文はまるで精肉店。ずらっと並んだオージービーフから好きな部位を選んで注文する
焼き上がると呼び出してくれるので取りに行く。お皿の数で分かるように、かなり規模の大きいお店だ
ドリンクはアルコール、ノンアルコールともにバーカウンターへ行って注文する

さらに郊外へ出てコアラやカンガルーに癒やされる

 さて、ビールやら肉やら、ちょっとカロリーの高い話が続いたので、少し落ち着いて、続いては自然を楽しめるスポットを紹介したい。ブリスベンのシティから西へクルマで15~20分ほど走ったところにある「Lone Pine Koala Sanctuary(ローンパイン・コアラ・サンクチュアリ)」だ。公共交通機関を利用する場合は、シティから1時間に1本の間隔で直通バスが運行されていて所要時間は40分ほどとなる。

 ここは、その名のとおりのコアラ保護区だ。1927年にコアラの保護区として世界で最初に設立され、現在は約130頭のコアラを飼育しているという。入場料は大人36オーストラリアドル(約2800円)、子供(3~13歳)が22オーストラリアドル(約1700円)で、大人2名と子供3名のファミリーが85オーストラリアドル(約6600円)というパッケージもあるので、家族連れにもありがたい。

顔ハメ看板は世界共通!?
ゴミ箱にもコアラ
ジュースの自動販売機にもコアラ

 オーストラリアのコアラ保護区の魅力は、なんといってもコアラを抱っこできること。そして、それを写真に残すことができること。自分のカメラやスマホで撮影することもできるのがうれしい。また、18オーストラリアドル(約1400円)からのメニューで撮影した写真をプリントでき、すべてのメニューにファイルをダウンロードできるサービスも含まれる。プロが撮影した写真も思い出に残しておきたい人にはデジタル写真をダウンロードできるサービスは特にうれしいだろう。

 もちろん、記者もここぞとばかりにコアラを抱っこさせてもらった。といっても、「手をこうして、じっとしてて」と言われて、そこにコアラを「乗せてもらっただけ」という感じで、長男が生まれたとき「はい、手をこうして、はい」みたいな感じで看護師さんに子供を抱っこさせてもらったことをフト思い出したりもしたのだが、コアラはツメを立ててしがみついてくるので、生まれたばかりの人間の子供より手応えはある。

 ところで、コアラといえばユーカリの葉を連想する人も多いと思うが、多数あるユーカリの品種のなかでもコアラが食べる品種はごく限られるのだそう。そして、ユーカリばかり食べているコアラは、体からもユーカリの独特の香りが漂っている。臭いはなにより記憶に残るというが、コアラの重みよりも、やっぱりその臭いの方が記憶に強く染みついている。よい香りというわけでもないが、不快感はない。抱っこをする際に、動物らしい臭さはなく、清潔感があるのも人気の理由かもしれない。

木にとまっているコアラは思ったようにこっちを向いてくれない
コアラを抱っこする記者。緊張感が漂う引きつった顔に
こちらはローンパイン・コアラ・サンクチュアリの広報さん。余裕の笑顔

 このほかにもローンパイン・コアラ・サンクチュアリではさまざまな動物が飼育されていて、ちょっとした動物園気分を楽しめる。なかでもカンガルーが放し飼いにされているエリアに入って、エサをあげられるエリアは楽しめるアクティビティだ。

 このカンガルーの広場にはエミューも放し飼いにされていて、突っつかれないか多少恐怖を覚えたのだが、それはそれとして、カンガルーが集まっているところに行ってみると、かわいいカンガルーたちがいっぱい。エサを乗せた手を差し出すとムシャムシャと食べてくれる。

 かわいい。ただただ、かわいい。

 と思いながら横を見ると、気の抜けたカンガルーはオッサンぽくて、かわいくないので油断できない。初めて間近に見るカンガルーに、一瞬にして毀誉褒貶が入り交じった感情を抱いてしまったわけだが、そのすべてを含めて楽しい体験だ。

 このほかにも、オーストラリアらしいウォンバットやタスマニアデビルも飼育されている。昼間は寝ていて探すのが大変だが、せっかく来たんだから一目見たくなって意地になって探したりして、日本の動物園では体験できないことだけに、いい大人が子供心に帰れる場所でもあった。家族で来ればお父さん、お母さんも子供と一緒の気持ちになって楽しめるのではないだろうか。

Lone Pine Koala Sanctuary

所在地:708 Jesmond Road, Fig Tree Pocket
営業時間:9時~17時
Webサイト:Lone Pine Koala Sanctuary(英文)

カンガルーが放し飼いされている広場
エミューも同じように放し飼いされていてちょっと怖い
ほかの人がエサを上げている様子を見る。かわいい
記者もエサを差し出してみる
う~ん、かわいい
う~ん、かわい……
くないかも!?
夜行性のウォンバットが起きてたのはラッキー。起きててもかわいいし、寝ててもかわいい
タスマニアデビルは熟睡
フクロウやカモノハシなど、ほかにもいろいろな動物が飼育されている
出口にはショップがある

「カンガルーポイント」からセグウェイに乗ってブリスベン川沿いを満喫

 さて、続いては「カンガルーポイント」を紹介する。今度はカンガルーがいる場所ではなく、そんな地名の場所であり、公園の名前にもなっているところだ。ここはシティからブリスベン川を挟んで東側に位置しており、高台になっていてシティを一望できるのが魅力だ。

 カフェや遊歩道も整備されており、休日にのんびりと過ごすにはよさそう。駐車場もあって、昼近くには平日でもほとんど埋まっていた。

カンガルーポイントから眺めるシティ

 このカンガルーポイントの公園からは川沿いへと下りることもできる。ここにあるのが「Riverlife」というアクティビティサービス。セグウェイやカヤック、スタンドアップパドル、インラインスケートなどなど、ブリスベン川や川沿いを堪能できるさまざまなアクティビティを用意している。そんななかで今回トライしたのがセグウェイだ。

 セグウェイについては説明不要だろう。ジャイロスコープを使ってバランスを取る2輪の乗り物で、前後への走行を体重移動で行なうのが特徴だ。日本での公道走行は実験の域を出ていないが、私有地内で利用しているところがあるし、欧米の観光地ではセグウェイを使ったツアーもあるので体験する機会はそれなりにある。かくいう記者もかなり前に米国のイベント会場で短時間ながら試乗したことがあった。

 セグウェイは慣れないとちょっと違和感があるが、容易に習熟できる手軽な乗り物でもある。数年前の体験の感覚はすっかりなくなっていたので、ほぼゼロからのスタートといってよい状態だったが、数分もあれば、スラロームの練習コースを抜けられる程度には操作できるようになった。

 ちなみに、このセグウェイツアーは25分で39オーストラリアドル(約3000円)から。下記に写真を掲載したストーリーブリッジまで行くには30分のツアーで59オーストラリアドル(約4600円)。最大で60分(99オーストラリアドル、約7700円)となるが、慣れると楽しくて仕方ないので、おそらく30分では足りないと感じる人の方が多いのではないかと思うが、このあたりは予算と相談して決めよう。

 今回はブリスベンのシンボルとも言えるストーリーブリッジの近くのキャプテン・バーク公園(Captain Burke Park)まで行くプランである。最初に練習を行なって、そのあとブリスベン川沿いのサイクリングコースを走った。セグウェイ乗車中は安全のため撮影は禁止されるので、走行中の写真はないのだが、インストラクターさんにモデルになってもらってもらい、その雰囲気をお伝えできそうな写真を撮らせてもらった。自然に包まれた緑のなかを走り抜けていく真っ黒なセグウェイを操って、楽しい時間を過ごすことができる。

Riverlife

所在地:Naval Stores, Lower River Terrace, Kangaroo Point
Webサイト:Riverlife(英文)

カンガルーポイントを歩いていると「Riverlife」の看板
この階段を下りて、川沿いへ
ごらんの断崖。Rierlifeは、こうした断崖を利用したロッククライミングも提供している
Riverlifeはカンガルーポイントからし北へ進む
Riverlifeの建物。ここで受付などを行なう
なかにはセグウェイが
タブレットを使って名前などの情報を入力していく
セグウェイに乗る前にインストラクターから注意点の説明
インストラクターが我々が使うセグウェイを練習場へ
芝生の上でしばし練習。スラロームのほか、傾斜がある場所で正しく前に進めるよう体を動かす練習もある
ブリスベンのシンボルであるストーリー・ブリッジをバックに、心地よい風を受けながらセグウェイを楽しめる

編集部:多和田新也