旅レポ
時差のない西洋、オーストラリア・ブリスベンで体も心もリラックス(その3)
アーティストな感性が磨かれる!? サウス・バンクをまったり散歩
2016年11月30日 00:01
オーストラリアの人口第3位の都市にして、クイーンズランド州の州都であり、日本からの直行便もあるオーストラリア・ブリスベン。クイーンズランド州政府観光局が実施したプレスツアーで訪れ、この地の魅力の一端に触れたレポートの第3回目では、中心部から少し足を伸ばしたスポットを紹介したい。
第1回、第2回のレポートで紹介したとおり、セントラル駅から広がる一体のブリスベン中心部は「シティ」や「CBD(Central Business District、中心業務地区)」と呼ばれており、いわばダウンタウンということになる。だが、多くの都市がそうであるように、ダウンタウンからほんの少し離れるだけでも観光、アクティビティの楽しみが広がるのはブリスベンも同じだ。
ぶらぶら歩くだけもよし、アクティビティを楽しむもよしのサウス・バンク
その“ほんの少し離れた”スポットとして紹介したいのが、サウス・バンクと呼ばれるエリア。ブリスベンは、縦断とも横断とも表現できるようなくねくねと流れるブリスベン川が特徴的な地形だ。ブリスベン川を挟んでシティの反対側に見えるエリアがサウス・バンク、サウス・ブリスベンというエリアになる。
元々は1988年の万博会場となった場所で、その跡地に「サウス・バンク・パークランド」と呼ばれる公園が作られている。サウス・バンクはブリスベン川を挟んでシティの南側に広がり、この公園はブリスベン川に沿って伸びている。観覧車がひときわ目立つが、ビーチ風プールやアスレチックなど楽しめる場所がたくさんある。またブーゲンビリアに包まれるトンネルや、ブリスベン川沿いの遊歩道も整備されているので、のんびりと時間を過ごすのにもよい場所だ。
多くの施設は無料で利用できるのも魅力。また、周辺にはレストランが建ち並んでおり、ランチやディナーの前後に散策するのもお勧めだ。
ただし、観覧車はさすがに有料。大人19オーストラリアドル(約1460円、1オーストラリアドル=約77円換算)、ゴンドラの貸し切り(99オーストラリアドル、約7650円)などのプランも用意されている。日~木曜は10時~22時、金~土曜は10時~23時と夜遅くまで営業しているので、貸し切りで夜景を楽しむのはさそがしロマンチックな体験になるのではないだろうか。
このほか、サウス・バンクでは週末の金~土曜に「The Collective Market」というマーケットが開かれる。いわゆる個人が持ち寄るフリマではなく、商店なども出店しているという。こうしたマーケットは実はブリスベン市内のあちこちで行なわれており、これを週末の商売としている人もいるようだ。こうした屋台風の店が並ぶマーケットは、お祭りなどを除けば日本では地方の朝市などで見られる程度ではないだろうか。なんとなくお祭り気分も味わえるマーケットも、ブリスベンでの週末を楽しむ一つの魅力的なスポットだ。
近代芸術だけでなく「橋」も注目の美術館
さらに、このサウス・バンクでは「GOMA」も見どころの一つ。GOMA、ともったいぶったように書いたが、これは「Gallery Of Modern Art」の略で、日本語では「クイーンズランド州近代美術館」と案内される。要するに近代芸術の美術館である。館内は基本的に無料で観覧できるので、ふらっと寄ってみるのもよいだろう。この周辺にはアートギャラリー、州の図書館なども集まっているので、文化・芸術に興味がある人にお勧めのエリアだ。
記者は近代芸術をよく理解していないので、展示品の善し悪しへの言及は避けようと思うのだが、入り口の脇にあったホテルの看板を、本物のホテルの看板と間違えたことだけは自信を持って書いておきたい。どう見ても周囲に溶け込んでいない看板なので、「なんだこれは?」は疑うべきなのだと冷静になると思えるのだが、「ホテルがあるんですね」と素で勘違いして質問してしまった。
もっとも、そのような勘違いをしてスタッフに尋ねる人は多いそうなので、あまり恥ずかしい思いもしなかったのだが、その返答が事実なのか、スタッフの優しさなのかは分からない。ここは事実だと思っておいた方が幸せだろう。
そして、GOMAから見える橋、「クリルパ・ブリッジ(Kurilpa Bridge)」は必見だ。たぶん「必見」などとわざわざ強調しなくても、近くに行けば自然に目に飛び込んでくるわけだが、その独特の形状には目を奪われることだろう。サウス・バンクとシティを結ぶ徒歩もしくは自転車でのみ渡れる橋で、さまざまな方向に伸びた支柱から、これまたさまざまな方向へ複雑に入り組んでワイヤーが張り巡らしてある。「これはまた変な、もとい立派な吊り橋」と一瞬思うかもしれないが、そんなレベルの話ではない。この橋は「テンセグリティ」と呼ばれる構造で、ワイヤーと柱(ここではあえて支柱とは表現しない)の張力と圧縮力で全体のバランスを取っているのだ。
実際に渡ってみたのだが、ぱっと見て、どのワイヤーにどのような力がかかっているかを理解するのは難しく、ただただ感心するだけ。もっとも、そんなに簡単に理解できたら、世界中のあちこちでこのような橋を見かけるだろうから、難しいからこそ珍しく、貴重な存在なのだ。
ちなみに、シティ寄り部分の車道をまたぐ箇所には、金網が張り巡らしてある。ここには訪れた人の願いが込められた(?)南京錠がかけられていて、この金網と南京錠だけは世界共通だな……とほっこりした。
GOMA(クイーンズランド州近代美術館)
所在地:Stanley Place, Cultural Precinct, South Bank, Brisbane, Queensland
営業時間:10時~17時(レストラン等は営業時間が異なる)
Webサイト:QAGOMA(英文)
カオスなウェスト・エンドにあるおしゃれなカフェ
このサウス・バンク、サウス・ブリスベンから少し南西に行くと、「ウェスト・エンド」という、いきなり南の街から西のはずれへ行ってしまったかのような名前のエリアが広がる。
そんなエリアにもおしゃれなカフェがある。「morningafter.(モーニングアフター)」というお店だ。交差点の角で、外光をいっぱいに取り入れた明るい店内で、このレポートのテーマでもある“リラックス”できるお店だ。健康にも配慮し、さらに地元の食材をふんだんに取り入れた料理も特徴だという。
ウェスト・エンドへ向かう道中は漢字や何語か一瞬では判別できない文字の看板などもあって、シティやサウス・ブリスベンの洗練された雰囲気に比べるとかなり混沌としているのだが、こうしたおしゃれな雰囲気のお店も、そうした自由なさまざまな文化の一つで、このエリアの面白さをより高めているように感じられた。
morningafter.
所在地:cnr Vulture & Cambridge St, West End, Brisbane
営業時間:7時~16時(朝食メニューは終日、ランチメニューは11時30分~15時)
Webサイト:morningafter.(英文)
シティ北部にあるアンティークなレストランでディナー
さて、軽い食事を紹介したところで、地理的には少し戻ることになるが、シティのエリアにあるレストランを一つ紹介しておきたい。それが「Molt Dining」だ。「since何年」とは書いてなかったが、書かれていても不思議ではないぐらい歴史を感じさせる建物に入居しているレストランだ。
案内されたのは2階席で、その上はすでに屋根。天井はなくて広々とした雰囲気だ。グランドピアノも置いてあって、食事中には生演奏が流れてきた。
メニューはシーフードから肉料理まで、ボリューム感のある料理が揃っている。メインの料理は35オーストラリアドル~(約2700円~)とそれなりのお値段ではあるが、満足感は高い。なにより落ち着いた大人の雰囲気でディナーを楽しみたい人にはもってこいのお店だ。