旅レポ

1960年代の古きよきハワイの雰囲気ただようホテル「ザ・サーフジャック・ホテル&スイムクラブ」を体験

サーフィンとビンテージモダンなハワイがテーマのコンセプチュアルなホテル

ワイキキに建つザ・サーフジャック・ホテル&スイムクラブ

 アクア-アストン・ホスピタリティー系列のホテルとして、2016年3月にホノルルに開業した「ザ・サーフジャック・ホテル&スイムクラブ(The Surfjack Hotel & Swim Club)」。元は「ホケレ・スイーツ・ワイキキ」として営業していたのを大幅改装してオープンした。ルワーズ・ストリートに面し、Tギャラリアがすぐ近くという立地になっている。

 10階建てで全111室のこのホテルは、ミッドセンチュリーのハワイがテーマになっており、リゾートホテルとはひと味違ったオシャレ感が漂う。今回、このザ・サーフジャック・ホテル&スイムクラブに宿泊したのでその詳細をレポートする。

ロビー入ってすぐのプールにびっくり

 エントランスを入って即、目に飛び込むのは、このホテルの代名詞ともいうべき中庭のプールだ。ホテルに入ってすぐというインパクトの大きさもさることながら、キャッチーなのはプールの底に描かれた「Wish You Were Here!」というロゴイラストレーション。懐かしのハワイを思わせるデザインになっており、中庭に面した上層階のバルコニーや通路から見るプールの全景は「カッコいい」のひと言に尽きる。

白いロゴが目にも鮮やかなホテルの象徴とも言えるプール

 ロゴを手掛けたのはハワイ在住のレタリング・アーティストのマシュー・タピア氏。このホテルではタピア氏以外にも、客室内のアートやインテリア、壁紙といったデザインワークにおいて、ハワイ出身もしくはハワイに縁があるアーティストとコラボレーションしている。

 なお、プールサイドでは映画の上映やミュージックライブなどといったプログラムも開催。泳ぐだけでなく、さまざまなカルチャーに触れられる場となっている。

エントランスを抜けたらすぐプールに出る
プールは決して大きくはないが、コーヒーやカクテルでゆったりと過ごせるようになっている
シャカをモチーフにした壁紙やペットボトルを使ったライトなど、ハワイを愛するアーティストたちの作品はホテルのいたるところで見られる

大人数にも対応した客室も用意

 ザ・サーフジャック・ホテル&スイムクラブの客室のタイプは全4種類。それぞれの客室の内容および通常料金は以下のとおりだ。

1ルーム・バンガロー(客室数:52)

ベッドタイプ:クイーン1台またはキング1台またはダブル2台
面積:26.5m2
定員:1~2名 (最大4名)
通常料金:399ドル(※1)

1ベッドルーム・スイート(客室数:43)

ベッドタイプ:キングベッド1台、ソファベッド
面積:44.6m2
定員:1~2名(最大4名)
通常料金:499ドル(※1)

2ベッドルーム・スイート(客室数:15)

ベッドタイプ:キング2台+ソファベッド、またはクイーン1台+キング1台
面積:56.9m2
定員:1~4名(最大6名)
通常料金:599ドル(※1)

3ベッドルーム・スイート(客室数:1 ※2)

ベッドタイプ:キング1台+クイーン1台+ダブル2台、またはキング2台+クイーン1台
面積:84.9m2
定員:1~5名(最大8名)
通常料金:699ドル(※1)

※1:別途、アメニティフィーが25ドル必要。
※2:空室状況によっては1ルーム・バンガローと2ベッドルーム・スイートを合わせることで利用可能。

 バンガロータイプから3種類のスイートまで選べ、宿泊人数や予算による選択肢が多いのが特徴だが、注目は最大6名の「2ベッドルーム・スイート」や最大8名の「3ベッドルーム・スイート」のように多人数に対応した部屋が設けられていること。友達のグループはもちろん、親子孫の3世代でも1室を使って宿泊できるようになっている。

寝室が2つある「2ベッドルーム・スイート」や3つの「3ベッドルーム・スイート」を使うことで大人数でも1室に泊まることが可能

ナチュラルとモダンが融合した落ち着きのある客室

 今回、筆者が宿泊したのはリビングとベッドルーム1部屋が別々の「1ベッドルーム・スイート」。インテリアは植物のナチュラルな風合いとハワイ風のパターンを活かしたレトロモダンな仕上がりだ。ホテルそのものは1960年代サーファーのアクティブさを感じさせる作りなのに対し、客室内は落ち着きのある内装となっている。

「1ベッドルーム・スイート」のベッドルーム
スタンドのところにACコンセントとUSBポートが用意されている
ベッドルームの壁には鏡とテレビが設置されている
リビングのソファはソファベッドとして使うことも可能
ベランダ(ラナイ)はリビングから出られる
リビングのインテリアは木を活用しつつ、ハワイならではのモダンさを表現

 また、洗面所のインテリアは白いウッドパネルの壁と木の素材を活かした洗面台、とシックな印象。アメニティについてはシャンプー、コンディショナー、ボディウォッシュ、ボディローション、石鹸、といたってシンプルだ。

 バスルームは固定式と可動式の2種類のシャワーのみでバスタブはない。このホテルの水まわりはミニマムな構成なので、利用者によって好みが分かれるかもしれない。予約の際はそのあたりを留意したいところである。

洗面所からトイレ、シャワールームへとつながっている
洗面台の脇にトイレットがある
シャワーは2種類のヘッドが用意されている
洗面台。ドアにかけてあるトートバッグはアメニティフィー込みなので宿泊者は利用可能
アメニティ類。左からコンディショナー、シャンプー、ボディウォッシュ、ローション。手前が石鹸
洗面台下にはドライヤーが用意されている
クローゼットは2つ用意されている
奥の方のクローゼットは冷蔵庫や金庫、スナック類が置かれている
手前の方に衣類を入れられるスペースが設けられている

レストラン「マヒナ&サンズ」とショップ「オリーブ&オリバー」

 また、ザ・サーフジャック・ホテル&スイムクラブで話題になっているのが、館内のレストランとショップだ。レストランはホノルル出身のカリスマシェフ、エド・ケニー氏による「マヒナ&サンズ」。ケニー氏はハワイ産の食材を活用したオーガニックな料理で知られ、これまでカイムキのレストラン「TOWN」をはじめ3つのレストランが人気を博している。マヒナ&サンズでも地元産の魚介類を中心としたオリジナル料理を提供。

 店内はハワイの古いサーファースタイルを意識したインテリアになっており、テーブル席やカウンター席、アウトドア風なテーブルベンチ席などが設けられている。なお、ホテルに宿泊するとコーヒー1杯が無料になるサービスも用意。

ザ・サーフジャック・ホテル&スイムクラブ内のレストラン、「マヒナ&サンズ」
マヒナ&サンズのテーブル席
店の入り口付近にはカウンター席も。プールサイドに面していて、泳いだあとに一杯も

 そしてもう一つ、注目なのがエントランス脇のセレクトショップ「オリーブ&オリバー」。元々はカイルアで人気の女性向けの「オリーブ」と男性向けの「オリバー」の2店舗が、ホノルルに出店するにあたって1店舗になったもの。「オリーブ」ではビーチ向けのシックなファッションや小物、「オリバー」では大人サーファー向けファッション、とどちらもシーサイドをイメージした商品を販売している。

 さらに「オリーブ&オリバー」ではコーヒーショップも併設。シアトルのサードウェーブ系コーヒーの人気店「カフェ・ヴィータ」の豆を使ったコーヒーを提供している。

「オリーブ&オリバー」の店内。男性用と女性用両方のビーチウェアが置かれている
アパレル以外にもファッションアイテムや化粧品類も
お店の入り口にはカフェスタンドが設置されている

こだわりで固定ファンを増やすホテル

 ホノルルのホテルというとワイキキ・ビーチが見えるオーシャンビューを希望する人も多いかもしれない。しかし、このホテルはビーチから少し距離がある、クヒオ・アベニューのそば。オーシャンビューは無理だが、ホテルからワイキキ・ビーチまで800mという距離で、徒歩10分もあれば海に出られる。ホテルによると、実際にサーフボードを持って海まで行く利用客も少なくないそうだ。

 リニューアルオープンを経て独自のテイストを持つホテルに生まれ変わったザ・サーフジャック・ホテル&スイムクラブ。昔のハワイサーファースタイルをコンセプトにし、プールサイドでのカルチャープログラムの開催や、地元で人気のレストラン・ショップの出店、と同ホテルのこだわりぶりは、サーファーはもちろんオールドハワイにあこがれる女性にとって魅力的だ。

 ワイキキのホテルが飽和状態のなか、新規建設が難しい一方で、既存のホテルをリニューアルする動きが加速している。このホテルのようにコンセプトをはっきりと打ち出すことで、特定のファンの取り込みを図るホテルが増えていきそうだ。また、現在はまだ日本人の宿泊客は少ないそうだが、多人数向けの部屋がリーズナブルな料金設定で用意されていることから、今後、家族連れにとっても注目のホテルになるかもしれない。

丸子かおり

フリーライター/編集者。主にIT系の記事を執筆することが多いが、科学系の書籍や料理本を手がけることも。趣味はごはん・手芸・デジタルなどジャンルを問わない自作。著書は「AR<拡張現実>入門」(アスキー新書)、「放射線測定のウソ」(マイナビ新書)など。ブログはhttp://mrk-reco.com/