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JR西日本、阪和線向け新型電車「225系」を公開

より丸みを帯びたスタイルへ変更。客室内照明のLED化や車内Wi-Fiも

2016年3月14日 公開

 JR西日本(西日本旅客鉄道)は3月14日、近畿車両本社(大阪府東大阪市)において、阪和線向けとなる新型「225系」電車を公開した。同社は「JR西日本グループ中期経営計画2017」において4つの事業戦略を柱としており、近畿エリアでは「磨く」をテーマに各種施策を実行している。国鉄承継車両の更新を目指した車両新製もその一環で、阪和線以外にもJR京都線・神戸線(24両)、大阪環状線(323系、168両)への新型車導入が予定されている。

 225系(1次車)は2010年から生産された車両で、同社ではそれから約6年の間に北陸線向けの521系3次車、広島向けの227系と新車を投入。そこで培われた安全性や快適性の向上などが盛り込まれたのが、今回の新型225系(2次車)となる。

 外観での大きな違いは先頭形状が227系に準じたデザインとなったこと。ヘッドライト形状だけでなく、ルーフ形状を含めグレー部分のデザインがより丸みを帯びたスタイルとなるなど、1次車とは大きく印象が異なる。227系と比較した場合、編成間転落防止ホロの搭載、行先種別表示のカラーLED化といった部分は継承しているものの、運転台が若干高い位置に変更されていたり、貫通扉部分にもワイパーが付いていたりなど、細かく見ていくと若干異なっている。また、編成間での貫通扉利用も想定されていない。

 車内設備では客室内照明がLED化されたほか、車内Wi-Fi、アシストレバー付貫通扉の採用などが主なトピック。特に「目から鱗」的な印象を受けたのが、アシストレバー付貫通扉だ。号車間に設けられている貫通扉は火災時の安全性などのために重くなっているが、テコの原理を使ったアシストレバーの採用により、軽い力で開けられるようになっている。扉自体はこれまでと変わらないため、レバー部分だけの換装で従来車でも同じ仕様にすることが可能だという。

 車両機器面では二重化により耐障害性が高められているほか、車両異常挙動検知装置、ドア誤扱い防止装置、戸挟み検知防止装置などを採用。安全性が高められている。

 この225系2次車は「窓が大きく、足元も広々、明るく広い車両」という1次車の特徴はそのままに、安全性や快適性がより高められている印象だ。同車はこの3月から本線上での試運転を開始し、2017年度末までに4両編成および6両編成の合計122両が投入される予定となっている。主な走行線区は阪和線のほか、大阪環状線や関西空港線となる。

クモハ225-5101。取材時はこちらが8号車
先頭部
種別表示がフルカラーLEDになった
編成間転落防止ホロ
連結器
ドア誤扱い防止装置のセンサー。車両がホームを外れて停車した際のドア誤扱いを防ぐ
種別と行先表示が1カ所にまとめられ、フルカラーLED化。ちなみに片方は1/500秒でシャッターを切っているが文字欠けしていない
台車
ステップ部分の形状も変更されている
中間車。モハ224-5101
トイレ部分
車番表示。ステッカーではなく浅いへこみに墨入れされている
車内撮影は2号車と1号車のみ。2号車の後方側車端
貫通扉のアシストレバー
レバーを引くと白い突起が飛び出て開放をサポートする仕組み
清掃時を考慮してホロの穴数が増えている
Wi-Fiのアンテナは車端部の見えない位置に設置される
車端部のディスプレイ
座席は2+1の転換クロスシート
2名がけ座席。ドア側は向きを変えることはできない
シート間隔はたっぷり
1名がけ座席
ドア周辺
シートバックに避難時用のはしごなどが収められている
開けることができる窓も
1号車。運転台側
運転台
中央と右側の窓にもワイパーを装備
1号車後方から
ドア部分
ドア開閉ボタン
2号車側の車端にはトイレを装備
ドアは自動
トイレ内部
非常ボタンには通話用のマイクも
津波時の避難マニュアル
優先席付近に貼られたステッカーのイラストがスマホに。この3月1日から順次変更され散るという
ADスペース上部に間接照明用LEDが仕込まれている
メイン照明は直管型LED
つり革の高さは2パターン

(安田 剛)