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京都の海をアピールする「海の京都博 ~さあ、地と遊の冒険へ」開幕
11月15日まで、京都北部5市2町が力を結集
(2015/7/23 00:00)
- 期間:7月18日~11月15日
- 場所:福知山市、舞鶴市、綾部市、宮津市、京丹後市、伊根町、与謝野町
7月18日から11月15日までの121日間、京都北部5市2町(福知山市、舞鶴市、綾部市、宮津市、京丹後市、伊根町、与謝野町)が力を結集し、歴史、文化、海の魅力、街の魅力、そして農林水産物など自然の恵みを旅の楽しみとして全国に発信するイベント「海の京都博 ~さあ、地と遊の冒険へ」が開催される。
期間中は各市町において地域の魅力を余すことなく発信する「コアイベント」を実施するほか、地域の独自性を体験できる特別な滞在プラン「コンセプトツアー」が提供される。
開催初日となる7月18日、宮津会館(京都府宮津市)において開会式典が行なわれた。当日は台風の余波により同日開通の京都縦貫自動車道では開会式典がキャンセルとなったが、こちらは京都府知事 山田啓二氏の強い意志により実施が実現した。
開会式は京都府立宮津高校吹奏楽部による演奏で開幕。まず、海の京都博 実行委員会 実行委員長を兼任する京都府知事山田啓二氏が登壇。京都府北部は過疎高齢化が進み、交通アクセスもわるいことから非常に厳しい立場に置かれていると前置き。ただ「この地域自身は素晴らしい資産を持っている、資源を持っている。多くの歴史のある丹後大国の歴史から、丹後月姫、さらにはこれはこの宮津・舞鶴といえば細川幽斎でありますし、綾部といえば足利尊氏、福知山城を作ったのは明智光秀、中世の歴史に彩られて、さらには近世に入ってもまさに地域創生のある面でいきますと、お手本のようなグンゼがある。そして丹後ちりめんが多くの賑わいを創出し、さらには近代に入ってくれば今年いよいよ記憶遺産(ユネスコ)になろうとしている舞鶴引揚記念館の資料がある。本当に沢山の素晴らしい歴史に彩られて、農林水産の資源も丹後コシヒカリや伊根ブリや、そして岩牡蠣から(丹後)とり貝まで。丹後コシヒカリは西日本最高のお米であります。これだけのものが揃っている。さらに天橋立や夕日が浦や伊根の舟屋やちりめん街道や福知山城やグンゼスクエアや赤レンガや、そして多くの素晴らしい観光の資源にも恵まれている」と、潜在的に高いポテンシャルを秘めていることを強調した。
京都縦貫自動車道の全通に合わせて2年間かけ地域を整備し、計画を練ってきたとし、「5市2町が力を合わせて頑張る姿を多くの人に見ていただきたい、多くの人にこの地域の素晴らしさを見ていただきたい。というのが、今日から始まる海の京都博だ」とその意義を示した。
次いで登壇した衆議院議員 谷垣禎一氏は「海の京都博、京都北部の素晴らしいものに光を当てようという、そういう博覧会でございます。観光という言葉の語源は易の書に出ております。国の光を見る、その土地でもっとも素晴らしいものを見る。こういうことに観光という言葉の語源がある。地方創世で私共の地域をどうしていったらいいか、私共の地域に足りないものは、一所懸命補ってほかの地域に負けないようにしなければいけない。しかし、それだけでは地方創世は成り立たないと思います。私達の地域が蓄積してきた私達の地域のその力で地域を伸ばしていく」ことが重要だと述べた。
国土交通省 観光庁長官 久保成人氏は「この地域、まさにしく見るに値する文物、あるいは景観があふれている地域だと私ども認識しております。この海の京都博については大変な関心を持ち、また応援をしていきたいと思っている次第であります。京都市北部7市町は海の京都という統一テーマで従前からいろんな観光地域作りについて熱心にお取り組みいただいておりました。今回、この地域の魅力を海の京都博という形で関西、近畿のみならず全国各地に発信されるということは意義深く重要なことだと私共認識しております」と後押しを約束。また観光庁で取りまとめた「観光立国実現に向けたアクションプログラム2015」において、「広域観光周遊ルート」として天橋立を含む関西近畿地域のルートを大臣認定したことを挙げ、今後5年間、各種事業に対して集中的に政府あるいは観光庁として支援をしていくとした。
京都府議会 議長 植田喜裕氏は「京都府北部地域は長きにわたり継承されてきた豊かな歴史伝統文化を有するとともに、日本三景の天橋立や山陰海岸ジオパークなど優れた歴史的文化遺産と貴重な自然環境に恵まれた全国有数の景勝の地であります。海の京都博ではこうした京都府北部地域の7市町が会場となり、その魅力を全国に発信するため期間を通じて、それぞれの地域において特色を生かした魅力あふれるイベントが開催されます。海の京都博にお越しいただいた皆様には丹後王国食の都を中心とした食文化、綾部のグンゼ博物園記念館、さらには舞鶴の赤レンガ倉庫群といった近代化産業遺産を巡る観光など、京都府北部地域の魅力を存分に体感していただけるものと確信しております」と京都府北部の魅力をアピールした。
くす玉開披の後、開催市町長が壇上に立ち、それぞれに挨拶を行なった。
最初に登壇した福知山市長 松山正治氏は「福知山市は“城”と“スイーツ”、これで何としても売っていきたい。海に行かれまして帰り道は右にハンドルを切っていただきましたら、必ず(舞鶴)大江を通って福知山市内に入っていきます。福知山市には60数件のスイーツのお店がございます。お城の下には喫茶、スイーツをいただける店もございますので、ぜひぜひ福知山に来ていただきたいと思います」と同市の魅力をアピールした。
舞鶴市長 多々見良三氏は景勝地として五老岳からの舞鶴湾の眺めを挙げたほか、歴史面でも細川幽斎公による城下町や海軍鎮守府の赤レンガ倉庫群など、見どころをアピール。「食におきましても四季折々に様々な魚が獲れるのがこの地域の特徴です。野菜におきましても“万願寺甘とう”“佐波賀だいこん”“舞鶴茶”、本当に食も豊かであります。一度では絶対に味わえないと思っております、何度でも来ていただきたい。そのたびに私達は暖かくおもてなしをいたしますので、なにとぞよろしくお願いいたします」と締めくくった。
綾部市長 山崎善也氏は、繊維業のモノづくりで発展してきた町「蚕都 綾部」を強調。その代表格としてグンゼを挙げ、1年前からこの日に向けて「一角をお借りして“グンゼスクエア”として観光施設として準備してきた」と説明。歴史的な記念館、市民の手による綾部バラ園、綾部の美味しい特産品、名産品を販売する綾部特産館の3つを観光ポイントとして用意しているとした。
日本三景の一つ、天橋立を擁する宮津市長 井上正嗣氏は、遊覧船の増便など天橋立の美しさや素晴らしさを存分に楽しんでいただけるようにしたと説明。また、コンセプトツアーでは「西国28番の成相寺、そして元伊勢神宮の籠神社(このじんじゃ)、真名井神社(まないじんじゃ)と、古からの聖地を巡る旅を用意しました」とアピール。砂浜や町並みのライトアップも行なう予定で「日本の顔となるようなブランド観光地を目指していきたい」とした。
京丹後市長 中山泰氏は、同市が山陰海岸の一番東の端に位置し、海岸線を含めて全市的に世界のジオパークに認定されている歴史と景観の町だと説明。丹後松島と称されるリアス式の海岸線や日本一の鳴き砂の浜である琴引浜、夕日が浦、久美浜湾などを挙げ、「本当に数々の神話と共に神の箱庭の魅力がいっぱいの町であります。10月末まで周遊のバスや船を出しますのでぜひ来ていただきたい。4月には西日本最大級の道の駅“食の都 丹後王国”もオープンをしてグルメの用意もしております。京丹後の住民の皆さんの笑顔にぜひ合いに来ていただきたいなと思います」と話した。
伊根町長 吉本秀樹氏は、同町のウリは「伊根の舟屋」であるとした上で「まさに陸と海のその境目に建ち並ぶ舟屋群の姿であります。この舟屋、地元の漁師たちが長年にわたりまして醸し出した普段の生業、生活の中から作り上げてきた景観であります。フランスのモンサンミッシェル、イタリアのベニス、足して2で割ればそこは伊根の舟屋でございます。一度で2度も3度も美味しい、伊根の舟屋、そこでウォーターフロントカフェをやっております。青い海、青い空、そして潮騒が皆さんの心を必ずや癒してくれると思います」と伊根をアピールした。
与謝野町長 山添藤真氏は、国の重要伝統的建造物群保存地区にも指定されている「ちりめん街道」をプッシュ。「当町は織物の産業の振興と共に発展してきた町でございます。ちりめん街道においても多くの先人たちが、自分たちの手で電気を起こし、鉄道を作ってきた非常にまれな地域でございます。すなわち、多くの住民が主体的に街づくりを進めてきた粋の町でもあると思っています。粋にも触れていただきながら与謝野町の魅力を存分に楽しんでいただきたいと思います」とした。
海の京都博開催地を少しだけ紹介
今回は取材の合間に「ひとり弾丸ツアー」を決行してきた。時間的にホントに「見ただけ」になってしまった場所もあるけれど、魅力的なスポットばかりだ。もし行ってみようと思われたならサービスエリアや道の駅、観光協会などで配布されている「海の京都博ガイドブック」、特典クーポンが付いた「海の京都クーポン冊子」などを手に入れ、たっぷりと時間を確保したうえでゆっくり回っていただきたい。
舞鶴市 赤れんがパーク
重要文化財に指定されている8棟の赤レンガ倉庫群。倉庫内はカフェやショップ、工房などとして利用されている。時間があれば「海軍ゆかりの港めぐり遊覧船」に乗ったり、「赤レンガ博物館」を見たりするのもおすすめ。8月9日までの土日祝日には「舟屋」のある伊根までの遊覧船も運航されている。駐車場も用意されているのでクルマでも安心だ。
伊根町 舟屋
伊根浦には1階が船のガレージ、2階が住居となっている舟屋が約230軒が立ち並ぶ。独特の風景は必見。8月9日までは防波堤の上で軽食が楽しめるウォーターフロントカフェも実施されている。駐車場は伊根浦公園などに用意されているが台数は少な目。