ニュース

ANA、Webサイトでアート作品を体感する仮想美術館を公開

訪日観光客に日本のアートをアピール。草間彌生氏らの作品を高精細で楽しめる

2016年2月29日公開

海外に日本の魅力を伝えるために、Webサイトは英語と中国語に対応している
訪問者は実際に美術館を巡るように移動して、作品の前で立ち止まり、作品を細かな部分まで鑑賞できる

 ANA(全日本空輸)は、訪日観光客向けWebサイト「IS JAPAN COOL?」において、バーチャル美術館プロジェクト「IJC MUSEUM」を公開した。

 IS JAPAN COOL?は、海外から日本への旅行需要喚起を目的に2012年から公開されているWebサイトで、これまでに「DISCOVER」「TOKYO」「OKINAWA」「COSPLAY」「TRADITIONS(京都)」「KAWAII」「DREAMS(アニメ文化)」「RAMEN」「SHOPPING」「WASHOKU」と、日本を象徴する10のテーマで情報を発信してきた。そして次なる日本の魅力として選んだテーマが「ART(アート)」だ。

 2015年の訪日外国人観光客は1973万人を突破、2016年はかなり早い時期に2000万人を突破すると見られているが、観光庁の調査によると、外国人観光客が訪日前に期待していることとして「博物館・美術館」と回答した人は12.7%だった。回答全体での順位は12位で、訪日外国人が日本のアートにそれほど高い期待を持っているわけではない。しかし、観光後の満足度調査では82.9%と、日本食の87%、温泉の86.5%などと遜色なく、高い満足度を提供していることが分かった。

 そこで日本のアートの魅力を発信して「アート・トリップ」を訴求するために、IJC MUSEUMを立ち上げることになった。

観光庁 訪日外国人の消費動向(2015年10~12月期)
訪日観光客への調査によると、「訪日前に期待していたこと」において「美術館・博物館」は12.7%で12位とそれほど高くない
「今回したことの満足度」では「美術館・博物館」は82.9%と、ほかの観光目的と比べても遜色のない満足度を提供している
アート作品はあらゆる角度から鑑賞でき、好みのアングルでカメラマークをクリックすれば、撮影した画像をFacebook、Twitter、Instagramなどで共有できる

 IJC MUSEUMは仮想空間上の美術館でありながら、建物やアート作品を実感できる工夫が随所に凝らされている。一級建築士である高塚章夫氏を設計監修に迎え、構造や質感にこだわり、美術館としてのリアリティを追求。日本の現代アートを代表する草間彌生氏、天明屋尚氏、名和晃平氏など7人のアーティストの作品を、高精度の3Dスキャナーを使ってスキャンし、Webサイト上に再現している。

 IJC MUSEUMを訪れた人は、360度自由な視点で実際に歩いているように美術館内を巡り、精密に再現されたアート作品のディテールまで鑑賞できる。

日本の現代アートを代表する草間彌生氏、天明屋尚氏、 Nerhol氏、束芋氏、小畑多丘氏、名和晃平氏、池田学氏の作品を鑑賞できる。現代アートでよく見られる、空間そのものを作品としたインスタレーションの再現や、現存しない作品のアーカイブなどはバーチャル美術館ならではだ
「ART TRIP」という部屋では美術館など日本各地のアートスポット30カ所の情報を確認できる

(編集部:稲葉隆司)