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スター・ウォーズの世界が空へ、「R2-D2 ANA JET」遊覧フライトレポート

到着後には機体見学も

2015年10月17日実施

 ANA(全日本空輸)は10月17日、スター・ウォーズ特別塗装機「R2-D2 ANA JET」による遊覧フライトを実施した。フライトの概要や出発前の模様は別記事でお伝えしているとおりだが、本稿では、スター・ウォーズのキャラクターになりきった人達も多く乗り込んだユニークな特別フライトへの搭乗ゲートや機内の模様をお伝えする。

 出発ゲートは羽田空港国内線第2旅客ターミナル703番を使用。ここはバスを利用して搭乗するためのゲートだ。遊覧フライトであることから、羽田空港では珍しい「東京行き」のサインが出された。

 搭乗時刻が近付くと、スター・ウォーズのコスチュームを身にまとった集団が、エスカレータを降りて続々と搭乗口に集合。同じ作品を愛する人達ということもあってか打ち解けるのも早いようで、記念撮影会のような状態に。随所でさまざまなコラボが実現していた。

 ちなみに、安全運航が第一の旅客機だけに、当然、ルールに則って全員が保安検査を受けている。ただ、「メガビークル AT-AT」になりきっていた2名は「ご厚意でこのまま通してもらいました」と笑顔で話していたように、柔軟な対応もあったようだ。

 もちろん許容されないこともある。多くの人が所持していた「ライトセーバー」は特に慎重に扱われていた。通常、60cmを超える長さのものは保安検査を受ける際に指摘され、航空会社に預け入れることになる。だが今回は、搭乗前に行なわれた記念撮影の時までは所持が許され、搭乗する直前に地上のスタッフに預けるという対応がとられた。また、メガビークル AT-ATや、デス・スターの被り物といった“大物”も、記念撮影後に、地上で預けて搭乗していた。このあたりからは、ギリギリの対応によって、安全運航と楽しいイベントを両立させようという関係者の努力が感じられる。

703番搭乗口のサインは、羽田空港発の便にも関わらず「東京」行き
スター・ウォーズのキャラクターが続々とエスカレータを降りてくる
搭乗口前も撮影会場に。C-3POを神と崇めるイウォークや、デス・スターを挟んでダース・ベイダーと反乱軍のパイロット&C-3POが並ぶといったコラボも実現
出発の1時間30分ほど前と、通常の国内線よりもかなり早く搭乗がスタート。反乱軍のパイロットも、メガビークル AT-ATも、ダースベイダーも、搭乗券をかざして通過
セレモニーや搭乗については別記事でも紹介しているので、ここでは簡単に。見送りのCA(客室乗務員)と記念撮影をするストーム・トルーパーなど、参加者は楽しそうに搭乗していった
預けられたライトセーバーやメガビークル AT-AT
搭乗証明書には日付はもちろん「史上初の乗客」を歓迎するメッセージ入り
入り口ではヨーダの人形を持ったCAがお出迎え
窓越しに撮影に応えてくれたキャプテン。サービスのよいキャプテンだな、とは思っていたのだが……(次項へ続く)

スター・ウォーズ色に染まった機内

 機内では、出発までの間に、機内の照明を暗くしおなじみのテーマミュージックをバックに、スター・ウォーズの世界を表現したライティングの演出が行なわれた。ボーイング 787型機では電気的なシェードを用いており、この際には自動的に窓も閉じられた状態になった。飛行機の機能をうまく使った演出だ。

 その後、13時27分にスポットアウトし、誘導路の混雑もあって約30分後ほどを要したものの、D(05)滑走路から離陸。遊覧フライトがスタートした。

 機内もスター・ウォーズで染められており、既報のとおり座席のヘッドレストカバーやコップ、ナフキンなどをR2-D2デザインに統一。機内アナウンスが流れる前にはR2-D2の声(機械音)が流れる演出もある。

 さらに遊覧フライトの機内アナウンスは、CA(客室乗務員)が「幸運にも搭乗できた皆様は、よいフォースに恵まれています」と話せば、キャプテンは「ハン・ソロに代わって操縦を担当する機長の町田です」「なお、安全上の配慮からハイパードライブは用いないことになっています」「(ボーイング 787-9型機は)全長62.8m、幅60.1m、ミレニアム・ファルコンの約2倍の大きさです」「今日はごゆっくりと空の旅をお楽しみください。それではフォースとともにあらんことを」と、随所にスター・ウォーズに関連した“ネタ”を挟む、サービス満点の挨拶だ。

 この町田キャプテン。聞けばスター・ウォーズの大ファンだそうで、遊覧フライトの乗務に向けて6作品すべてを視聴してきたとか。機内の挨拶は、その意気込みの表われなのだろう。挨拶後の機内では参加者から拍手が起こっていた。

機内のシートにはお土産が入った紙袋
中身は同機で使われるR2-D2デザインのコップやナフキン。さらに10月17日の日付入りクッキーやスター・ウォーズ新聞も入っていた
出発前にスター・ウォーズのテーマとともに特別なライトアップ
滑走路がやや混んでいたためスポットアウトから30分ほど要したものの無事に離陸

 遊覧フライトは、羽田空港から伊豆半島を横切り、静岡県浜松市、名古屋近辺、琵琶湖上空と進み、京都府宮津市付近で折り返し。やや南に進路を向け、大津市、津市付近、静岡県沖を進んで、大島付近から羽田空港へアプローチするルートを進んだ。

 西日本を巡ってくる遊覧フライトではあるものの、機内はスター・ウォーズのコスチュームを身にまとった人達を中心に大変な盛り上がりで、機外の風景はどこへやらの雰囲気。報道陣による撮影やインタビューはもちろん、コスチュームをまとった人同士での記念撮影も活発で、賑やかと言ってよいのか、カオスと言ってよいのか、とにかく飛行機のなかとは思えないような、不思議で、そして楽しさにあふれた時間が流れていた。

機内で配るキャンディはストーム・トルーパーが持っていた
搭乗時に出迎えくれたヨーダもシートベルトをしてくつろいでいた
「スター・ウォーズ まるわかりスペシャル」という機内コンテンツも
ちょうど折り返しとなる宮津市上空付近からの眺め
復路で駿河湾へ抜けるあたり
雲が立ちこめていたが、富士山が顔を出していた
今回の飛行ルート。水平飛行時は高度1万7000フィートを航行していた
A(34L)滑走路へ向けてアプローチ。アクアライン、海ほたるが見える
着陸直前。整備場前のスポットでは、同機の到着を待つ人やタラップ車が待機

 約2時間のフライトを終えて、再び整備場前のスポットに戻ったR2-D2 ANA JET。このイベントは、ここで終わらなかった。参加者が機体のまわりを見学することができたのだ。当然ここでも撮影タイム。CAやパイロットらも記念撮影に応じており、参加者はたくさんの思い出を持ち帰ることができたのではないだろうか。

 さまざまな面で、空の上でスター・ウォーズというエンターテイメントの世界が繰り広げられたと言える、このイベント。こういったイベントはそうそうあるものではないが、特別な機内装飾やライティングが行なわれるR2-D2 ANA JETは、18日から定期路線に就航する。同機が国内線にも一部投入されるほか、2015年末から2016年にかけて、3機のスター・ウォーズ特別塗装機が登場することが発表されているほか、ANAのSTARWARSプロジェクトは2020年3月まで5年にわたって行なわれる予定となっており、ぜひチャンスを見つけて、この世界を楽しんでほしい。

スター・ウォーズのキャラクターたちがタラップを降りてくる
降機後は機体を外から見学する時間が取られ、参加者は記念撮影や機体を間近で見学するなど思い思いの時間を過ごしていた
ここでもサービスする町田キャプテン
遊覧フライトの乗務員。記念撮影にも応じていた

(編集部:多和田新也)