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10万トン超の大型客船「マリナー・オブ・ザ・シーズ」が横浜に初寄港

ベイブリッジをくぐれず大黒ふ頭に停泊

2015年3月25日 横浜入港

 米Royal Caribbean International(RCI、ロイヤル・カリビアン)が運航し、現在アジア地域に配船されてクルーズツアーを提供している大型客船「マリナー・オブ・ザ・シーズ」が、3月25日6時に横浜港へ入港した。同船の横浜寄港は初。船内では横浜市港湾局による歓迎セレモニーおよび、報道関係者向けの見学会が実施された。本稿では、セレモニーの内容と船の外観を紹介する。

 マリナー・オブ・ザ・シーズは、2012年以降、アジアに配船されて毎年日本にも寄港している「ボイジャー・オブ・ザ・シーズ」と同じ、ボイジャー級クルーズ船の5番船で、2003年に就航。ボイジャー・オブ・ザ・シーズとともにアジア地域に配船され、2013年から日本にも寄港している。国内では、ミキ・ツーリストが総代理店としてツアーの販売を行なっている。

 総トン数は13万8279トン、全長310m、全幅48m。巡航速度は22ノット。なお、横浜港初寄港となるマリナー・オブ・ザ・シーズだが、マスト高が横浜ベイブリッジの桁下高制限を超えるためにくぐることができず、横浜港の客船ターミナルである大さん橋(大桟橋)へ着岸できない。そのため、大黒ふ頭のT-1、T-2バースへ着岸した。

 同船は22日に上海を出港し、25日6時に横浜港へ入港。その後の予定は、25日18時に横浜港を出港し、26日17時に神戸港に入港。27日16時に神戸港を出港し、28日11時に別府港へ入港。同日17時に出港し、30日の朝9時に上海へ到着するスケジュールとなっている。

大黒ふ頭のT1、T2バースに停泊するマリナー・オブ・ザ・シーズ

 乗客は3407名で、国籍の内訳は、中国が2976名で最多。以下、フィリピンが127名、アメリカが42名、香港が37名と続く。日本人は8名が乗船している。ちなみに、同船の乗客定員は3114人。この乗客定員は1部屋を2名で使った場合の定員で、実際には3名以上で使える部屋があるため、最大乗客可能数は3800名以上になるという。客室は下記の通り。“+”に続く数字はバルコニーの面積だ。

スイート客室
ロイヤルスイート124.1m2+24.7m2
オーナーズスイート57.0m2+14.5m2
ファミリースイート53.3m2+21.5m2
グランドスイート37.2m2+9.6m2
ジュニアスイート27.5m2+6.9m2
バルコニー客室
スーペリアバルコニー18.4m2+6.0m2
デラックスバルコニー17.0m2+4.7m2
海側客室
ファミリー海側27.2m2
ラージ海側16.2m2
スタンダード海側14.9m2
内側客室
プロムナード14.9m2
スタンダード内側14.0m2

大型客船対応設備の整備に意欲を示す横浜市と、日本市場を重要視するRCI

横浜市港湾局長の伊東慎介氏

 25日に行なわれた初入港歓迎セレモニーでは、横浜市港湾局長の伊東慎介氏が挨拶にたち、まずは「マリナー・オブ・ザ・シーズの初入港を心から歓迎する。過去最大の規模となる乗客乗員合わせて4000人を超える皆さまを一度に受け入れるという、まさに歴史的な日に立ち会うことは大変光栄」と謝意を示した。

 一方、「本来であれば美しい景色と機能性に優れた設備を兼ね備える大さん橋で迎えたかったが、マリナー・オブ・ザ・シーズの巨大さゆえにベイブリッジをくぐれず、大黒ふ頭に着岸いただいた。ご不便をおかけしないよう、我々の経験豊かなスタッフが全力でサポートする」とした上で、「大黒ふ頭でお迎えするのは2013年5月のボイジャー・オブ・ザ・シーズ以来約2年ぶりだが、今年はマリナー・オブ・ザ・シーズに続き、ボイジャー・オブ・ザ・シーズ、クァンタム・オブ・ザ・シーズと続々と横浜に寄港する。大黒ふ頭のベイブリッジ側の岸壁を改修し、超大型客船の受け入れ機能の充実を図っていく。CIQ(税関、出入国管理、検疫)のための上屋の改修、駐車場や公園の整備を行ない2018年にはオープンしたいと思っている」と港湾設備の不備と拡充計画についてコメント。

 横浜市についても、「今回は乗船客の皆さまがツアーで東京や富士山観光を楽しんでいると聞いているが、横浜にも日本最大の中華街やランドマークタワー、美しい日本庭園である三渓園など見所がたくさんある。市街地までの無料シャトルバスや交通案内も用意しているので、ぜひキャプテンやクルーの皆さまにも横浜の街を楽しんでいただければと思う」とアピールした。

 この後、寄港地と船それぞれの記念の盾の授受や、横浜観光親善大使の岩田樹里さんによる花束贈呈を実施。

マリナー・オブ・ザ・シーズ船長 インバー・クヌッセン氏

 答辞として、キャプテンのインバー・クヌッセン船長は「日本はきちんと組織だって物事が進められることに感激している」と挨拶。

 「RCIは世界で一番大きな客船を運航する会社だ。船を作ることやクルーズ市場についても極東は重要になっている。前港は上海だったが、中国の乗船客にとっては日本が最大の目的地。今日は船の中に乗客がだれもいない。みんな出かけている。どれだけ楽しみにしていたかが分かるし、これによる横浜市への経済効果は計り知れないと思う」と日本市場の重要性に言及。

 最後に「(横浜市港湾局による)クルーへのサービスもありがたい。クルーが幸せなら乗客も幸せ、乗客が幸せならビジネスもうまくいく構図になっている」とコメントした。

マリナー・オブ・ザ・シーズ側の出席者は右から、船長のインバー・クヌッセン氏、副船長のヨアン・ヒル氏、ホテルディレクターのゴードン・シェンク氏
横浜市側からは、港湾局長の伊東慎介氏(左)と、横浜観光親善大使の岩田樹里さん(右)
盾の授受が行なわれた
横浜市側から贈られた盾
マリナー・オブ・ザ・シーズ側から贈られた盾
観光親善大使の岩田さんによる花束贈呈

マリナー・オブ・ザ・シーズの外観を写真で紹介

前方からの様子
上部の横に飛び出している部分が操舵室
船体横には船名が書かれている
レーダーを備えるフロントマスト
喫水線
アンカー(錨)
前部のもやい
救命ボート。番号は右舷(スターボードサイド)側に奇数番が割り振られていた
側面からの様子
上部に見えるゴルフボールのような衛星アンテナ
後方側面にRoyal Caribbean Internationalのロゴ
後方部のもやい
後方からの様子
船尾に船名と母港の名前。ナッソーはバハマの港
船尾にバハマの商船旗が掲げられている
曲線や円を使った窓のデザイン
乗客の入り口
乗客の出口。入り口と出口は分離され、入り口ではX線による荷物検査が行なわれる
乗客のためのシャトルバスや日本観光ツアーも実施
停泊中に窓の掃除を行なっていた
操舵室の後ろ側
船に戻る乗客たち

編集部:多和田新也