ニュース

JAL、国内線/国際線とも堅調で2017年度第1四半期は予想を上回る増収増益。通期連結と株主配当予想を上方修正

「機内Wi-Fiサービス無料化も業績に大きく寄与」との考え示す

2017年7月31日 発表

JAL、国内線/国際線とも堅調で2017年度第1四半期は予想を上回る増収増益。通期連結と株主配当予想を上方修正 会見を行なった、日本航空株式会社 取締役専務執行役員 財務・経理本部長 斉藤典和氏(左)と、同 執行役員 総務本部長 日岡裕之氏
会見を行なった、日本航空株式会社 取締役専務執行役員 財務・経理本部長 斉藤典和氏(左)と、同 執行役員 総務本部長 日岡裕之氏

 JAL(日本航空)は7月31日、2017年度(2018年3月期)第1四半期の連結業績を発表した。第1四半期のグループ連結売上高は前年同期比5.9%増となる3148億円、営業利益は同12%増の247億円、経常利益は同24.6%増の245億円の増収増益となった。

 一方で、営業費用は同5.4%増の2900億円となっているが、これについてJAL 取締役専務執行役員 財務・経理本部長の斉藤典和氏は、「エンジン整備が増加したことに伴う整備費用、旅客の基幹システム刷新に伴う一時的な人員増による人件費増」を要因として列挙。基幹システム刷新は11月16日に導入することは発表されているとおりで、「11月の円滑な運用開始のため、教育のために前倒しして人員採用なども行なっている」ことが人件費増につながっているとしている。これらの結果、利益率は同0.4pt増の7.9%とやや改善した結果となった。

 燃油市況は前年同期比で22.7%増の1バレル62.2ドル、円/米ドル為替はほぼ前年並みとなる0.6%円安の111円となった。

JAL、国内線/国際線とも堅調で2017年度第1四半期は予想を上回る増収増益。通期連結と株主配当予想を上方修正 日本航空株式会社 取締専務執行役員 財務・経理本部長 斉藤典和氏
日本航空株式会社 取締専務執行役員 財務・経理本部長 斉藤典和氏
JAL、国内線/国際線とも堅調で2017年度第1四半期は予想を上回る増収増益。通期連結と株主配当予想を上方修正 日本航空株式会社 執行役員 総務本部長 日岡裕之氏
日本航空株式会社 執行役員 総務本部長 日岡裕之氏

 国際旅客収入面では、旅客数が前年同期比で0.7%減少したが、日本発の業務需要や海外発需要が堅調に推移。ASK(有効座席キロ)が同0.8%減少する一方、RPK(有償旅客キロ)が同1.6%向上し、有償座席利用率は同1.9pt上昇して80.2%。単価はレベニューマネージメントの強化やJAL SKY SUITEの導入で同6.8%上昇。旅客収入は、燃油サーチャージ収入の増加や円安影響を含め同6.1%増となる1055億円となった。

 斉藤氏は国際線旅客事業について、特に想定以上の単価増に触れ、「日本発の業務需要が想定以上に堅調に推移。路線では北米と欧州が堅調で利用率が高い水準。単価は3%程度上振れした」と説明した。

 国内旅客収入については、旅客数は有償旅客数が前年同期比8.1%増加。旅客数は計画よりも4%上振れし、特に個人旅客は想定よりも5%程度の上振れになったという。ASKは同0.9%増、RPKが同8.2%増、有償座席利用率は同4.6pt上昇し68.3%。単価は価格競争や前売り系割引運賃の利用増により8.1%下落したが、需要が堅調であったことや、機内Wi-Fi無料化の効果もあり、旅客収入は同6.1%増の1161億円となった。

 また2月に導入した機内Wi-Fiサービス無料化についても、「Wi-Fiがあることが当社選択の大きな要因になっていることも検証できているし、2月以降はロードファクター(搭乗率)が顕著に改善していることも確認している」とし、増収効果は試算していた以上の結果になっていることを紹介し、増収に大きく寄与しているとの考えを示した。

 この増収増益の結果、連結業績は当初の業績予想に比べ、2017年度第1四半期は営業利益ベースで約110億円の上振れとなった。国際線旅客の単価上昇、国内線や貨物の需要増加により計画よりも収入が合計で約90億円上回り、費用面では燃油の減少で20億円下回った。

 この実績を受けたことに加え、7月以降も計画を達成できる見込みであることから、2017年度の通期連結業績の見直しを実施(カッコ内は4月28日発表時点の連結業績予想)。営業収益は1兆3480億円(1兆3390億円)、営業費用は1兆1950億円(1兆1970億円)、営業利益は1530億円(1420億円)、経常利益は1460億円(1370億円)、当期純利益は1080億円(1000億円)へと上方修正。配当予想も、中間配当、期末配当ともに各45円から各48円へ引き上げ、合計で1株あたり配当金額を90円から96円へと上方修正した。配当金総額は339億円を予定している。

 この連結業績予想については第1四半期の結果をそのまま反映した内容となっているが、7月以降の上振れ予想については、「第1四半期は元々利用率の水準が低い期間で上振れする余地があるが、第2四半期はかき入れ時で元々利用率が高い水準なので、上振れ余地はそれほど大きくはないと思うが、ネガティブな要因は認識しておらず、当初計画は達成できるものと考えている」とコメントした。

 このほか、9月1日に就航する成田~メルボルン(オーストラリア)線については「日本、オーストラリア双方向の業務需要、高単価の観光客を見込んでいたが、そのとおりになっている」としたほか、9月15日就航の成田~コナ線についても「滑り出しは順調」と堅調であるとした。