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JAL、挑戦と成長をテーマに掲げて第68期定時株主総会を開催

2017年~2020年の中期経営計画に理解を求める

2017年6月22日 開催

日本航空株式会社の第68期定時株主総会が行なわれた

 JAL(日本航空)は6月22日、第68期定時株主総会を舞浜アンフィシアター(千葉県浦安市)で開催した。同社代表取締役社長 植木義晴氏が議長を務め、株主の出席者は657名(12時閉会時点)、議決権を行使した株主数は4万3277名。

 総会では、株主に対して改めて2016年度までの事業報告が行なわれるとともに、4月に発表した2017年~2020年の中期経営計画を説明した。その詳細はどちらもすでに本誌でお伝えしているが、事業報告では、2010年の経営破綻、2012年の再上場を経て、2012年~2016年の中期経営計画で掲げた目標のうち、「5年連続で営業利益率を10%以上」「自己資本比率を50%以上」が無事達成できたことが述べられた。

議長は日本航空株式会社 代表取締役社長 植木義晴氏

 総会に上程された議題は4つで、株主への配当を1株につき94円とする(第1号議案)、余剰金の中間配当を行なえるようにする定款の一部変更(第2号議案)、取締役10人の選任(第3号議案)、取締役の報酬額改定(第4号議案)。

 質疑応答は総会終了時刻の12時までに12名が指名され、ほぼ全員が2問ずつ質問した。

 最も目立ったのは第4号議案に対するものだった。第4号議案は、社外取締役を除く取締役の報酬を業績連動型に変更し、総報酬に対する割合を基本報酬50%、年次インセンティブ30%、株式報酬20%としたうえで、目標業績約200%達成時に基本報酬を上限3億5000万円、年次インセンティブを上限3億5000万円、株式報酬を上限10万株とするもの。

 従来の報酬上限は4億5000万円であり、それを現金報酬が最大7億円となるところに質問が集中したが、あくまで業績に連動するものであることや、経営目標の達成を強く動機付けるものであることなどを理由に、繰り返し理解を求めた。

 他社などを引き合いに出し、株主への配当金が1株94円では少ないのではないかという質問に対しては、2016年度は純利益から法人税などを除いた25%を配当性向としているが、2017年度以降は30%程度を株主への配当へ充てる方針を示した。

 部門別の業績で、国際線旅客収入が2015年度の4487億円から4152億円へ下回ったことについては、350億円規模の燃油サーチャージ収入の減少と140億円程度の円相場の影響があるとして、約490億円が外的要因であると回答した。一方で、社内には燃油使用量の削減プロジェクトチームがあり、機内に搭載する皿1枚の重量まで検討している、と継続的な燃油の節約が行なわれていることを説明した。

 2017年~2020年の新しい中期経営計画が消極的ではという質問については、2020年までに自社保有旅客機を国際線で7機増(いずれもボーイング 787-9型機)、国内線で2機削減することや、ターボプロップ機のリージョナルジェットへの置き換え、2019年に国内線へエアバス A350型機を導入することなどを挙げた。また、2015年度からパイロット(運航乗務員)の新卒採用を再開しており、MPL訓練を取り入れていること、2030年ごろにバブル期の大量入社世代が退職することへの対策を考えていることなどを回答した。

 地方路線のさらなる拡充や廃止した国際路線の復帰を求める声には、単にシェアを狙うような経営や収益性を度外視した路線開設はしないと断言。

 787-9型機などを使って、東南アジアから日本を素通りして北米へ向かう路線が増えていることをどう考えているかという問いかけについては、中国や台湾など日本から近いアジアではそのとおりだと回答。一方、マレーシア・タイ・インドネシアなど日本からやや遠いアジアから乗り継ぎで北米へ向かう利用者は年間1300万人ほどいることを把握しているが、現在JALはその1%しかシェアがないため、乗り継ぎ需要の喚起に力を入れていく、とした。

 また、2010年の破綻時に整理解雇された元職員の復帰を求める活動が続いているという指摘については、2015年2月に解雇撤回を求める上告が棄却され、判決が確定していると前置きしたうえで、議長の植木氏は、破綻時には整理解雇された職員の100倍もの職員が自ら会社を去っており、その人たちに戻ってこいとは到底言えないし、無責任であると述べて、今のJALをよりよくしていくのが自分の務めであると訴えた。

 なお、4つの議題はすべて原案どおり可決され、総会は閉幕した。