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初のオンライン開催となったトラベル Watch×タイ国政府観光庁の観光セミナー。「タイ東部は政府を挙げて開発を進めているエリア」とセークサン・スィープライワン所長

2020年8月5日 実施

今回が4回目のトラベル Watch×タイ国政府観光庁共催セミナー

 トラベル Watchとタイ国政府観光庁は8月5日、「タイ東部ビーチリゾート フライ&ドライブ旅の魅力」と題したトークショーを開催した。

 タイ旅行をテーマとする本イベントは2017年に始まり今回で4回目。例年はインプレス本社のセミナールームにトラベル Watch読者を招いて開催しているが、新型コロナウイルスの感染防止のため、今回は初のオンライン開催となった。

登壇者も十分な距離を置いて着席

 2020年2月にロケを行なった公開中の記事「タイ東部のビーチリゾートを巡る旅」の思い出を振り返りつつ、美しいドローン映像や未公開シーンなどを紹介するという内容で、事前申し込みをした参加者約50名とはZoomのオンライン会議でつながり、コメントを受け付けながらの進行となった。現地を旅したライター兼カメラマンの村上俊一氏ほか、スペシャルゲストとしてタイ・バンコク乗員室での勤務経験もあるJAL(日本航空)客室本部 チーフキャビンアテンダントの三浦文子氏も参加。約1時間半のトークショーの模様はYouTubeでライブ配信も行なった。

約50名の参加者とはZoomのオンライン会議でつながりながらのトークショー。なかには日本だけでなくタイ在住の方も
トラベル Watch×タイ国政府観光庁「タイ東部ビーチリゾート フライ&ドライブ旅の魅力」トークショー

新しい日常を取り戻しつつあるタイの旅行業界

冒頭で「今の状況が改善した際にはアメージングタイランドでフライ&ドライブをお楽しみください」とあいさつしたタイ国政府観光庁 東京事務所 所長 セークサン・スィープライワン氏

 タイ国政府観光庁 東京事務所 所長のセークサン・スィープライワン氏は冒頭で「新しい旅行のあり方は、グループで旅行するというよりも、これからご紹介する“フライ&ドライブ”のような、より自由な個人旅行に変わっていくのではないかと思います」と述べ、「タイには美味しい食べ物、美しいビーチにゴルフ場、スパやラグジュアリーなホテル、そしてなにより温かいおもてなしの心があります。安心して旅行ができる世の中になったら、ぜひ皆さまのお越しをお待ちしています」とあいさつを締めくくった。

Amazing Thailand 新しい日常
タイ国政府観光庁 東京事務所 マーケティングマネージャーの藤村喜章氏

 続いてタイ国政府観光庁の藤村喜章氏からは、コロナ禍におけるタイの現状や、タイに関する基礎情報を含めたプレゼンがあった。8月末まで非常事態宣言が出されているというタイだが、外国からの帰国者を除いた国内感染としては70日間ゼロ(8月2日現在)となっているという。

タイ国内の状況

 現在タイでは日本のGo To トラベルと同じような国内旅行促進キャンペーンを実施中で、バンコクではホテルに滞在しながら休日を過ごす「ステイケーション」という楽しみ方が人気とのこと。また藤村氏は、「SHA(Safety and Health Administration)というタイの安全衛生基準も紹介。「次にタイに行くときにはこのSHAのマークがあるホテルやレストランを選ぶ基準としてもらえれば」と説明した。

向かい合う形での司会進行役はトラベル Watch編集部 編集長の湯野康隆
タイを訪れる際は自分の生まれた曜日を要チェック。ちなみに藤村氏は火曜日生まれとのことで当日はピンクのポロシャツを着用

 2020年はタイ国政府観光庁創設60周年という記念の年であり、それを記念して公開中の特設サイト「こころに残るタイの旅」の紹介もあった。

タイ国政府観光庁 トラートオフィス Somphol Jaturat副所長からのメッセージ
タイ国政府観光庁 ラヨーンオフィス Kedsiree Somboonsin副所長からのメッセージ

空港や機内でのJALの取り組みをCAがアピール

日本航空株式会社 客室本部 チーフキャビンアテンダントの三浦文子氏

 続いてカメラが向けられたのは、スペシャルゲストとして来場したJALのチーフキャビンアテンダント 三浦文子氏。「安全と安心を第一に、お客さまとともに新しい空の旅へ」と題して、機内の空気循環の仕組みや、機内消毒の徹底など、コロナ禍の取り組みを紹介した。CAのマスク&ゴーグル着用という状況については「いつも以上に目元だけでおもてなしの気持ちをお伝えすべく、より一層笑顔をお届けできるように努めております」とコメントした。

「コロナが収束したあかつきには皆さまにはより一層の楽しい旅をお届けしたい」と三浦氏

現地取材をしたライター&フォトグラファーの村上俊一氏はドリアン好き

2月にタイ東部を旅した村上俊一氏。「カーフェリーで渡ったチャーン島は高低差があるの島なので、渡ってからもクルマがある方が便利」と語った

 実際にタイ東部を旅したライター&フォトグラファーの村上俊一氏は、未公開動画などを流しながら、フライ&ドライブの魅力を語った。「自由度が格段に違うので、タイ旅行はレンタカー利用の方が動きやすい」とのことで、トイレやコンビニはもちろん、カフェなども充実しているタイのガソリンスタンドの話題などで盛り上がった。

 そんな設備の整ったガソリンスタンドが随所にあるおかげで、現地ではガス欠の心配はほぼなかったそう。また、レンタカーのナビはタイ語なのでメニューを解読しなくてはいけないということもあり、基本的にはスマホのナビを使うのがオススメで、Googleマップで迷うことはなかったとのこと。地図データを事前にダウンロードしてオフラインマップとして持っていけることも言及した。

「タイの道路標識って見て分かるもの?」という編集長からの質問に「分かります! ちょっと雑だけど(笑)」

 ここではチャーン島南部に位置するロングビーチでの美しいドローン映像も紹介。どこまでも遠浅が続く青い海に、海の家が一軒だけという“古きよきタイのビーチ”をドローンならではの迫力の映像で堪能してみてほしい。

チャーン島ロングビーチ(4Kドローン映像)
バーン・サラコック マングローブの森(4Kドローン映像)

 さらに、カオキッチャクート国立公園の巡礼登山の話も。ここは山の頂上にある神聖な巨石を目指して多くの仏教徒が訪れるという場所。登山道のある山の中腹まではSUV仕様のソンテウ(荷台を改造して乗車できるようにしたクルマ)に乗ってオフロードを進むそうだが、運転手は真っ暗な深夜にジェットコースター並の猛スピードで飛ばすらしく「真夜中の登山を含め、いろんな意味で過酷だった」と語っていた。

事前に集めた参加者の皆さんからの質問タイム

最後に参加者の皆さんからの質問に答えた

 トークショーの最後は、事前に参加者の皆さんから寄せられていた質問に登壇者が答える時間が設けられた。「今回のタイ東部の旅で一番印象に残っているビーチは?」という問いに村上氏は、「天気に恵まれたチャーン島のビーチ。なかでも繁華街にあるホワイトサンズビーチは観光っぽく遊ぶのに便利」と回答。「観光地を離れてゆっくりしたいならドローン映像でお伝えした南にあるロングビーチです」とのことだった。

パタヤからラヨーンの海沿いは延々とキレイなビーチが続くのでオススメという村上氏

「本当は教えたくないタイのお勧めスポットは?」という質問に答えたのは、JAL三浦氏。「チャンチュイ・クリエイティブスペースというナイトマーケットです。そこには本物の飛行機がど~んと1機置いてあって、新進気鋭のアーティストの作品展示が特徴。風変わりな個性的なお土産も揃います」とバンコクの最新のナイトマーケットを紹介した。

「本当は教えたくないのに大丈夫ですか?」
「ちょっと行きにくい場所ですがぜひ!」と三浦氏

 さらに三浦氏は、タイでの電車旅の思い出話も披露。アユタヤまで電車で行ったことがあるそうで「お尻が痛くなるようなガタガタした座席で、指定席だと思って座っていたらあとから来た人に“ここは自分の席だ”と言われて追い出されたりしたのも今となってはよい思い出(笑)」と語った。

タイの定番のお土産は、プーパッポンカリーやグリーンカレーなどの「料理のもと」やオーガニックコスメ、歯磨き粉だという

「東部地区の開発が進んでいると聞くが?」の質問には、セークサン・スィープライワン氏が「東部経済回廊(East Economic Corridor=EEC)といいますが、タイ政府をあげて観光インフラ、流通のインフラを整えようとする開発プロジェクトです。例えば、政府の方針としてウタパオ国際空港の整備と活性化があります。パタヤやラヨーンにたくさんあるゴルフ場の開発なども進んでいます。本プロジェクトによってホテルなどの観光施設がより一層充実することが見込まれます」と回答した。

東部経済回廊について説明するセークサン・スィープライワン氏。パタヤやラヨーンなど日本人の駐在人も多いタイ東部の開発がこれから進むのだそう
藤村氏は、タイ国政府観光庁が国内の観光業者の方向けに主催する「タイランド・スペシャリスト検定」についても説明した

 最後に、アフターコロナの旅行動向について藤村氏は「やはり飛行機の乗り降りから変化するのでは。レストランでのアルコール消毒やマスクの着用、ソーシャルディスタンシングが、これからの旅行を変える大きなポイントなのでは」と言及。

 さらに「バンコク便はいつごろ再開する?」という質問に対して三浦氏は、「JALの公式情報としては、まず8月いっぱいは日本発はすべて運休。一方タイから日本に戻ってくる便は週2便の運航となっております。9月は現在の旅客便運航不可の制限が解除されれば、日本発週3便の運航を予定しております」と答えた。

 初めての無観客・オンライン配信イベントとなった今回だが、登壇者・参加者の誰もが、1日で早く安心してタイ旅行ができる日を待ち望んでいることがうかがえる有意義なトークショーになった。

「政府が推進する“ワーケーション”が、近い将来タイでできるようになることを願いたい」という湯野のコメントでトークショーは終了した