車中泊の拠点 RVパークを訪ねる

水平線から昇る朝日が車中から見える南伊豆のRVパークに泊まってみた

RVパーク 赤穂浦

大平洋に面した海岸沿いにある「RVパーク 赤穂浦」。海岸線の脇道の突き当たりという地理的にもプライベート感ばっちりなので、海を眺めながらのんびりしたい人には絶好の立地だろう

 今回紹介するのは伊豆半島の南端にある「RVパーク 赤穂浦(あこうら)」(静岡県賀茂郡南伊豆町下流945)で、2024年12月にオープンしたばかり新しい施設だ。

 伊豆エリアのRVパークはすべて海に近いところにあるがRVパーク 赤穂浦も同様で、目の前は海の広がる開放感あるロケーション。それでいて施設は国道から海側へ入る小道の突き当たり、海と高台に挟まれたコンパクトな場所のため、なんというか「秘密基地」的な魅力があるのだ。

 RVパーク 赤穂浦の利用には、Webサイトの問い合わせフォームか電話で事前予約が必要。利用料は6600円で決済は事前の銀行振り込みのみ。現地決済やカード払いには対応していない。そして写真を見て分かるように海との境に高い塀などはないので、パーク内でのクルマの移動や人の行動には十分注意すること。

RVパーク 赤穂浦を運営する平山敬一氏。下田に来る車中泊ユーザーが快適な車中泊をするための施設として海沿いの敷地を利用してPVパークを開設
伊豆というと早咲きの河津桜が有名だが、下田周辺でも河津桜は見ることができるし、河津エリアほど混まないので人混みを避けて桜を見たいと思う人には穴場だそうだ。前日にRVパークに泊まって朝から見学するというのもいいだろう

 サイトは3区画あり、1つのサイトは駐車スペースと常設のテーブルとイスがあるデッキ部分で構成している。駐車スペースは約8×6mあるので大型キャンピングカーも利用できるが、長辺は海沿いの塀側なので、海に対してクルマを横付けしたい場合は縦列駐車をするようなカタチで停めることになる。

 各サイトにはマットを敷いたデッキがあり、4人用のイスとテーブルを設置しているので、4人以下で行くなら別途キャンプ用テーブルやイスを持参する必要はない。水道とシンクが共同ではなくサイトごとに付いているのも便利だ。

 デッキ部分を照らす照明がサイトごとに付いているのもこの施設の特徴。照明は夜間でもほかの照明が不要なくらい明るく、それでいて背の高いポールの上に取り付けてあるのでまぶしさは感じない。筆者はLEDランタンをテーブルの上に置いたときのようなまぶしさがあまり好きではないので、この施設の照明は具合のいいものだった。

下田方面からきたときの光景。小さい看板があるのでそれを目印に脇道へ入っていく。チェックインは14時~21時、チェックアウトは6時~11時となっている。ペットを連れての利用はOKだがノーリードはNG
RVパークの全景。ポールが立っているところがサイト。すべてのサイトが海沿いになるので、どこを選んでも眺望に差はない。右に見えるのはトイレとシャワーがある建屋
スペースの見取り図
どのサイトも海の真横になる。普段は波が敷地にかかることはないが、外洋沿いなので台風など海が荒れているときなどは安全確保のため休業になるという
サイトから下田方面を見る。夏場は岩場で海遊びもできるそうだ。ただ、岩場より外は潮の流れが速いので泳ぐには適していない
こちらはサイト1。入口側になる
サイト1のみ駐車スペースの路面がコンクリートになるので、ペグ打ちはできない
サイト2はトイレやシャワー棟の正面になる
トイレ棟があるので通路スペースが建物分狭まる。軽自動車で写真のような感じ
サイト3のみイスとテーブルの形状が違っていてテーブルが高くなる。食事ではこちらの方が使いやすそうだ。
奥にもスペースがあるがRVパークではないので、クルマを停めたりテントを展開したりしないこと
サイト2を使わせてもらった。デッキに寄せて海に沿って停めてみたところN-VANがもう1台入るくらいの余裕がある
海岸線に平行に置いてみた
ポールからLED照明が点いた状態。高い位置から照らすので十分な明るさがあってもまぶしさはない。光が広がり過ぎないので隣のサイトに影響しないのもいい
照明のスイッチは電源ボックスのなかにある。電源使用料はパーク利用料に含まれているので無料
サイトごとにシンクと水道がある。これは便利だ
電源とクルマを停めるスペースが離れているので延長コードはあった方がいい。貸し出しはないので持参すること。長さはクルマの停め方によって必要な分が違うので、前掲の見取り図とサイトの写真から想像してほしい

 共有設備の紹介をしていこう。RVパーク 赤穂浦には2つのトイレと2つのシャワールームがある。トイレはどちらもウオッシュレット付きの水洗トイレで、個室内もきれい。当然ドアには鍵はかかるし照明も点き、さらに換気扇も設置されていた(電源のON/OFFは使用者が行なう)。また、トイレ内に手洗いと鏡が設置されている。

 シャワーは広めの脱衣スペースに脱衣カゴやゴミ箱があり、シャワーの利用は無料。RVパーク 赤穂浦は利用料が6600円と数字だけ見るとほかより高く感じるが、電源、シャワーの利用料込みと考えると一般的な料金設定だと思う。

シャワーとトイレがある建屋。ドアに細長い窓があるのがトイレ。窓がないのがシャワー室
暗くなると人感センサー付きライトが点く
2つのトイレの作りは同じ。手洗いと鏡がある
換気扇も付いている。夏場では熱気抜きにもなる
シャワールーム。タオル、ボディソープ、シャンプーなどはない
脱衣スペースは十分な広さ。共有設備なので使用後は次の人が気持ちよく利用できるよう簡単な清掃はしたい
ゴミ箱もある。ゴミは可燃、不燃に分ける
サイト1と2のテーブルは樹脂製なのでお湯を沸かしたケトルや鍋など熱を持ったものを直接置かないこと
サイト内であればたき火はOK。ただし直火はNGでたき火台使用がルール。デッキの上でのたき火はNG。なお、薪の販売はない。今回は風が強かったのでたき火は行なわなかった

泊まってみた印象

 国道から奥に入った場所で、前は海、後ろは山というプライベート感強めの立地。付近に家はあるが常時人がいる感じでない。そして取材日の利用者は筆者のみで聞こえてくるのは波と風の音だけである。

 そんな環境なのでかなりのんびりできるのだけど、冬の海は風が強く外にいると結構な寒さを感じたので早々にクルマに避難。その後、お湯を沸かすために外でカセットガスコンロを使ったが、風が強いのと気温の低いことで家庭向きのカセットガスでは火力が上がらない。そこで予備で持っていっていた低温に強いアウトドア用カセットガスの出番となった。

 なお、食材の買い物は伊豆縦貫道の終点付近にスーパーマーケットがあるのでそこで済ませておいた。RVパークの近所でも下田の街に行けば買い物には困らないはずだ。あと、下田とパークの途中に消防署があったのでケガや急病時、救急車は比較的早くにきてくれそう。軽症であれば下田の病院で対応できるが、程度が重い場合は伊豆の国市にある大きな病院まで行くことになるとのこと。

国道まで離れているのでクルマの音は聞こえない。付近に建物はあるが漁業用の施設だったりするので夜間の人気はない

 あたりに照明がないので夜は暗いがデッキ部分を照らす照明が十分に明るいので不便はない。トイレの建物も人が近づくとライトが点くのも便利だ。ただ、個室内までは明るくならないので、昼間のうちに照明スイッチの場所を確認しておきたい。

 そして海側は明かりがない分、雲のない夜であれば星がよく見える。今回も星空を撮影しているので写真も見てほしい。肉眼で見るより多くの星が写っていたが、ほかの場所で同じ撮り方をしてもこれほどは写らないので、やはり夜の水平線は暗さが段違いなのだろう。

 場所が場所だけに人の生活が絡む環境音は一切ないが、夜になっても風が収まらないので波は相変わらず高く波の音も大きめだった。とはいえそれでも車内に入ってしまえば就寝時でも気にならないレベルだったので、筆者としては音についてなんの不満もなかった。

 春になると海は穏やかになるとのことなので、海を眺めつつノンビリしたい人は春ごろがベストシーズンかもしれない。ただ、地理的にサイトには日差しが当たり続けると思うので、日差しを避けたくなる季節の利用ではタープやシェルターなど、風が抜けつつ日よけになるものを用意しておいた方がいいだろう。

 RVパークは旅の途中に寄るという印象もあるが、RVパーク 赤穂浦は立地的な魅力と充実した設備から、旅の目的地として選んでもいいと感じた。それに伊豆の先端に泊まっていれば、出発日は伊豆の各地を順に巡りながら帰れるので見どころをたくさん予定できる。実際、筆者も西伊豆の西浦というみかん栽培が盛んなところに立ち寄って直売所でみかんを購入してきた。そんな寄り道をしても夕方には東京に着くので、RVパーク 赤穂浦を軸にする旅はいいと思う。

寒かったが星がよく見えたので撮影してみた。沖に見える光点は小島にある灯台の明かりだと思う
左手には下田の街の明かりが見える。下側に白く見えるのは白波
日の出前の光景
日の出。太陽はサイト正面の水平線から昇る。ここを利用したら日の出はぜひ見てもらいたい
朝日と海の様子を動画でも収めてみた

弓ヶ浜に近いPVパークも紹介

 伊豆の下田エリアにはもう1軒のRVパークがある。それが「RVパークSmart 弓ヶ浜いち番館」(静岡県賀茂郡南伊豆町湊635)だ。

 こちらは下田エリアの人気海水浴場である弓ヶ浜の側にある「和みの宿 弓ヶ浜いち番館」という和風ペンションの系列施設で、予約などの運営はトラストパークが行なっている。

 ちなみにRVパークには通常のRVパークとRVパークSmartの2タイプがあり、後者がトラストパークの運営。RVパークSmartは専用の予約サイトを持ち、チェックインやチェックアウトが無人で行なえる設備を持ったところなので、原則としてスタッフとのやり取りはなく、チェックイン時間に決まりがないので夜遅くに到着する場合に便利なところだ。

スナックの駐車場を利用するRVパークSmartいち番館。すべてのスペースに電源がある
こちらのお店は和みの宿 弓ヶ浜いち番館が経営している。資料によると営業しているのは夏期のみとのこと

 RVパークSmartいち番館は宿が経営するスナックの駐車場に設定されていて、車外でのタープ展開や調理などはNG。車内で調理などできる車両や寝泊まりのみの車中泊向けである。区画のサイズは6×3m。スペースは3台分あって連泊の止め置きはOKだ(駐車枠サイズを超える車両やトレーラーは利用不可)。料金はスペース利用料と電源使用料で4000円~(日により変動あり、予約サイトで確認を)。

 弓ヶ浜は人気の海水浴場なのでシーズンになると付近の宿は予約が取りにくくなるし、シーズン中は海岸沿いの駐車場も混みあうのだが、RVパークSmartいち番館は浜から徒歩で5分くらいのところにあるので、泊まる場所と停める場所の両方で便利な施設となっている。

白い砂浜が特徴の弓ヶ浜。波が穏やかで遠浅とのこと。景色もきれいなところだ
こちらが和みの宿 弓ヶ浜いち番館。弓ヶ浜から歩いてすぐにある
駐車スペースは3台分ある。こちらは前面道路に近いスペース
奥に2台並びのスペースがある。サイズはすべて一緒の6×3m
シャワーは有料で24時間利用可。トイレは店舗側にあってこちらも24時間利用可
和みの宿 弓ヶ浜いち番館には温泉があるが宿泊者優先なので、事前に連絡が必要。ただ、パークから歩いて行けるところに「みなと湯」という区営の温泉施設があるのでそちらを利用してもいいだろう