車中泊の拠点 RVパークを訪ねる
水平線から昇る朝日が車中から見える南伊豆のRVパークに泊まってみた
RVパーク 赤穂浦
2025年1月26日 12:00
今回紹介するのは伊豆半島の南端にある「RVパーク 赤穂浦(あこうら)」(静岡県賀茂郡南伊豆町下流945)で、2024年12月にオープンしたばかり新しい施設だ。
伊豆エリアのRVパークはすべて海に近いところにあるがRVパーク 赤穂浦も同様で、目の前は海の広がる開放感あるロケーション。それでいて施設は国道から海側へ入る小道の突き当たり、海と高台に挟まれたコンパクトな場所のため、なんというか「秘密基地」的な魅力があるのだ。
RVパーク 赤穂浦の利用には、Webサイトの問い合わせフォームか電話で事前予約が必要。利用料は6600円で決済は事前の銀行振り込みのみ。現地決済やカード払いには対応していない。そして写真を見て分かるように海との境に高い塀などはないので、パーク内でのクルマの移動や人の行動には十分注意すること。
サイトは3区画あり、1つのサイトは駐車スペースと常設のテーブルとイスがあるデッキ部分で構成している。駐車スペースは約8×6mあるので大型キャンピングカーも利用できるが、長辺は海沿いの塀側なので、海に対してクルマを横付けしたい場合は縦列駐車をするようなカタチで停めることになる。
各サイトにはマットを敷いたデッキがあり、4人用のイスとテーブルを設置しているので、4人以下で行くなら別途キャンプ用テーブルやイスを持参する必要はない。水道とシンクが共同ではなくサイトごとに付いているのも便利だ。
デッキ部分を照らす照明がサイトごとに付いているのもこの施設の特徴。照明は夜間でもほかの照明が不要なくらい明るく、それでいて背の高いポールの上に取り付けてあるのでまぶしさは感じない。筆者はLEDランタンをテーブルの上に置いたときのようなまぶしさがあまり好きではないので、この施設の照明は具合のいいものだった。
共有設備の紹介をしていこう。RVパーク 赤穂浦には2つのトイレと2つのシャワールームがある。トイレはどちらもウオッシュレット付きの水洗トイレで、個室内もきれい。当然ドアには鍵はかかるし照明も点き、さらに換気扇も設置されていた(電源のON/OFFは使用者が行なう)。また、トイレ内に手洗いと鏡が設置されている。
シャワーは広めの脱衣スペースに脱衣カゴやゴミ箱があり、シャワーの利用は無料。RVパーク 赤穂浦は利用料が6600円と数字だけ見るとほかより高く感じるが、電源、シャワーの利用料込みと考えると一般的な料金設定だと思う。
泊まってみた印象
国道から奥に入った場所で、前は海、後ろは山というプライベート感強めの立地。付近に家はあるが常時人がいる感じでない。そして取材日の利用者は筆者のみで聞こえてくるのは波と風の音だけである。
そんな環境なのでかなりのんびりできるのだけど、冬の海は風が強く外にいると結構な寒さを感じたので早々にクルマに避難。その後、お湯を沸かすために外でカセットガスコンロを使ったが、風が強いのと気温の低いことで家庭向きのカセットガスでは火力が上がらない。そこで予備で持っていっていた低温に強いアウトドア用カセットガスの出番となった。
なお、食材の買い物は伊豆縦貫道の終点付近にスーパーマーケットがあるのでそこで済ませておいた。RVパークの近所でも下田の街に行けば買い物には困らないはずだ。あと、下田とパークの途中に消防署があったのでケガや急病時、救急車は比較的早くにきてくれそう。軽症であれば下田の病院で対応できるが、程度が重い場合は伊豆の国市にある大きな病院まで行くことになるとのこと。
あたりに照明がないので夜は暗いがデッキ部分を照らす照明が十分に明るいので不便はない。トイレの建物も人が近づくとライトが点くのも便利だ。ただ、個室内までは明るくならないので、昼間のうちに照明スイッチの場所を確認しておきたい。
そして海側は明かりがない分、雲のない夜であれば星がよく見える。今回も星空を撮影しているので写真も見てほしい。肉眼で見るより多くの星が写っていたが、ほかの場所で同じ撮り方をしてもこれほどは写らないので、やはり夜の水平線は暗さが段違いなのだろう。
場所が場所だけに人の生活が絡む環境音は一切ないが、夜になっても風が収まらないので波は相変わらず高く波の音も大きめだった。とはいえそれでも車内に入ってしまえば就寝時でも気にならないレベルだったので、筆者としては音についてなんの不満もなかった。
春になると海は穏やかになるとのことなので、海を眺めつつノンビリしたい人は春ごろがベストシーズンかもしれない。ただ、地理的にサイトには日差しが当たり続けると思うので、日差しを避けたくなる季節の利用ではタープやシェルターなど、風が抜けつつ日よけになるものを用意しておいた方がいいだろう。
RVパークは旅の途中に寄るという印象もあるが、RVパーク 赤穂浦は立地的な魅力と充実した設備から、旅の目的地として選んでもいいと感じた。それに伊豆の先端に泊まっていれば、出発日は伊豆の各地を順に巡りながら帰れるので見どころをたくさん予定できる。実際、筆者も西伊豆の西浦というみかん栽培が盛んなところに立ち寄って直売所でみかんを購入してきた。そんな寄り道をしても夕方には東京に着くので、RVパーク 赤穂浦を軸にする旅はいいと思う。
弓ヶ浜に近いPVパークも紹介
伊豆の下田エリアにはもう1軒のRVパークがある。それが「RVパークSmart 弓ヶ浜いち番館」(静岡県賀茂郡南伊豆町湊635)だ。
こちらは下田エリアの人気海水浴場である弓ヶ浜の側にある「和みの宿 弓ヶ浜いち番館」という和風ペンションの系列施設で、予約などの運営はトラストパークが行なっている。
ちなみにRVパークには通常のRVパークとRVパークSmartの2タイプがあり、後者がトラストパークの運営。RVパークSmartは専用の予約サイトを持ち、チェックインやチェックアウトが無人で行なえる設備を持ったところなので、原則としてスタッフとのやり取りはなく、チェックイン時間に決まりがないので夜遅くに到着する場合に便利なところだ。
RVパークSmartいち番館は宿が経営するスナックの駐車場に設定されていて、車外でのタープ展開や調理などはNG。車内で調理などできる車両や寝泊まりのみの車中泊向けである。区画のサイズは6×3m。スペースは3台分あって連泊の止め置きはOKだ(駐車枠サイズを超える車両やトレーラーは利用不可)。料金はスペース利用料と電源使用料で4000円~(日により変動あり、予約サイトで確認を)。
弓ヶ浜は人気の海水浴場なのでシーズンになると付近の宿は予約が取りにくくなるし、シーズン中は海岸沿いの駐車場も混みあうのだが、RVパークSmartいち番館は浜から徒歩で5分くらいのところにあるので、泊まる場所と停める場所の両方で便利な施設となっている。