車中泊の拠点 RVパークを訪ねる

ドッグホテルが運営するドッグラン付きRVパークに泊まってみた。愛犬と散歩できる九十九里浜もすぐ近く

RVパーク The garden hotel with Dog

犬と泊まれるホテルが敷地内で運営するRVパークのため、犬連れクルマ旅での利用に向いている

 キャンピングカーや車中泊仕様車を利用する理由として多いのが「愛犬と一緒に旅がしたい」というもの。今回訪問した「RVパーク The garden hotel with Dog(ザ ガーデンホテル ウィズ ドッグ)」(千葉県長生郡一宮町一ノ宮10100-1)は、千葉県・外房にある犬と泊まれるホテルが運営するRVパーク。

 電源やトイレ、お風呂などRVパークとしての設備のほかに、ホテルの施設であるドッグランやトリミングサービス(ともに別料金)が利用できるという特徴を持つ施設だ。

 ちなみにRVパークを統括する「くるま旅」では、ペット連れのマナーについてのルール(お願い)を定めているので、犬連れで出かける前にはこちらに目を通しておいてほしい。また、RVパーク The garden hotel with Dogでは犬と一緒に利用する場合、狂犬病予防接種/ワクチン5種以上の証明書(コピー可)を持参することを求めている。

RVパークスペース後ろにあるドッグランが使用できる(別途500円)

夜のさみしさもほどほど、快適な車中泊ができる環境

 さて、本RVパークが開設はコロナ禍のこと。当時脚光を浴びたのが、人との接触を抑えて旅行できるキャンピングカーや車中泊仕様車で、こうしたクルマは「愛犬と一緒に旅がしたい」という層にも人気があったことから、ホテル泊以外で愛犬との旅行を楽しんでもらえるよう開業したのだという。

 あくまでホテルがメインなのでホテル側の予約が優先され、ホテルが満室だったり貸し切りの場合はRVパークの予約は受けないこともあるそう。また、RVパークの予約は利用日の20日前から受け付け開始となる。予約は電話のみの対応で、支払いは現地での現金払いのみ。ただ、RVパーク利用料は1泊1500円と安価な設定だ。

2会の部屋からの見た風景。奥に緑色のクルマ(N-VAN)が駐まっているところがRVパークのスペース

 RVパークとして設定しているのはホテルの建物を挟んだ反対側にある駐車スペースだが、受け付けはホテル正面入口側で行なう。

 ちなみにRVパーク側からでもホテルの庭(ドッグラン)を通って正面入口へ行くことはできるが、そのときはドッグランの扉を開けることになる。ほかに利用者がいてもいなくてもドッグランの扉を許可なく開けるのは好ましいことではないので、避けた方がいいだろう。

施設は内陸寄りの「桜通り」と海側の「九十九里ビーチライン」に挟まれる地理にあって、両方の道路からアクセスできるが「桜通り」側が正面入口となる
九十九里ビーチライン側にも入口があるが受け付け前は正面入口へ
正面玄関。こちら側にも駐車スペースはある
玄関を入ったところ

 RVパークとして用意されているのは4台分で、スペースは特に区切っていないが、スペースに植えられているヤシ科の木の根元に電源があるので、冒頭の写真のような方向で駐めるのがよさそう。

 駐車スペースの路面をみる限り、もとはテニスコート(ハードコート)であるようなので路面は平ら。車内で寝転んでも違和感はまったく感じない。雨が降っても水はけがよいと思われるので、車中泊をするにはいい条件の場所といえるだろう。

 RVパークのスペースは九十九里ビーチラインに面しているが、道路まではずいぶん距離があるので道路を歩く人が駐めているクルマの側に来ることはまずない。九十九里ビーチラインを走るクルマの音も聞こえることは聞こえるが、筆者としては気になるほどではなかった。

 施設の周辺には民家やアパートもある(生活音は聞こえてこないし、夜は人通りもほぼない)ので「人がいなさ過ぎる場所での車中泊だと不安」という人でも落ち着いて過ごせそうだ。

RVパークの全景。ヤシ科の植物がある周辺が駐車スペース。後ろの木の柵の置くがドッグラン
角度を変えてスペースを見る
電源が不要なときは奥の垣根沿いに駐める人もいるそうだ
テニス用のハードコートだった場所だけに路面は平ら
付近は住宅もチラホラある。夜は静かだがまわりが真っ暗にならないので安心感もある
スペースから九十九里ビーチラインまでは距離があるので歩行者がクルマの側に来ることはないはず。深夜もたまにクルマは通っていたが音はそんなに気にならないものだった
施設内は火気厳禁。たき火はもちろん、車外での火を使う湯沸かし、調理も禁止。イスやテーブルは備え付けのものがあるが、イスだけであれば持ち込んだモノを出してもいいとのこと
ヤシ科の植物の根本に電源がある。1つの系統にコンセントはふたつあった。ほか、ホテル側からコードリールで引いてくることも可能
九十九里ビーチライン沿いには電動車用の充電ステーションがある

 ホテル、RVパークともに愛犬連れを想定した施設ではあるが、やはりホテルがメインであるので、RVパーク利用者に開放される設備は限定される。人の利用についてはホテル1階にあるトイレ(男女別)と浴室の利用はOK。トイレはともかく浴室は使用しない人もいるので、浴室の利用はRVパーク利用料に含まずオプション扱いになっている(500円)。利用時間も決まっているので受け付け時に確認してほしい。

 このように利用に関しての制限はあるが、そもそもこちらのRVパークは利用料金が安価なので、それを考えると十分な対応だと感じた。このほか、使用できる設備は写真で紹介していこう。

施設全体の見取り図。RVパーク利用者はホテル内の設備のうちトイレと浴室のみ利用できる。そのほかのエリアは立ち入り禁止
RVパークからホテル内へは勝手口から。夜間やホテル利用者がいないときは施錠されるので受け付け時に預かった合鍵で入る。トイレは何回か利用するだろうが出入りのたびに施錠するルールだ
RVパークからホテルへ行き方。木戸を開けてホテルの庭に入る。庭はドッグランなので犬がいるときは外へ出ないよう注意して開ける。犬がいてもいなくても開けたら閉め、フックを掛けて開かないようにする
庭を通り過ぎるとまた扉があるのでここを開けて進む。こちらも開けたら閉める
浴室やトイレへの入口。センサーライト付きなので夜も明るい。預かった合鍵を使ってドアを開ける。用が済んで出てきたときは施錠。トイレは何度か使うので、次にまた出入りすると分かっていても1回ごとに必ず施錠すること
勝手口を開けて入ったところ。夜間は照明がついているので真っ暗ではない
ホテル内側より勝手口の方向を見たもの。男性用トイレは勝手口入ってすぐ横。女性用トイレは真ん中あたりに見える扉。そして左奥が浴室
男性用トイレ。当然ながらきれい
トイレ内には洗面台もある。歯磨きなどもできる
浴室の脱衣所。脱衣カゴがあり、洗面台もある。ただ、ドライヤーは置いてないので使う人は持参を
十分な広さがある浴室。湯張りも自分で行なう。順番を待つ利用者がいるときは使用後にお湯を抜き、浴槽をシャワーで流しておきたい

 次にドッグランについてだ。ガーデンホテル ウィズ ドッグには2面のドッグランがあるが、RVパーク利用者は建物前のスペースではなく、隣接しているもう1つのドッグランを使用する。こちらのスペースも十分広く路面はフラット、それにアジリティの用具もあったりと条件はいい。しかし、写真を見て分かるように犬ファーストであるならドッグランをもっと広げることは敷地的に容易なはずだが、それはしていない。

 その辺の理由を聞いてみたところ、ドッグランが広過ぎると大型犬などが全力で走ったときの勢いがつき過ぎて、その犬だけでなく一緒に利用しているほかの犬や利用者が危ないという考えから、施設が「適正」と思う範囲に収めていたのだ。「柵で囲ってあればドッグラン」ではなくそういったことも考えられているのである。

犬が安全に楽しく遊べることを考えてドッグランを設定している(画像はホテル側のドッグラン)
RVパーク利用者は駐車場所に隣接するドッグランを利用できる(利用料500円)
ホテル側からRVパーク横ドッグランを見る
九十九里ビーチライン側からRVパーク横ドッグランを見る
アジリティ用具がある。やらせてみたくなるものだと思うが、いきなりできるものではないので犬がイヤがるときはムリさせないように
ドッグラン横にはベンチもある
ここで筆者の状況を少し。火気厳禁なので今回は電気鍋を持っていき、お湯はこれで湧かす。飲むたびに何度も沸かすのはめんどうなので保温ポットも持っていった。なお、徒歩ですぐのところにコンビニがある
夜の様子。施設のあちこちの木はライトアップされている。今回は筆者ひとりの利用だった。九十九里ビーチラインはそこそこ遅くまでクルマの通行はあったが音は気になるものではなかった。周辺の環境も静か。晴れていれば星空もきれいに見えるそうだ
徒歩10分くらいで九十九里浜まで行ける。RVパークからの犬との散歩にはちょうどいい
周辺の案内。RVパークの位置をこの地図で言うと、ホテルシーサイドオーツカと記載されているところの「ホテル」の文字があるあたりだ

 以上が、犬と泊まれるRVパーク The garden hotel with Dog。犬を連れたクルマ旅に向いている施設ではあるが、今回の筆者のように犬が一緒じゃなくても利用できるので、九十九里浜エリアで遊びたい人もこちらのRVパークに泊まってみてはどうだろう。駐車スペースの環境はよく、トイレや浴室もきれいなので気持ちよく車中泊できるはずだ。

最後にホテルの情報を載せておく。建物の前の庭がドッグランになっていて、リビングからデッキを通ってダイレクトに出入りできる
ドッグランを利用する際は例えば人が建物内にいて犬だけがドッグランにいるような「犬のことを管理できていない状態」になることは禁止。ドッグランから室内には足を拭かずに入ってもOK
客室の様子。総部屋数は7室ある。部屋の大きさごとに泊まれる犬のサイズ、頭数、人の人数の決まりがある。詳細はWebサイトで
全部屋冷暖房、冷蔵庫、テレビ付き。一番多いのが和室で部屋ごとに布団敷きかベッドと寝具の違いがある。なお、布団の上で粗相しても洗濯料は取っていないという
ここは1階にある特別室。部屋専用の庭がある