車中泊の拠点 RVパークを訪ねる
SLも走る秩父鉄道の真横でたき火と車中泊を楽しむ埼玉・長瀞のRVパークに泊まってきた
RVパークsmart 長瀞 ~川とSLの郷~
2024年3月10日 00:00
今回行ってみたのは、1月にオープンしたばかりの「RVパークsmart 長瀞 ~川とSLの郷~」(埼玉県秩父郡長瀞町野上下郷1567-1)だ。
長瀞とは埼玉県秩父郡にある長瀞町のこと。都内からは関越自動車道の花園ICから秩父方面に約30分ほど走ると到着する。長瀞は山に囲まれた地形で、町内を流れる荒川は岩畳などダイナミックな地形のなかを流れる渓谷となっているので、地形を活かした観光も盛ん。また、山へ向かえば日帰り温泉施設が複数あり、食に関しても人気のお店が多いエリアである。
本施設は無人で運営する「RVパークsmart」という形態になっている。このタイプのRVパークはネットで予約を行ない、予約完了後に発行されるQRコードを使うことで施設への入場やチェックイン、電源の利用などができるというもので、施設側は人員を配置する必要がないし、利用者のチェックインが夜遅くになるような場合でも対応できる。また、入場後の外出、再入場も時間に縛られず行なえるなど、施設側・利用者の両方にメリットがある。
近隣に食事処や温泉施設が多いエリアだけに、施設スタッフに気兼ねすることなく出かけられるこのシステムに魅力を感じる人は多いだろう。
場内は未舗装の路面だが整地されているので平坦。駐車スペースは8つあり、1番と8番はサイズが約10×7mと広く取られているので、大型車両でも余裕で駐められる。
なお、1番のスペースは秩父鉄道の線路沿いなので、鉄道が好きな人であればある意味、一等地。そして8番はドッグラン(あとで紹介)の前なので、愛犬と一緒の人に向いた場所になっている。
そのほか2番~7番も約7×7mという広いスペースだが、敷地形状の都合で4番と5番のスペースは写真を見て分かるように変則的なカタチ。ただ、実際にクルマを入れてみたところ、クルマの駐め方次第では2番、3番、6番、7番よりも広く使える感覚だったので、あえて4番と5番のスペースを選ぶのもアリだろう。
利用料金は1番と8番が4500円、2番~7番が3500円。すべて電源使用料込み。チェックインは13時からでチェックアウトは翌11時とゆっくりできる設定。
予約は公式サイトから行なうようになっていて、受け付けは利用したい前日の23時までだ。つまり当日予約はできないので、その点は注意してほしい。
なお、施設内や歩いて行けるところに飲料水の自動販売機やコンビニはないので、飲み水などは事前に用意しておくとよい。
基本的な設備は揃っていて、直火OKのエリアも用意されている
RVパークsmart 長瀞の設備を紹介しよう。まずはトイレ。入口ゲート横にトレーラーに乗ったトイレを設置している。男女別で男子用は小便器×1、個室×1。女性用は個室×1となっている。トイレ内には手洗いと鏡を備えている。電気はドアを開けたところにあるスイッチで点灯、消灯する。
洗い物などに使える水道は3つあり、スペースは囲いと屋根があるので雨天でも濡れずに利用できる。照明があるので夜間も不便はない。
洗い場とトイレの間には、キャンピングカーの汚水を処理できるダンプステーションもある。
ゴミ捨て場はあるが利用するには有料ごみ袋を購入する必要がある。ゴミ袋は1枚100円で、ゴミは可燃ゴミと不燃ゴミに分けるので基本的に2枚必要だ。
なお、シャワーやお風呂はないが、クルマで約15分のところに日帰り温泉があり、そちらの利用を勧めている。日帰り温泉では食事もできるとのこと。地元の名物である秩父豚みそ丼やわらじかつ丼などもあるので、入浴だけでなく夕飯も済ませてしまうのもいい。
あと、触れておきたいのが陽当たりについて。写真を見て分かるようにRVパークsmart 長瀞は敷地内外に背の高い木などないので、どのスペースも陽当たりはいい。この環境はいいところでもあるけど、気温が高くなってくる時期では日陰が欲しくなるのも事実。そのため車中泊であっても車外にイスやテーブルを展開するのなら、オーニングやタープなど日よけになるモノを持っていった方がいいだろう。RVパークsmart 長瀞ではスペース内に収まるサイズであればオーニングなどの展開はOKとしている。
3月からはSLも運行。秩父鉄道の列車を見るのも楽しい
RVパークsmart 長瀞は秩父鉄道の真横に沿った立地のため、秩父鉄道の列車が走り抜けるのを間近で見ることができるのも特徴だ。
秩父鉄道は埼玉県の羽生から三峰口までを結ぶ路線で、旅客輸送のほかにセメントを運搬するため、私鉄としてはめずらしい電気機関車によるセメント貨車輸送が行なわれている。
また、通常の旅客電車も地域PRを行なうラッピングトレインを数種類走らせているし、3月からは「SLパレオエクスプレス」という蒸気機関車による客車の運行も始まるなど、鉄道ファンはもちろん、詳しくない人でも見て楽めるバラエティに富んだ内容になっている。
なお、SLパレオエクスプレスは運行日が決まっているので、SLが見たいのなら秩父鉄道のWebサイトで運行日を確認してほしい。
ちなみに列車通過時の音はそれなりに迫力があるものだが、旅客電車は2両や4両編成が主なのですぐに通り過ぎる。そのため「うるさい」とは感じなかった。貨車については編成は長いが速度がゆっくりで貨車自体には動力がないからか、夜間であっても音は気にならなかった。これは意外だった。
RVパークsmart 長瀞はオープン間もない施設だが、ほかのRVパークとは違った魅力を持つだけに、SNSなどでいい評価が広まっているよう。そのためすでに週末の予約は取りにくいらしいので、気になった人は早めに予約を入れてみることを勧める。
なお、平日は余裕があるので、まわりに人が少ない環境でのんびり過ごしたい人は平日を選ぶと満足度もより高いだろう。ちなみに取材も平日に行ったが、ご覧のとおりほかに利用者がいない貸し切り状態だった。
電気、水道、トイレなし、野営地的なキャンプ場も運営
さて、最後に長瀞運輸が運営するキャンプ場も紹介しておこう。それがRVパークsmart 長瀞からクルマで5分ほど走った山のなかに作った「1日1組限定」のキャンプ場「ナガトロキャンプベース」だ。
ここは水道も電気もトイレもなにもない「ただの山のなか」なので、それなりにキャンプに慣れた人向けの場所である。また、普通のキャンプ場のように消灯時間がないので、深夜まで談笑していてもOKな場所でもある。
現在はユーザーの声を参考にテントを張るのに具合がいいよう、重機を入れて地面を平らにしている最中なので一時的に予約が取れない状態だが、3月過ぎに再び予約ができるようになる予定。ナガトロキャンプベースの予約方法はRVパークsmart 長瀞のWebサイトを参照してほしい。
こちらのキャンプ場は車中泊ユーザーでも利用できるが、未舗装の道と敷地なので2WDのクルマだとスタックの恐れもある。雨の日や雨上がりなどの利用のときは特に注意が必要で、路面状況をよく見ながら入場し、駐車位置も路面がしっかりしていそうなところを見きわめた方がいいだろう。