地元誌編集長の「ハワイ現地発」

【ハワイ現地発】日系人が紡ぐハワイの絶品豆腐を満喫できるレストラン5選

 ハワイ州の日系人の割合は全人口の約20~25%ほどで、全米でトップクラスの比率だ。そんな背景から、日本から伝わった「食」がハワイで育まれ、独特の日系食文化が定着している。一方、日本の伝統の味がそのまま残されている貴重な「食」が豆腐。

 私がハワイに引っ越してきて間もないころ、ローカルの友人が「アロハ豆腐の工場ではできたての豆腐が食べられるよ! 大きな容器を持っていってごらん」と教えてくれた。

アロハ豆腐の工場。ここでできたての豆腐や納豆などを直売している

 大きな鍋を抱えて、カリヒエリアにあるアロハ豆腐の工場に行ってみると、10数年前の記憶では当時6~7ドルほどで鍋いっぱいにユドウフをすくって入れてくれた。ハワイでは「湯豆腐」と呼ぶが、日本で言う「すくい豆腐」だった。できたてほかほかのなめらかな豆腐で、これまで食べたことがないほど大豆の旨みと甘みが口いっぱいに広がったのを覚えている(現在は、ハワイ州の衛生管理の規定により容器持ち込みは不可)。

創業者の上原亀三郎さんと鶴子さん夫妻

「アロハ豆腐」は1950年創業で、日本からの移民である上原亀三郎さんと鶴子さん夫婦から始まり、地元に愛されてきた老舗。今回は、そんなアロハ豆腐を食べられる人気店を紹介したい。ヴィーガン、タイ、フィリピンレストランなど、各国の多彩な一皿となってハワイのローカルたちに提供されている。

ピースカフェ

「美味しい! 楽しい! ヘルシー!」を掲げるヴィーガンレストラン。ヴィーガンじゃなくても通う人がいて、いつ訪れてもにぎわっている。その理由はコンセプトのとおり、美味しくて、「ホントにヴィーガンなの?」という楽しい驚きがあって、しかも栄養まで考え抜かれているから。

グルメ通りとされるキングストリートにある「ピースカフェ」
木の温もりを感じる店内。店の奥にキッチンがある

 日本人のオーナーシェフは10歳から本格的に料理を始め、12歳で刺身の薄造りをマスターし、日本食レストランで長年腕を振るってきた。ドレッシングやソース、デザートにいたるまできる限り手作りすることにこだわる。

ルーからすべて自家製のカツカレー(19.50ドル)。見た目も食感もカツそのもの
ホテルの朝食をイメージした豆腐スクランブル(18.50ドル)。パンも美味

 シグネチャーは野菜と50種類以上のスパイスで仕上げた自家製カレー「カツカレー」。 カツは、豆腐に生パン粉をまぶして揚げたあと、オーブンで焼いて油分を落とすことでサックサクに。「豆腐スクランブル」や、秘伝の特製タレが食欲をそそる「豆腐焼肉」、黄金比のタレに絡めた「豆腐ポケ丼」など、彩り豊かなプレゼンテーションで運ばれてくる。

玉ねぎ、赤ワインやブランデーを煮詰める特製のタレを絡めた豆腐焼肉(17.50ドル)
たまり醤油と玉ねぎなどの黄金比が最高の旨みを出すという豆腐ポケ丼(16.50ドル)

 卵・牛乳・ハチミツなどを一切使わずに、味と食感、見た目まで計算され尽くした料理は、想像以上の豊かな味わい。実はデザートもイチ押しなのだが、一皿ずつがボリュームたっぷりなので、私はお持ち帰りにして、あとのお楽しみにしている。

オレイズ・タイ・ラオ・キュイジーヌ

 ハワイの著名誌が主催するグルメアワード「ハレアイナ賞」を受賞したタイ料理店。ダウンタウンのホテル通り沿いに入り口があって、奥へ進むと、鯉が泳ぐ池を囲んだ癒しのアウトドア席が広がっている。

ダウンタウンのホテル通りにこぢんまりとした入り口がある

 オレイさんと娘さんが営むこの店の始まりは2008年、ファーマーズマーケットだった。母国ラオス料理とタイ料理の味を届けたいという思いで、今では約80種類の本場の味を楽しめる。

店内を奥へ進むと、開けた空間が広がる

 豆腐をミンチ状にしたラオスのサラダ「ラープ」、シャキシャキ野菜とミント、豆腐を巻いた「生春巻き」、濃厚な自家製ピーナツソースにディップする揚げ豆腐の「サテ」など豆腐メニューが豊富。

ヘルシーでボリュームのある豆腐生春巻き(14.95ドル)、豆腐サテ(17.95ドル)。どちらも自家製のピーナツソースに付けて

 イチオシは「パナンカレー」。ココナツミルクとピーナツバター、野菜をタイバジルと一緒に煮込んだ濃厚な一皿。

濃厚な旨味と香草のバランスが絶妙のパナンカレー(20.95ドル)、ラオスのサラダ、ラープ($19.95)

 香草の使い方が実に巧みで、ラオス料理特有の発酵の旨みと、タイ料理の甘み・酸味・辛味のバランスが見事に調和する。ひと口ごとに異国の味へ浸ることができる。

宴(うたげ)レストラン+ラウンジ

 ハワイは沖縄からの移民も非常に多い。そんな人たちの拠り所でもあるのが、カリヒで23年間沖縄料理を提供してきた同店。

カリヒというややディープな地域に根付いている。駐車場は目の前にある

 毎朝仕入れる作りたての豆腐による料理のなかで、常連に愛されるのは味が染みた「なすと豆腐のチャンプルー」、そしてトロトロの「ナーベラーと豆腐のチャンプルー」。ハワイで仕込む沖縄みそを使ったオキナワンみそ汁は、豆腐や卵、もやし、ほうれん草、ゆでた角煮が入った滋味深い味わい。

手前から、なすびと豆腐/ナーベラーと豆腐のチャンプルー、オキナワンみそ汁(すべてご飯とみそ汁付きで21.95ドル)。チャンプルーは角煮やチキンなどから具材を選べる

 沖縄の家庭にお邪魔したような空間と料理は胃袋と心を温めてくれる。料理だけでなく、アンダギーをはじめ、金曜限定のお手製デザートが人気。デザートは売り切れ必死なので予約を入れておこう。

マックスズ・オブ・マニラ

 昨年、創業80年を迎えたフィリピン料理の老舗。1945年にマニラで開業した1号店は、かつてアメリカの大学で教壇に立っていたマキシモさんが帰国後、フィリピンに駐留していたアメリカ軍に、自宅で飲み物や軽食を振る舞ったことが始まり。それが評判を呼び、レストランへと発展したという。

コストコのディリンハム店のすぐ目の前にある
カジュアルで広い店。フィリピン系の住民に愛されている

 この店のオリジナルメニューは「シズリング豆腐」。ジュージューと音を立てながら運ばれ、テーブル上の熱々の鉄板皿で仕上げられる。しょうゆとマヨネーズを効かせたクリームソースが、揚げ豆腐と野菜にとろりと絡む、クセになる一品。「アスパラガスと豆腐の炒め物」はジンジャーソースが決め手。

目の前の鉄板ザラでソースを混ぜてくれるシズリング豆腐(19.95ドル)
シンプルながら箸が止まらなかったアスパラガスと豆腐の炒め物(19.95ドル)

Mr. オジサン ネオ バー&スシ

 1989年にワイキキで創業。カパフル通り、サウスキング通りへ場所を移しながら、「食べる楽しみ、幸せを味わえる場所」として進化を遂げてきた。

地元の人たちが足繁く通う店として知られている

 沖縄出身のオーナーは「豆腐はソウルフード」と言い、「新鮮で日持ちがしない、安心できる豆腐を使う」ことを信条としている。

ゴーヤチャンプルー(ランチ:小鉢、味噌汁、ライス付き19ドル、ディナー:18ドル)
揚げ出し豆腐(8ドル)はランチも夜もオーダー可

「ゴーヤチャンプルー」は、絹ごし豆腐を使うのが特徴。扱いが難しい絹ごし豆腐を手早く炒めることで、なめらかでやわらかな食感に仕上げている。表面をカリッと仕上げる「揚げ出し豆腐」も自慢の一品。

 いずれにしても、飲み物のお供はオリオンビールを。凍らせたジョッキに注がれる沖縄のビールと料理の相性は最高だから。

大澤陽子

ハワイで発行している生活情報誌「ライトハウスハワイ」編集長。日本ではラジオアナウンサー、ライターとエディターとして活動。2012年にハワイへ移住。新聞やハワイのガイド本などの編集に携わる。ハワイのビーチとビールをこよなく愛している。