ボーカリスト琴音の音楽旅
冬の福井! 崖っぷち東尋坊に越前蟹、温泉と日本海満喫旅
2016年12月29日 00:00
私は、都内ライブハウスを中心にボーカリストとして活動していますが、母親がこういった仕事をしていたので歌い始めたという経緯があります。彼女は福井県出身でミュージカル女優としてデビューし、現在は福井と東京を行き来しながら江川真理子という名でシャンソンを歌っています。
ある日、東京の我が家で「福井でやるディナーショー、出る?」と軽く聞かれて二つ返事でOK。福井行きが決定しました。福井県出身の母なので、もちろん祖母や親戚もたくさん住んでいます。母がいつまでも元気かという保証もないし、親族に見てもらうにはよい機会だと思いました。そして、12月21日に福井市にあるフレンチレストラン「ジャルダン」で開かれた江川真理子ディナーショーにゲスト出演して来ました。イギリスのエドワード王子も来店したことのあるという、一軒家を改築した格式高いお店です。
今回は東京からシャンソン歌手、田尻勝久さんをお招きして3人の歌手でお送りしました。ドキドキの本番を終え、楽しみはもちろん打ち上げです!
コンサート後なので、少し遅い時間でしたが福井の繁華街片町にある「猿の盃」という、遅くまでやっている居酒屋さんが打ち上げ会場でした。居酒屋といっても、かなりきれいな内装で、オシャレな小料理屋さんという印象。ミュージシャンと歌い手、スタッフの方で、まずはビールで乾杯! そして、福井といえば越前蟹!
この日は、福井でよく食べられているズワイ蟹のメス「セイコ蟹」をいただきました。セイコ蟹は身は少ないのですが、内子といわれる未成熟の卵、外子といわれる腹の外にある卵があります。これが、オスのズワイ蟹にはない絶品なのです。東京ではほとんどお目にかかることがないのですが、福井や北陸ではスーパーに売っているくらいポピュラー。
オスのズワイ蟹より値段も安くて卵も味わえる、ある意味、北陸の家庭の味です。そして、福井名物鯖のぬか漬け「へしこ」をいただきました。こちらはかなりしょっぱく、まさにお酒のおつまみ。こちらのお店では、少し炙って出してくれました。白いご飯や、お茶漬けにもピッタリ! これも、家庭の味です。
ひね鶏も、福井ではよく食べられますが東京ではほとんど見たことがありません。閉経して卵を産まなくなったメス鶏です。身が固く、締まっていて噛むたびに味わい深いお肉です。
そして、福井と京都は隣県で京都でもよく見る生麩田楽をいただきました。モチモチで美味しい~! 生麩大好きです! そして、シメはやっぱり福井名物おろしそば! 太くて黒めのお蕎麦に、辛味大根、ネギ、かつお節をかけた冷たいお蕎麦。福井で蕎麦と言ったらこれです。年越し蕎麦も、我が家はおろし蕎麦です。キンキンに冷えた関西風のお出汁と、大根でこんなに辛いの!? というくらい辛い辛味大根。お酒の入った火照った体に、心地よい刺激を与えてくれます。
そして、猿の盃をあとにし、片町にある伯父が経営するバー「jugo」でシングルモルトウイスキー「ラフロイグ」の水割りを一杯だけいただきました。私の酒好きは、確実に家系から来ていると思われます。
そこから、ライブバー「Jake」にはしご。マスターの芹沢信治さんはご自身もお歌いになられるアーティスト。写真のとおり、すぐにでもジャムセッションを始められるよう、楽器がセッティングしてあります。内装もとても格好よいです。この時点で午前様。翌日は朝から観光予定だったので、ここでいったんお開きになりました。
翌朝、小雨降るなか7時半に出発。まずは福井駅前の恐竜を撮影。福井は恐竜の化石発掘などでも有名で、大きな恐竜博物館もあります。「フクイ」の名の入った恐竜たち。結構リアルで、子供が見たら泣き出してしまいそうです。
そこから福井の観光名所「東尋坊」に向かいました。何度も訪れている東尋坊ですが、東尋というわるいお坊さんを突き落としたから「東尋坊」と呼ばれていることを初めて知りました。自殺の名所として有名ですが、断崖絶壁の自然の作り出した造形美に圧倒されます。
人間じゃ、作れないようなものを作り出してしまう自然の偉大さを感じることができます。海が荒れているときは、本当に怖くて近づけませんが、この日は穏やかな海で崖っぷちギリギリまで行くことができました。ハイヒールの女性は、絶対に離れたところから見ることをオススメします。
そして、少し体も冷えたところで岩場カフェでコーヒータイム。スターバックスコーヒーがなかった鳥取県にできて、話題になった「すなば珈琲」からアイデアを得てできたのが、こちら「岩場コーヒー」。すごいネーミングセンスです。あっぱれ!
オシャレな内装と、海を臨みながらお茶できるソファ席は本当にくつろげて、とてもよいお店でした。ほかにも、浜焼きのお店などもたくさんあり、食べ歩きも楽しめます。
お土産屋さんもたくさんあるので、ここでお土産を買うのもオススメです。私は海産系のお土産を中心に買いました。
そこから、海岸沿いをずーーっと走って海を見ながら入れる温泉「漁火温泉」に到着しました。以前、JRの広告にも使われていた温泉です。小さい頃から何度も来ている温泉ですが、何度行っても飽きない絶景です。お風呂でさっぱりしたあと、目の前の道の駅で越前蟹を物色。タグ付き蟹の値段に驚き、大きさも綺麗さも兼ね備えた蟹にただただ驚きました。
越前蟹は高級品なので、この日は甘エビやタラを買って帰りました。そして、福井名物「ソースカツ丼」を食べに、王道「ヨーロッパ軒」へ。今回は神明分店にお邪魔しました。元祖ソースカツ丼、ヨーロッパ軒のソースカツ丼は薄めのトンカツに特製ソースが絡めてあり、福井の名物料理の定番! 私達は、サラダ、お味噌汁付きのカツ丼定食を注文しました。
サラダは爽やかなフレンチドレッシングでとっても美味しい。カツの特製ソースも、しつこくなくてご飯が進みます。かなりボリューミーな定食ですが、美味しくてアッサリ完食。福井では、おろし蕎麦とソースカツ丼のセットというのもよく見かける組み合わせです。
お腹いっぱいになったところで、夜に東京でお仕事という田尻さんをJR鯖江駅までお送りしました。福井から東京へは、金沢まで出て、2015年にできた北陸新幹線で東京という行き方もできるようになりましたが、田尻さんは米原まで出て、東海道新幹線で東京まで帰られました。
そこから、鯖江といえば! 福井の日本酒といえば! 吉江町の「梵」にお邪魔して、お土産の日本酒を買いました。この時期ならではのにごり酒と、持ち運びしやすい小さいサイズの物を購入。この青いボトルが私はとっても好きです。
東尋坊で買った蟹味噌の缶詰、セイコ蟹のパスタソースを買いました。今回は雪も降らず、安全な福井の旅になりました。大雪の福井で、温泉や荒れ狂う日本海もまた素敵なんですけどね。
東京で育った私にとって、母の実家の福井は癒しの故郷です。自然と歴史と、なんといっても食べ物がすこぶる美味しい! これからも、福井のよさを伝えていけたらと思います。
2016年の歌い納めは福井でした。今年もこの連載を読んでいただきありがとうございました。2017年も、ボーカリスト琴音の音楽旅をよろしくお願いいたします。