えきねっとQチケを無人駅で利用してみた

田沢湖線の前潟駅。ここは無人駅で、Qチケ用のQR読み取り装置や自動改札機は設置されていない。そういう場面でのQチケ利用が今回のお題

　以前の記事で、JR東日本が2024年10月1日に東北エリアでサービスを開始した「えきねっとQチケ」の、基本的な使い方について紹介した。このときには、QR読み取り装置を備えた自動改札機で入出場する使い方を取り上げた。

　今回は、無人駅でQチケを利用する場合について取り上げる。なお、入出場の方法が違っていても、きっぷを購入する際の手順に違いはないので、それは割愛する。

自動改札機がない駅では「セルフチェックイン」「セルフチェックアウト」

　QRコード読み取り装置を備える自動改札機が設置されているのは、幹線の主要駅に限られる。利用が少ないローカル線の無人駅にまで、いちいち自動改札機を新設するのは現実的ではない。

　そこで、自動改札機が設置されていない駅でQチケを利用する場合には、セルフチェックイン（入場処理）とセルフチェックアウト（出場処理）を用いる。つまり、手作業で利用開始、あるいは利用終了の操作を行なったうえで、そのことを示す画面を有人駅なら駅係員、無人駅なら乗務員に提示する仕組みである。

　セルフチェックイン・セルフチェックアウトを必要とするかどうかは、JR東日本のWebサイトにある、各駅ごとの駅情報で確認できる。「改札口情報」以下の「えきねっとQチケ利用方法」で「えきねっとチケットレスアプリでセルフチェックイン・セルフチェックアウト」とある駅では、入場ならセルフチェックイン、出場ならセルフチェックアウトを使う。

　なお、乗車駅に自動改札機があり、降車駅は無人駅（あるいはその逆）という場面も考えられる。この記事を書くために試した経路がまさにそれで、盛岡駅と、田沢湖線の前潟駅の間を往復した。盛岡駅はもちろん自動改札機があるが、前潟駅は無人駅で自動改札機がない（Suica用の簡易改札機はある）。

　そこで、盛岡駅で入出場する際にはQRチケット画面を表示させて、自動改札機の読み取り装置にかざす。一方、前潟駅で出場する場合にはセルフチェックアウト、入場する場合にはセルフチェックインを行なう。

前潟駅の駅情報ページ。セルフチェックインで利用してください、となっている様子が分かる

「盛岡→前潟」で試してみた。もちろん、盛岡で入場する際には自動改札機を使う

セルフチェックイン/アウトでは位置情報を使う

　まず、手動で行なう方法から。この操作を行なうときには、えきねっとチケットレスアプリの位置情報を、「常に」または「常に許可」に設定する必要がある。「アプリの使用中のみ許可」ではない点に注意したい。

　その理由は、端末の位置情報と、セルフチェックインまたはセルフチェックアウトの対象になる駅の位置を突き合わせて、正しく操作が行なわれているかどうかを確認するため。

　そのため、セルフチェックインもセルフチェックアウトも、対象となる駅、あるいはその近隣にいなければ操作できない。

　そこで気になるのは、無人駅でワンマン列車から降車する場合だ。

　下車駅に到着する寸前になると、セルフチェックアウトが可能になる。そこで直ちにセルフチェックアウトを行ない、QRチケット画面を乗務員に見せて降りる、という流れをこなす必要がある。乗務員が見ている前で操作すれば、操作が済むまで待ってもらえるはずだが。

セルフチェックインとセルフチェックアウトを利用するために、「えきねっとチケットレス」アプリで、位置情報へのアクセスを「常に許可」に設定する

「えきねっとチケットレス」アプリで、「前潟→盛岡」の乗車券を購入してみる。普通乗車券で普通列車を利用する分には、列車はどれに乗っても構わないのだが、列車を指定することが意味を持つ場面もある。それは次回に

逆方向の「前潟→盛岡」の乗車券を購入すると、往路とは異なる表示が現われる

セルフチェックインの必要がある駅を乗車駅とする乗車券を購入した場合、セルフチェックインに関する案内が表示される。後述する「セルフチェックイン（自動）」と「プッシュ通知」の有効化は、ここで設定できる

手動でセルフチェックイン/アウトする

　セルフチェックインを行なう際には、セルフチェックインの対象になる駅、あるいはその近隣に来たところで、QRチケット画面の「利用開始」をタップする。この操作により、セルフチェックインの候補駅が表示されるので、それが自分が入場しようとしている駅と同じであれば、「はい」をタップする。

　購入したきっぷの乗車駅と、近隣にある駅が一致していなければ、操作できる駅がないというエラーになる。

セルフチェックインの操作は、QRチケット画面で「利用開始」をタップすることで行なう

セルフチェックアウトも同様に、QRチケット画面で「利用終了」をタップすることで行なう

　注意が必要なのは、セルフチェックイン操作を行なっても、QRチケット画面の表示内容は自動的に変化しないこと。セルフチェックインを行なったら、いったんQRチケット画面を閉じて再度表示させると、入場できたかどうかを確認できる。

　セルフチェックアウトも要領は同じ。セルフチェックアウトの対象になる駅、あるいはその近隣に来たところで、QRチケット画面で「利用終了」をタップする。QRチケット画面をいったん閉じてから再表示しないと表示が変化しないのは、セルフチェックインの場合と同様。

前潟駅に到着するよりもしばらく前に、前潟駅で降車するためのセルフチェックアウトを行なおうとしても、位置情報との照合によりエラーになる

降車駅の前潟駅に到着する寸前になって操作したところ、セルフチェックアウトの候補駅として前潟駅が表示された

そこで「はい」をタップすると、この画面になる

前潟駅でセルフチェックアウトを済ませたあとのQRチケット画面。「出場 | 前潟駅」と表示されているのが分かる

　このセルフチェックインとセルフチェックアウトは、途中下車を行なう場合にも必要になる。

セルフチェックインの自動化

　セルフチェックインについては、対象となる駅に近付いたときに（距離は約100m程度とされている）、自動的に「セルフチェックインできますよ」というプッシュ通知を表示する仕掛けがある。これを「セルフチェックイン（自動）」という。

　もちろん、その時点で有効なきっぷを購入済みである場合の話である。きっぷの購入が完了したときに、セルフチェックイン（自動）を使用する設定とプッシュ通知を有効にする設定を行なえる（先に挙げた画像がそれ）。

　この機能のミソは、プッシュ通知の画面でセルフチェックインを行なえること。つまり、いちいちQRチケット画面を表示させてチェックインするのと比べると、手間が少し減る。

　もっとも、この機能はGNSS（Global Navigation Satellite System：GPSなどの総称）による測位の状況に依存するから、確実を期するために自分の意思で＆手作業で行なう、という考えにも理はあろう。

前潟駅でセルフチェックインを済ませて……

「入場 | 前潟駅」となったQチケの乗車券を用いて、列車に乗る

　なお、「セルフチェックイン（自動）」を利用できるのは、きっぷの利用を開始する際の乗車駅に限られる。途中下車したあとの再入場では、必ず手作業でのセルフチェックインが必要になる。

　また、目的地の駅に着いたときのセルフチェックアウトは常に手作業で行なうことになっている。明示的に「出場しましたよ」と操作する方が間違いがないのは確かだ。