井上孝司の「鉄道旅行のヒント」
東北でえきねっとQチケを使ってみた。Suicaエリア外もスマホでチケットレスに
2024年12月11日 06:00
JR東日本は2024年10月1日に東北エリアで、「えきねっとQチケ」のサービスを開始した。要するにQRコードを利用するチケットレスサービスだが、以前に紹介したJR九州の「QRチケレス」とは異なるところもある。
「えきねっとチケットレス」アプリが必須
まず、もっとも重要な話を最初に書く。
「えきねっとQチケ」では、乗車の際に使用するQRコードが、スマートフォンアプリ「えきねっとチケットレス」の画面に表示される。だから、利用に際してはスマートフォン、「えきねっとチケットレス」アプリのインストール、それと「えきねっと」への会員登録、の3点セットが必須だ。
これを書いている2024年12月の時点では、対応エリアは東北地方、おおむね磐越東線・磐越西線より北のエリアに限られる。新幹線と特急列車については、東北新幹線(郡山~新青森)、秋田新幹線(盛岡~秋田)、山形新幹線(福島~新庄)、在来線特急が「ひたち」(いわき~仙台)、「つがる」「スーパーつがる」(秋田~青森)が対応する。
JR東日本以外の線区、JR東日本でも関東・信越エリアを含む場合、JR東日本BRT、それと気仙沼線の前谷地~柳津間を含む経路では、利用ができない。気仙沼線の前谷地~柳津間は、実態として、その先のBRTとワンセットとみなされているということであろうか。
なお、関東・信越エリアについては、今後の拡大が予定されている。
特急券と乗車券がワンセット
交通系ICカードを使用する「新幹線eチケット」や「スマートEX」、あるいはJR九州のQRチケレスと同様、「えきねっとQチケ」も、新幹線や在来線特急を利用する場合には、特急券と乗車券がワンセットになる。
だから、利用するのが在来線特急のみ・新幹線のみなら話はシンプルだ。予約購入を済ませて、入出場時にQRコードを自動改札機に読み取らせるだけである。
では、在来線特急や新幹線と、在来線の普通列車を乗り継ぐ場合はどうか。「新幹線eチケット」や「スマートEX」は新幹線だけで完結しており、前後の在来線は別切りである。「えきねっとQチケ」はどうか。いくつか調べてみた。
まず、在来線特急と普通列車の乗り継ぎ。この場合、乗車券は全区間を通算する形となり、そこに特急券がセットになる。
例えば、常磐線のいわきから東北本線の国府多賀城に向かう場合、「いわき→国府多賀城」の乗車券3080円と、「いわき→仙台」の特急券2140円の合計になる。
では、新幹線と普通列車の乗り継ぎはどうか。こちらも同様で、乗車券は全区間を通算する形で計算され、そこに新幹線の特急券がセットになる。
例えば、盛岡から在来線で一ノ関まで来て、そこから新幹線の自由席で仙台に向かう場合。「盛岡→仙台」の乗車券3410円と、「一ノ関→仙台」の新幹線自由席特急券1870円の合算となる。
いずれにしても乗車券は通算だから、乗車する列車ごとに別切りになったために遠距離逓減制が効かなくなって割高、なんていうことは起こらない仕組みである。
Qチケが使える場合・使えない場合
「えきねっとQチケ」の対応エリア外にまたがる利用では、当然ながら「えきねっとQチケ」は利用できない。エリア内でも場合によるようだ。
「えきねっとQチケ」の利用が可能であれば、「えきねっと」で乗車駅と降車駅と日時を指定して列車を検索、表示されたなかから利用する列車を選択した段階で、「特急券・乗車券の申込」以下の「きっぷの種類」として「えきねっとQチケ」が現われる。「えきねっとQチケ」を利用できない経路・列車では、この選択肢は出ない。
そこでさらに、自由席・指定席・グリーン車などの選択を行なうと、料金が表示される仕組みとなる。これは「新幹線eチケット」や紙のきっぷと同様。
なお、JR九州の「QRチケレス」と異なる点として、Qチケから紙のきっぷ、あるいはその逆の変更ができない点が挙げられる。JR九州は「購入した商品に対応するきっぷが、紙またはQR」という考え方だが、JR東日本は「QRのきっぷという商品」という考え方になるわけだ。
実際に使ってみると
乗車用のQRコードは、当日の午前5時を過ぎてから初めて、アプリの画面に表示可能になる。もちろん、その前から予約一覧の確認はできる。そこで「QR」と表示されているから、「えきねっとQチケ」で購入したことは確認できる。
利用に際しては、予約一覧のなかから「えきねっとQチケ」で予約を入れたものを選んで、「QRチケットを表示・配布する」をタップ。続いて、「会員ご本人様のQRチケット」以下の「QRチケットを表示する」をタップする。
いささか迂遠だが、同時に複数名の予約を入れることもでき、同行者に対してはQRチケットを配布する必要があるため、こういうことになったようだ。
なお、QRチケットの画面はスクリーンショットを撮る機能が無効化されている。
入出場の方法は、大きく分けると3種類ある。もっとも分かりやすいのは、「えきねっとQチケ」に対応する読み取り装置を備えた自動改札機を利用する方法。筆者が試用したときには、この方法を選んだ。
今回の試用では、盛岡~一ノ関は在来線、一ノ関~仙台は新幹線を利用して、「在来線における途中下車」と「在来線から新幹線へ乗り換え」を試した。100kmを超える乗車券であれば、紙のきっぷと同様に途中下車が可能である。
いずれの場面でも、自動改札機にQRチケットを読み取らせるだけであり、紙のきっぷやICカードで自動改札機を通る場合と、感覚的な相違はないといってよい。
駅での入出場を行なうと、QRチケットの画面、それと「申込内容詳細」画面の下端で、どこの駅で、入場あるいは出場したかという情報が表示される。途中下車の場合、同じ駅で「出場」続いて「入場」となるわけだ。
今回は、ごく基本的な使い方の話に限定したが、「えきねっとQチケ」では入出場の方法が自動改札機以外にもあるなど、まだ取り上げたい話はある。それは追って、実際に試してみたうえで記事にしたい。
【お詫びと訂正】初出時、新幹線の割引きの記述に誤りがありました。お詫びして訂正いたします。