トラベルグッズレビュー

簡単に膨らみ、あっという間に片付けられる快適エアーマット

WindCatcher「AirPad 2」

WindCatcher「AirPad 2」

 夏といえば、キャンプに音楽フェスに海水浴にと、いろいろなところに出かける人が多いだろう。こうした屋外レジャーの場合、地べたに座る羽目になりがちなので、なんらかの敷物があると便利。ただ、普通のレジャーシートだと、クッション性がないのでお尻が痛い。キャンプやフェスや海水浴で疲れたあと、横になって休めたらもっとうれしい。

 そこで、米WindCatcherのエアーマット「AirPad 2」を購入して出かけてみた。

 WindCatcherの「AirPad」は、もともとクラウドファンディングの「Kickstarter」で資金を集めて商品化されたエアーマットだ。その2代目がこのAirPad 2となる。初代は日本での販売はなかったが、AirPad 2は日本のAmazon.co.jpで購入できるようになった。「iPad Air」と勘違いされそうな名前だが、空気を入れて膨らませる、一人用のマットだ。

 本体サイズは188×51cm(長さ×幅)と大きめでゆったり。膨らませた時の厚さは10cmほど。膨らませた状態で座ると、かなり沈み込むが、横になると全体に空気が行き渡り、しっかりと体を支えてくれる。

 最大の特徴がその膨らませ方。エアーマットの例に違わず、空気を送り込んで膨らませるのだが、ポンプなどは使わず、息だけで膨らませられる。一見すると非常に大変そうなのだが、ここに新しい工夫が盛り込まれている。

収納は3つ折りにしてあるので、まずは広げる
吸入口には説明書き。まずは出ている“ベロ”をまっすぐ中に入れる。これが逆止弁となる
ちょっと分かりにくいが、吸入口はこんな感じ

 吸入口はかなり大きく、ここをちょうど◇型になるように開き、5cmほど離した位置から息を吹き込む。Webサイトの説明によれば、吹き出す呼気と周囲の空気が同時に吸入され、吸入量が10倍になるらしい。吸入口は逆止弁になっており、吸入された空気が逃げないようになっている。

あとは一生懸命息を吹き込む
すぐに膨らんでくれる

 空気の吹き方は、「誕生日のケーキのろうそくを吹き消すように」と表現されており、個人的に経験のあったサックスを吹くようにするといい感じだった。

 同様に空気で膨らませる浮き輪などは、息だけで膨らませようとするとかなり大変で酸欠気味になるし、時間もかかる。ところがこのAirPad 2の場合、1回の呼気だけでかなりの空気が入る。サイトの動画を見ると数回で膨らんでいるように見えるが、自分で試したところ10~15回程度の吹き込みは必要だった。それでも、使う体力、時間を考えればかなり優秀な仕組みだと思う。

 そして、一定のレベル(95%)まで膨らんだら、今度は吸入口に近づけて吹き込むことで完全に膨らませるよう指示されている。逆止弁に逆らって呼気を吹き込むため、最後の作業が必要のようだ。

 十分膨らんだと思ったら、吸入口を巻き込みながら折りたたみ、フックを引っかければ完成だ。吹き込む息の量や肺活量にも影響されるだろうが、2分ほどで全体が完成する。実に簡単。空気入れのような道具を使う必要もなく、素早く空気を入れられるのがうれしい。ちなみに、ホース付きの空気入れで同様に5cmほど離して試してみたところ、これでも膨らませられたので、空気入れが手元にある場合はこちらを使ってもいいだろう。

 AirPad 2では、初代に比べて空気入れの口を閉じるためのフックが用意され、素早く開け閉めができるようになった点や、収納時のゴムバンドが追加された点など、使い勝手が向上した。キルト上のデザインになりより快適性も増しているそうだ。

膨らんだ。これはちょっとゆるめに入れてある
最後に吸入口を巻き込んでいく
AirPad 2で新たに装着された「G-HOOK」で留めれば完成

 頑張って膨らました状態でも、「パンパンに膨らむ」というほどではなく、座り込むとかなりへこむ。しかし、そこから横になると、均等に空気が行き渡るためか、エアーマットらしい、中空に浮いているような寝心地で利用できて、かなり快適だ。バッグを下に置いて、マットの一方に角度を付けると、枕のようになって、これもいい感じ。

 難点は、座り込むと大きくへこんで、ほぼ地面にお尻がついてしまう点。下が固めの地面だと痛くなりそうだし、AirPad 2自体の内部にある固い部材に当たるのも気にかかる。二人で座ったり、ちょっと横に寝るだけで、空気が移動してそういった点は気にならなくなるので、使い方をちょっと工夫すると良さそう。

 空気を少なめに入れて半分に折って座るというのも手だろう。注意表示は見当たらないが、想定された使い方ではないかもしれないので、このあたりは個人の自己責任で試した方がよさそうだ。

完成したところ。途中、撮影もしたため時間がかかったが、膨らませるのに要したのは2分ほどだった
厚みはそれなりにある。このぐらいでも寝っ転がると空気が体を支えてくれる
片付けるのは、先ほどのベロを引っ張り出して三つ折りにして巻き込んでいくだけ。最後はこちらも新搭載のバンドで止めればいい。カバーはないので、汚れがひどいときはビニール袋でも用意した方がいいかもしれない

 空気を入れて膨らませるよりもとにかく簡単なのが片付け。吸入口を開き、手を入れて逆止弁のタグを引っ張り出せば、空気が一気に抜ける。ものの数秒で半分以下まで空気が抜けるので、あとは元通り3つ折りにして、吸入口と逆の方からロールケーキを巻くようにしていくと、空気が吸入口から抜けていくので、そのまま片付けることができる。最初にキレイに空気を抜かなくても片付けられるので、空気を抜き始めてから、ものの1分程度で収納可能。最後は本体に付いているバンドで留めれば完了だ。

 想像していたよりも膨らませるのは大変だったが、逆に片付けは思った以上にラク。膨らませるのもそれほど苦ではないので、ちょっとした時間があれば膨らませて休み、すぐに片付けて出発、という動きもしやすい。

 厚みもあって、かなり寝心地はよく、横になるには最適。キャンプやフェスは朝早くから移動することも多く、到着してからちょっと一眠り、といった場合にも、短時間でぐっすり寝られる。

 丸めればコンパクトなので、リュックにも収まりがいい。テント内で寝るときにも、もちろんいいだろう。屋外で遊ぶ際には、1つ持っておくととても便利だと感じた。

WindCatcherが公開している「AirPad 2」の紹介ビデオ
製品名AirPad 2
発売元WindCatcher
実売価格(税別)1万6800円
(小山安博)