週末駅弁

熊本駅「鮎屋三代」

「鮎屋三代」

 九州、熊本県の球磨川とその上流の支流 川辺川で獲れた天然鮎を使った駅弁が今回紹介する「鮎屋三代」です。明治時代に鮎の行商をしていた初代が八代市で創業したのが、製造元の頼藤商店。その三代目が受け継がれてきた伝統の味をお弁当という形にしたから「鮎屋三代」。

 八代駅の駅弁だけにちゃんと八代で食べたかったのですがかなわず、今回は熊本駅で購入。鮎の塩焼きと甘露煮の2種類が販売されていますが、今回は甘露煮をいただきました。

球磨川/川辺川で獲れた鮎を丸ごといただく「鮎屋三代」の甘露煮バージョン

「鮎屋三代」といえば大きな鮎が丸ごと一尾入っているのが特徴だと思っていましたが、蓋を開けると少し小ぶりの鮎が二尾。一瞬あれ?とは思いましたがそういうこともあるんだなぁ、くらいの気持ちで箸を進めます。焼き鮎からとった出汁で炊き込んだご飯がまず美味しい。淡い鮎の味にきのこの食感がアクセントになっていて味、食感ともに上品な感じがします。これだけでもちゃんと鮎のお弁当です。

鮎はもちろん、焼き鮎の出汁で炊いたご飯もとても美味しい

 そして主役の鮎。甘露煮だから色も濃いし味もしっかりとしているのですが、けっして甘過ぎることはなく、苦味も感じる鮎らしい味わいが楽しめます。骨も内臓も丸ごと食べているからこその満足感なのかもしれません。

 以前塩焼きバージョンをいただいたことがあり、個人的には素材感というか鮎らしさや炊き込みご飯との相性は塩焼きの方に軍配をあげちゃいますが、それでもかつて九州の駅弁ランキングで3年連続1位をとったという甘露煮バージョンはお勧めするのに十分な美味しさです。

 淡白な味付けのれんこん、ちょっと削り節の味を感じる梅干し、酸味が効いていてさっぱりとした生姜の酢漬けなど、一品一品に存在感を感じる品が脇を固めているので、とても食事が楽しめます。笹の葉の香りもいい感じです。ちなみに玉子焼きはほんのり甘め、しいたけはしっかり甘めです。

ご飯の上にのった一品一品が存在感をしっかり主張する味付けです

 鮎を丸ごと楽しみながら、けっして単調にならない上品な「鮎屋三代」。苦味も大きな魅了という大人の人向けの駅弁だと感じます。

掛け紙の両面にこの弁当のことや頼藤商店、八代市の豆知識がびっしり書いてあります

「鮎屋三代」

価格: 1450円
販売駅: JR九州 熊本駅
購入場所: 銘品館熊本駅新幹線口店
購入日: 2023年6月8日