荒木麻美のパリ生活

フランス最大の天然湖も。古代ローマ時代から続く温泉保養地・エクス=レ=バンへの旅(前編)

療養のために訪れる人も多いフランス・エクス=レ=バンへの旅行記をお伝えします

 3月から新型コロナウイルスのために外出禁止になるとは思っていなかった2月下旬、3泊4日でエクス=レ=バンというところに旅行に行っていました。

 エクス=レ=バンまではパリのリヨン駅から3時間ほど。フランス東部のサヴォワ地方、ブルジェ湖の東岸に位置する温泉の町です。古代ローマ時代から続く温泉保養地です。

エクス=レ=バン駅

 ここには私のような観光客ではない、医者の処方箋を持って療養のために滞在する人だけで年間3万人ほどが訪れるそう。町中には医者の看板もすごく多かったです。

町にあるテルム(温泉施設)に療養のために通う人は、青いバックを持っているのですぐ分かります

 夏の観光シーズンには町中に人があふれているそうですが、私たちの滞在した2月はとても静か。ただし2月なので寒いのはもちろんですが、曇り、雨、雪、みぞれ、ときどき晴れという感じで、天気がとても変わりやすかったのには驚きました。

 エクス=レ=バンで滞在したのはアパートホテルです。駅から近く、部屋はとても清潔、ワンベッドルームですが簡易キッチン付きでとてもよかったです。

Les Loges du Park

所在地: 70 Rue Jean Louis Victor Bias, 73100 Aix-les-Bains
Webサイト: Les Loges du Park(英語)

Les Loges du Park

 エクス=レ=バンのホテルに泊まるとバス乗り放題チケットをもらえるのですが、これがとっても便利! 付近の町までも行けるので、クルマのない私たちの滞在中に大活躍でした。

 荷物をホテルに置いてさっそく散策へ。まずは観光案内所に立ち寄って観光案内マップをもらい、日替わりでガイドツアーをやっているというので申し込みました。

もともとはテルム施設で、現在は新市役所となった建物の中に観光案内所があります
こちらは旧市役所。結婚式などはこちらで
2つの市役所の真ん中あたりには、カンパヌスの門(Arc De Campanus)という、1世紀にローマ人が建てた門が残っています

 市役所を出て、町の中心地にあるカジノを見学に行きました。建物内の天井が何とも美しいので、カジノをしない人も、これは必見です。

カジノ

 その後、フランス最大の天然湖であるブルジェ湖に。町の中心地から歩くと30分ほどですが、バスだと10分くらいなので、さっそくバスチケットを使います。

 ブルジェ湖の水の透明度は高く、鳥の声を聞きながらのんびりと散歩をしました。ここも夏は大変なにぎわいなのでしょうね。

ブルジェ湖

 別の日に行ったフォーレ美術館(Musée Faure)もお勧めです。1階は企画展で、2階と3階はフォーレ医師の個人コレクションを常設しています。2階は印象派の絵画、3階はロダンの彫刻が多数展示されていました。

フォーレ美術館(Musée Faure)

 常設展示の内容はときどき変わっているそうで、学芸員によると「倉庫には藤田嗣治の作品もありますよ」とのことでした。

Musée Faure

所在地: 10 Boulevard des Côtes, 73100 Aix-les-Bains
Webサイト: Musée Faure(仏語)

 天気のよいときは町の西にあるコルシュエの森(Forêt de Corsuet)でのハイキングもお勧めです! ハイキングコースがいくつもあって、老若男女問わず森林浴を楽しめます。

コルシュエの森(Forêt de Corsuet)でハイキング

 エクス=レ=バン到着時に観光案内所で申し込んでいたツアーですが、充実した内容でした。私たちが参加したのはエクス=レ=バンのテルム(温泉施設)の歴史ツアーと、ル・ロワイヤルという歴史ある建物探訪の2種類。どちらも一般公開はされておらず、参加費は1人6ユーロ(約720円、1ユーロ=約120円換算)で、約1時間のツアーです。

 テルムの歴史ツアーは、古代ローマ時代の浴場や、昔のテルム見学がメインです。どちらも新市役所内に保存されています。5年後には歴史のある部分を保存しつつ、この新市役所全体が大規模に建て直されるとのことでした。

テルムの歴史ツアー

 なお現在のテルムは新市役所のすぐ裏にあり、ヴァルヴィタル(ValVital)という会社が運営しています。

 テルムの中に入ると、処方箋を持った人が行くエリアとそれ以外で受付が分かれています。一般の人は入浴だけの利用のほか、各種マッサージや水療法などを希望により受けることができます。

ヴァルヴィタルはフランス各地でテルムを運営しています

 私は入浴のみで入りました。入浴のみであれば平日19ユーロ(約2280円)、週末21ユーロ(2520円)。割安となる回数券や夜間料金もあります。

 中には屋内外の温泉(というか温水プール)と、蒸気風呂のハマム、サウナがあります。

Valvital - Thermes Chevalley Aix-les-Bains

所在地: 10 Route du Revard, 73100 Aix-les-Bains
Webサイト: Valvital - Thermes Chevalley Aix-les-Bains(仏語)

 1914年に建てられたル・ロワイヤルは、フランスのホテル格付け最高位にあたる「パラス」ホテルでした。新市役所から徒歩数分のところにあります。現在はアパートとなっていますが、もともとの所有者であったファミリー一族は今も隣に住んでいるそうです。

ル・ロワイヤル
床の板やタイル、天井の装飾などすべてが繊細で美しい

コスパが高いエクス=レ=バンのレストラン

 朝と夜はホテルで自炊していたので、エクス=レ=バンで行ったレストランは2軒。どちらも吟味して行ったので大満足でした。

L'ardoise

所在地: 20 Rue des Bains, 73100 Aix-les-Bains
TEL: +33(0)4 79 54 76 84

 L'ardoiseはテーブルが少ないので予約必須です。平日の昼だというのに、私たちが食べている間も「今満席ですみません」と何人もの客を断わっていました。私が食べた魚料理は塩とハーブを付けて焼いただけのようでしたが、そのシンプルさがかえってよかったです。

L'ardoise
Le 59

所在地: 59 Rue du Casino, 73100 Aix-les-Bains
TEL: +33(0)4 56 57 11 96
Webサイト: Le 59(仏語)

 ミシュランガイドにも掲載されているレストランですが、平日のランチメニューなら30ユーロ(約3600円)からあります。どのお皿もソースにこだわりを感じました。

「Le 59」

荒木麻美

東京での出版社勤務などを経て、2003年よりパリ在住。2011年にNaturopathie(自然療法)の専門学校に入学、2015年に卒業。パリでNaturopathe(自然療法士)として働いています。Webサイトはhttp://mami.naturo.free.fr/