荒木麻美のパリ生活

パリのBIOチェーン、新規店舗が続々開店

15年で市場が5倍に拡大

 今回はパリにあるBIOのチェーン店についてです。

 有機農法発展振興のために作られたフランスの政府機関「Agence BIO」が発表したデータによると、BIO市場は1999年の1億ユーロから、2014年には約5億ユーロと、15年間で約5倍となっています。同様のデータで、2015年、65%のフランス人が最低1カ月に1回はBIOの食材を食べているとか。

 パリに移り住んで13年の私も、このBIO市場の増加をはっきりと感じています。前のアパートのまわりにもたくさんありましたが、今のアパートの周囲では、BIOのチェーン店が徒歩圏内になんと5軒もあります。

 パリにある主なBIOのチェーン店は以下のとおり。私がよく利用している順にご紹介しますが、すべて私が普段行っている店舗を通して私が感じたことです。独断と偏見がかなり入っていることを、あらかじめご了承ください。

Biocoop

Webサイト:Biocoop

 フランスのBIOチェーン店の中で売り上げトップなのがこちら。創業は1984年。チェーン店でも各店舗の名前が必ずしも「Biocoop」ではないので、Biocoopのマークがあってやっと「あ、ここもBiocoopなのね」と分かることも。

 うちの近所にあるのはCanal Bioという名前なのですが、野菜が美味しいので、パニエで足りない分のほとんどはここで買っています。

 日本で食べているような粘り気のあるお米は「Riz Rond Blanc(丸い白米)」というのですが、このお米もシリアルコーナーにある量り売りで買っています。昔は日本食材店まで行って日本米を買っていたこともあったのですが、重いお米を担いで帰ってくるのは大変ですし、今では白米よりも家で発芽させた玄米(Riz Rond Complet:丸い全粒米)を食べることが多いので、BIOのお店のもので十分です。

これがシリアルの量り売りコーナー。ナッツ類もこちらになります
袋に好きなだけ入れて、量りに乗せて商品名のボタンを押すと、値段の書かれたシールが出てきます
季節の野菜たちが並んでいます
醤油、蕎麦、味噌、梅干し、海藻など、和食材も並んでいます
サプリコーナー
チーズは量り売りでも売っています

 ほかにはBiocoopオリジナル商品が充実しているので、私はこれを買うことが多いです。

 店内ではBiocoopが出している無料の冊子や、「Biocontact」という、エコやBIO、健康に関する雑誌なども無料配布されています。Biocontactは大変人気があるようで、店舗に置かれるとすぐになくなってしまうため、あったときには「やったー!」という感じです。

左がBiocoopの発行している雑誌で、右が「Biocontact」。お肌のお手入れについての特集でした。福島の話題も
店内には食事療法やヨガ、各種セラピーなどのチラシが置かれたコーナーもあります
この日は店舗前で手作りコスメやエコバック作りの体験をやっていました
Les Nouveax Robinson

Webサイト:Les Nouveax Robinson

 1993年創業。ここには注文したパニエを取りに行くので、そのついでに必要な物があれば買うという感じで利用しています。

 私が行っているLes Nouveax Robinsonは小さい店舗なので、品揃えが十分とはいえないのですが、うちの近所で過炭酸ナトリウム(酸素系漂白剤)を売っているところがここしかないので、これは必ずここで買っています。

 昔、まだBIOのお店があまりなかった頃、パリ近郊、パリの東のエリアになるのですが、モントルイユという街にLes Nouveax Robinsonの大きな店舗があり、そこにときどき行っていました。ここはとにかく商品が豊富で、店員さんがそれはもう熱心で話していて楽しかったです。近所に住んでいたら今でも行っていると思います。

La Vie Claire

Webサイト:La Vie Claire

 1948年に創業した老舗です。

 ここでは食品よりも、サプリ&コスメコーナー利用することが多いです。専属のコーナー担当者がいて、商品知識がきちんとあるので、話していておもしろいのです。ほかの店舗だと、ここまでゆっくりと話をすることはなかなかできません。自社製品のものがコストパフォーマンスもよくてお勧めです。

自社製のArgile(クレイ、粘土)もあります。クレイは色によって顔のパック、火傷、虫刺されの手当て、体内のデトックスなどと使い分けて使用するのですが、フランス人はよく使っているようです。私も家に常備しています
ハーブ専門店に行かないとなかなかないようなハーブティーも揃っています
NATURALIA

Webサイト:NATURALIA

 1973年創業。以前住んでいたアパートから一番近いチェーン店だったこともあり、よく行っていた時期もあったのですが、フランスの流通大手Casinoグループの傘下に入ってから、どうも以前と違う感じになってしまったのと、ほぼ同時期にBiocoopができ、そちらの方が品揃えや品質がよかったので、すっかり足が遠のいてしまいました。今のアパートの近くにもあるのですが、滅多に行きません。

 でもNATURALIAも自社製品を多く出していますし、ここでしか扱っていないブランドもあるので、ファンは多いようです。

Bio c' Bon

Webサイト:Bio c' Bon

 上記のチェーン店よりだいぶあと、2008年から参入したチェーン店です。店舗を急激に拡大している印象です。ここの野菜は美味しい! と友人が言うので、私も何度か買ってみたのですが、「そうかなぁ?」という感じでした。

 登録メンバーを対象に、Naturopathe(自然療法士)とのミニカウンセリングをしたりと、マーケティングに熱心という印象です。

 家の近所に店舗がないこともあり、私はまったく利用していません。

 以上、ざっと各チェーン店の紹介をしましたが、おもしろいのは、同じチェーン店舗なのに、オーナーの方針によるものなのか、店舗内で扱っている商品、質、雰囲気、店員さんのレベルにばらつきがあることです。

 某チェーン店のある店舗では、店員さんがお店の目の前で煙草を美味しそうに吸っていて、さすがにそれはどうかなぁと思ったことも。自分でお店に行って確かめながら、お気に入りのお店、この商品ならここ! というように利用をするのがよいのではないかと思います。

 なお、BIO市場の拡大を受け、普通のスーパーでもオリジナルBIO商品が充実してきています。スーパーで買ったBIOのニンジンが1週間くらいで溶けた(んです!)のを見てからは、野菜はちょっと買う気がしませんが、トイレットペーパーや洗剤などの日用品は大手スーパーで買うこともあります。

大手スーパーチェンMonoprix(ここもCasino傘下)にある自社マークの付いたBIO商品たち

 BIO商品がパリではごく普通に生活に取り入れられていることがお分かりいただけたでしょうか? 日本に比べて価格もお手頃だと思いますし、日本では見かけない珍しい商品もあるかもしれません。機会があれば覗いてみてくださいね。

荒木麻美

東京での出版社勤務などを経て、2003年よりパリ在住。フランス人の夫と黒猫と暮らしています。2011年にNaturopathie(自然療法)の専門学校に入学、2015年に卒業。2016年からは卒業論文を執筆しながらカウンセリングも少しずつですが始めました。