旅レポ

知られざるイスラエルの旅。テルアビブで息を飲む美しさに出会う

イスラエルへ行ってきました

世界有数の観光地、イスラエルへ

 イスラエル観光省主催のプレスツアーに参加してきました、フォトグラファーの深澤明です。イスラエル訪問は初めてです。日本人にとって“イスラエル=観光地”というイメージがあまりないかもしれません。複雑な歴史的かつ宗教的背景があり、得体の知れない国とさえ感じる方もいるかもしれません。

 イスラエル旅行のお勧めポイントを5つ挙げると、

1. ユダヤ教やキリスト教、イスラム教のそれぞれの聖地と呼ばれる場所がたくさんあり、歴史的遺跡も豊富で見応えがある
2. イスラエルの国土は日本の四国に匹敵する大きさなので、移動が楽なうえに南北に長く、気候もまちまちで風景も多彩
3. 比較的英語が通じるので言葉の心配が少ない
4. グルメも豊富
5. 治安がよい

です。

 今回イスラエルには実質6日間滞在しましたので、その様子を豊富な写真とともにお届けし、「イスラエル、すごいぞ~!」ということが少しでも伝わればと思っております。

 日本からイスラエルへは、エルアル イスラエル航空の直行便で行くことができます。現在、日本・成田発は木・日曜、イスラエル・テルアビブ発は水・土曜の週2便を運航しており、成田空港からイスラエルのテルアビブ(ベン・グリオン国際空港)までは12時間半ほどのフライトです。2023年10月31日からは週3便に増便されるほか、2024年春ごろをめどにANAとのコードシェアが実施される予定です。

成田空港から12時間30分ほどのフライトでテルアビブへ。魅惑のイスラエルへの旅の始まりです
現地時間午前2時ごろ、もうすぐテルアビブへ到着。地中海と街の灯りが気分を高揚させてくれます

 テルアビブの「Shalom Hotel」にチェックインを済ませると、現地時間で時計の針は午前4時をまわっていました。今回のプレスツアーのガイドの方とは11時にホテルフロントで待ち合わせ。少しは眠らないと、とベッドに横になりました。

きれいな内装でとても過ごしやすい部屋だった「Shalom Hotel」

 案外早くに目が覚めました。7時前に起きて朝食を済ませて、スマートフォンの地図アプリで現在地を見ていたら、なんと! 地中海がすぐそこであることが判明。カメラを片手に急いでホテルを飛び出しました。

 気持ちよく晴れ渡った空に、地中海の波の音が耳に心地よく響いてきます。風も爽やかです。ランニングをしたり、ビーチで戯れていたり、会話を楽しんだりして多くの人が活き活きとしています。「なんて素敵なロケーションなんだろう」と思わず呟いてしまいました。深夜到着の疲れも吹き飛びます。

 テルアビブのビーチはナショナルジオグラフィック誌の世界ベストビーチ10選にも選ばれたことがあるのだとか。どうりで美しいはずです。テルアビブの夏は長くて、4月中旬から10月中旬ごろまで海で泳ぐことができるそうです。また「テルアビブの白い都市」は世界文化遺産に登録されています。

テルアビブは地中海に面したリゾート地でもあります。街から数分でこの景色。風が気持ちよすぎます
遊び心のある絵に思わず反応。散歩しているだけで楽しい

おしゃれスポット! ヤッフォ旧市街を散策

石畳の旧市街の道を歩く。時空を超えた感覚になる

 さて、ここからが今回のツアーのスタートです。4000年以上前の古代都市からの歴史があるという、地中海に面した港町「ヤッフォ」(Yafo:ヘブライ語)を散策しました。テルアビブでは最も歴史のある地域です。

 旧市街を歩くと、燦々と輝く太陽の光と建物の影とのコントラストが見事で目を奪われました。まるで迷路のような石畳の道を歩くと、「異国の地に来たんだなぁ」という実感と時空を超えたような錯覚になり、のっけからワクワクが止まりません。

 少し開けたところへ出ると、スプーン曲げで日本でも有名なユリ・ゲラー氏(テルアビブ出身)にちなんだ大きな曲げられたスプーンのモニュメントがありました。長さ16m、重さ11トンでユリ・ゲラー博物館の前にあたります。さらに歩を進めると、大階段がありました。奥には聖ペテロ教会の時計塔が見えています。周辺にはショップやレストランなどが並んでいますが、建物の外観の色遣いや質感が統一されていることもあって、どこを向いても絵になります。

 聖ペテロ教会はイエスが亡くなったあと、イエスの弟子であったペテロが、ここヤッフォを起点に布教を始めたことを記念して建造されたもの。1654年に教会が建てられて、二度崩壊したそうですが、現在の建物への改修は1903年に行なわれたそうです。聖ペテロ教会をあとにして見晴らしのよいスポットには「TEL AVIV - YAFO ♥ YOU」と書かれたフォトフレームがあり、テルアビブの街と美しいビーチを一望できます。

 ヤッフォの街のシンボルとなっている時計塔は、イスラエルで最初に作られた時計だと言われています。その通りに面したショップが入った建物は以前、キリスト教巡礼者が宿泊するホテルだったそう。さらにヤッフォの“のみの市”も有名で、金曜(アラブ人のお休み)と土曜(ユダヤ人のお休み)には大勢の人でにぎわうといいます。

時空を超えた旧市街へのトンネルのようにも見える建物の下をくぐる
太陽の光が石造りの質感を炙り出してくれている。どこを切り取っても絵になる
ヤッフォの旧市街の道路標識。星座にちなんで決められているという
日本でもスプーン曲げで有名なユリ・ゲラー氏の博物館前にある曲げられたスプーンのモニュメント。ユリ・ゲラー氏はテルアビブの出身です
聖ペテロ教会の時計塔が奥に見える大階段。周辺にはショップやレストランが並ぶおしゃれスポット
聖ペテロ教会前の広場。石畳できれいな空間が広がっています
イエスの死後、イエスの弟子のペテロがヤッフォを起点に布教活動をした記念として建てられたペテロ教会
ヤッフォの旧市街地区からテルアビブの街と地中海の美しいビーチを望む。白い砂のビーチは13kmにもおよぶ
ヤッフォの大モスク。石造りの造形が美しい
ヤッフォの象徴ともいえる時計塔。イスラエルで初めて作られた時計といわれています
歴史が刻まれた建物と現在とが融合した街なみ。散策するだけでも楽しい
かつてはキリスト教の巡礼者が宿泊するホテルだった建物にはいまはショップが入っています
金曜や土曜には大勢の人でにぎわう“のみの市”。掘り出し物探しもいいかも

美しいテルアビブの街を歩く

 テルアビブは1909年に開拓されてから急速に発展した街です。その前は砂漠だったそうです。モダンなヨーロッパの雰囲気とエキゾチックな中東の雰囲気をあわせ持ったイスラエル経済の中心地です。

テルアビブの次世代型路面電車(LRT)レッドライン。車体の色は世界文化遺産「テルアビブの白い都市」を感じさせる白が特徴的。まだ試運転中
1877年にヤッフォから出てユダヤ人たちが作った街、ネヴェツェデク。ブーゲンビリアが咲くきれいな道が美しい
テルアビブにはカフェが多い。ネヴェツェデクの地中海料理で有名なDALLALのカフェでアイスカフェラテを飲みながら小休憩
ネヴェツェデクは洗練されたショップやレストラン、カフェなどが並ぶ映える街並み
ロスチャイルド通りは海風が爽やかに吹き抜ける市民の憩いの場。キオスクでおしゃべりタイムを楽しむ人も多い

1920年代から栄えるカルメル市場へ潜入

 先ほど訪れたヤッフォ旧市街から出てユダヤ人が街を作りはじめた頃、その人たちへ食料を販売するために発展してきたのがカルメル市場です。いまでもテルアビブ市民にとってはかけがえのない場所であり、観光スポットしても注目されています。

 南側の入口からカルメル市場へ入ると、まずは野菜や果物を販売しているゾーンが続きます。新鮮な果物が豊富に並んでいました。カルメル市場の真ん中あたりは食べ物の屋台ゾーンで、人々の活気が渦巻いています。イスラエル料理や地中海料理だけでなく、タイ料理やメキシコ料理などいろいろ食べ歩きできます。その先の北側は洋服や小物、土産物などが充実しています。

旬の果物や野菜の豊富さに目を奪われました
ランチをカルメル市場の屋台で食べるのもなかなかおもしろい。市場の人との交流も楽しい
市場のメインロードから少し外れた路地裏には、イスラエルのクラフトビールが楽しめる店やおしゃれなレストランが点在しています

夕暮れ時のビーチを歩く

 初日から万歩計は1万歩をゆうに超えていますが、興味深い街並みに疲れを知りません。再びビーチへと来てみました。朝の雰囲気とはまた違って、それぞれの人がそれぞれのときをゆったりと楽しんでいる様子が見て取れました。

太陽が傾き、夕暮れの地中海を望む。海に陽が沈むのは日本人としてもうれしい光景
ワイワイと食事を楽しむ光景。そして、ひとり静かに夕暮れを眺める光景。いずれも幸せなひととき
ビーチの夕暮れはフォトジェニックなシーンの連続。散策が実に楽しい

グルメを堪能

 イスラエルの旅は、初日から濃厚で見応えのあるものでした。夕食はヤッフォにあるイスラエル料理が楽しめる店へ行きました。イスラエルは移民の国でもあるため、世界中からやってきたグルメの宝庫ともいわれています。新鮮な野菜や果物がふんだんに使われたヘルシーな料理が多いのも特徴です。そして、食事の締めにはスイーツを必ず食べるのも、イスラエルでの食事らしさでもあります。

ひよこ豆とタヒニ(ゴマのペースト)のディップであるフムスはイスラエルの代表的な前菜。このイスラエル滞在でフムスの美味しさにハマりました
トマトときゅうりのサラダはイスラエル料理の基本。輸入物ですがシーフードも美味しい
カダイフという細麺状の生地でナッツや山羊チーズを包み込んでシロップをかけて食べるお菓子「クナッフェ」
語り合い、そして食べる。街並みに笑い声が絶えない。楽しい夜が続く
深澤 明